高津スペシャル

ヤクルト４－２阪神

高津監督への評価は人それぞれだと思うのだが、私はかなり高く評価している。今日のゲームで披露した2番中村や丸山翔、山本の起用法などは、「高津スペシャル」と呼びたくなる部分がある。
2番中村に関しては、これまでもヤクルト打線の秘策のような形で使ってきたのだが、今日も得意の送りバントを駆使して、チャンスメイクをしてみせた。序盤の送りバントに関しては、賛否あると思うのだが、2番に中村を起用するのであれば、バントはあって然るべき策だと思っている。今日は初回の送りバントが先制点に繋がったのだが、初回0アウト1塁でバントが上手い2番打者に打席が回った場合、おそらく守備側は、「1つアウトを取って落ち着こう。」という心理が働くと思われる。無理にシフトを敷くことも少ないと思われる。逆に言えば、攻撃側とすると高い確率で1アウト2塁という状況を作ることが出来る。winーwinの関係とまでは言わないが、考えようによっては、初回の送りバントがプラスに働く場面もあると思っている。今日はその策が上手くハマった。自チームの状況と相手チームの状況を比較しながら柔軟にオーダーを変えることが出来る部分は、高津監督の特徴の一つだと思う。
もう一つは、リリーフ投手の抜擢の仕方である。今シーズンは開幕直後に田口が離脱し、清水も2軍落ちしてしまったため、「やむを得ず。」という部分もあったかもしれないが、今日の丸山翔や山本のように、ある程度厳しい場面で起用し、経験を積ませながら戦力に仕立て上げていくことを意図的に行っていると思われる。長谷川もそうなのだが、ヤクルトが獲得した時点では決して即戦力と言われるような投手ではなかったし、ヤクルトでも結果が出ない期間がある程度あった投手達である。私自身もしかしたら1軍では厳しいのかな？という気持ちを持った投手ばかりなのだが、そういった投手を戦力としてしまうのは、高津監督の選手起用の特徴であり、称賛するべき部分だと思っている。今日は丸山翔は1点を失ってしまったのだが、その後のピンチでは、踏ん張ってみせた。選手の成長を促しながらチームを成長させようとする高津監督の采配は、はっきりとした色がある。

ゲームは、初回から阪神先発青柳を攻め、先頭の丸山和が四球で出塁すると、続く中村がきっちり送り、1アウト2塁とチャンスを広げると、ここで今日3番に入った長岡がセンター前にタイムリーヒットを放ち先制してみせた。流れるような理想的な攻撃だった。
3回には、丸山和、長岡のヒットで2アウト1，2塁のチャンスを作ると、ここで村上が青柳が投じた低めのツーシームを捉え、打球は右中間スタンドに飛び込む3ランホームランとなった。これまでも村上は、青柳から驚愕のホームランを何本も打ってきたのだが、今日のホームランも阪神バッテリーからしたらお手上げしたくなるようなホームランだったのではないだろうか？見逃せばもしかするとボールなのでは？というような低めのボールは、常識的に考えれば最も打球が上がりづらいボールだったはずである。そのボールを広い甲子園球場の最も深い部分となる右中間スタンドに叩き込むのだから驚いてしまう。今後の対阪神、対青柳ということを考えた時に、相手にプレッシャーを与える一発になったのではないだろうか？
4回以降は、追加点を奪い、試合を決めてしまえるような場面もあったのだが、チャンスを活かすことが出来ず、苦しい後半戦となってしまったのだが、打線の繋がり自体は悪くなかったのではないだろうか？2番中村というオプションは、ヤクルトの攻撃の幅を一つ広げてくれることになりそうである。

投手陣では、吉村が今日も安定した投球を披露してくれた。味方のエラーも重なり、6回に1点を失ってしまい、この回を投げ切れずに降板となってしまったため、手放しで褒められる内容ではなかったと思うし、私自身も吉村への期待値は高いため、もっと長いイニングを投げてもらいたいと思っている。それでも順調に勝ち星を増やしている部分は、吉村自身にとってプラスに働くと思われる。
そしてその吉村の勝ち星をアシストしたリリーフ陣もよく頑張ってくれた。特に6回のピンチ、7回のピンチで登板した丸山翔、山本はよく投げ切ってくれたと思う。丸山翔は、糸原にタイムリーを許してしまったのだが、続くノイジーをしっかり抑えてみせた。山本は、2アウト満塁、打者近本という非常に苦しい場面での登板となったのだが、自分のボールをしっかり投げ切り、抑え込んでみせた。見事な火消しだった。

甲子園での初戦を獲れたことは大きなことである。今回はビジター甲子園で勝ち越すことが出来るだろうか？

P．S　今日は山田と田口が1軍に戻ってきた。相手先発が青柳だったため、山田は元々スタメンで起用するつもりはなかったと思うのだが、明日以降はどうなるだろう？1軍に戻って来たからにはスタメンで使うという立ち位置でもなくなってきているのかもしれない。もう一度スタメンで光り輝く山田の姿を見てみたいものだが…。

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