一流の壁

ヤクルト4-5DeNA

昨日の記事の最後にDeNAのエース今永に対して塩見、廣岡がどう対峙するか?ということを書いたのだが、一流投手の今永の前に軽く捻られてしまった。これがまだレギュラーを掴み切れていない塩見、廣岡の現在地なのであろう。

昨シーズンの開幕前、塩見、廣岡、村上の現在地はまだ横並びだった。ブレイク候補の一番手が塩見、二番手が廣岡、その少し後ろに村上が付けているのかな?というところだった。しかし開幕してブレイクを果たしたのは、まだ高卒2年目の村上だった。全試合に出場し、36本のホームランを放ち、新人王も獲得した。その一方で塩見はオープン戦では結果を残したものの開幕すると結果を残せず、結局打率は1割台に留まってしまった。廣岡も開幕からの41打席連続ノーヒットが響き、後半の巻き返しがあったもののレギュラー奪取には程遠い数字となってしまった。
迎えた今シーズン、村上は高卒3年目の20歳ながらすでにチームを支える存在となり、4番にどっしりと座ってくれている。コンタクト率を高め、昨シーズン以上に怖いバッターに成長し、相手バッテリーを震え上がらせている。村上は一流である。今日のゲームの初回、2アウトランナー3塁という場面で村上に打席が回ってきた。相手投手はセリーグを代表するサウスポー、間違いなく一流の今永である。今永はフルスロットルで村上を潰しに来た。150キロを超えるストレートでガンガン押してきた。カウント2-2から3球続けてストレートを選択したのだが、7球目のインコースのストレートに完璧に反応し、ライトスタンドに叩き込んだ村上のバッティングは「超一流」と言っても過言ではなかったのではないだろうか?一流VS一流の息詰まる戦いだった。
2点を先制し、今永を崩していきたいヤクルトだったが、サウスポー今永に対して起用してきた5番塩見、8番廣岡は、今永に相手にさえしてもらえなかった印象である。両者ともに第一打席はボールをバットに当てることすらできずに三振。2打席目は塩見が初球のカーブを打たされ、ショートゴロ、廣岡は三振。三度目の対戦の前に今永は交代してしまったのだが、結局今日は、塩見は3打数ノーヒット、廣岡は3打席連続三振と全く結果を残せなかった。
今永VS村上のハイレベルな攻防を見ると、プロ野球界には間違いなく「一流の壁」が存在していることを認識させてくれる。一流の次元でプレーをしている選手と一流を目指してもがいている選手の差がはっきりと見て取れたゲームとなった。高津監督の大きなミッションの1つに「若手を成長させる。」というものがあると思う。塩見も廣岡も今シーズン結果を残している山崎や宮本も最後に牽制で刺されてしまった渡邊も、これからのヤクルトを担っていってもらいたい選手達である。これらの選手にとっては一流への壁は果てしなく高いものに思えるかもしれない。しかしその壁を超えないことには次のステージに進むことは出来ない。泥まみれになりながら、そのための力を付けていってもらいたい。

投手陣は立ち上がりからボールの走りがイマイチに感じた小川が、変化球を駆使しながら、なんとかごまかしのピッチングでDeNA打線と対峙したのだが、4番佐野に同点タイムリーと勝ち越し2ランホームランを浴びてしまい、5回で95球を擁し、被安打9(被本塁打2)、無四球の4失点で負け投手となってしまった。悪くても変化球を多めに使い、無四球で何とかまとめようとする辺りに小川らしさも見て取れたのだが、今日はこれが精一杯だった。
ちなみにDeNAの4番佐野も「一流」である。明大からドラフト9位で入団した4年目の外野手である。ルーキーイヤーからバッティングではきらりと光るものを見せ、昨シーズンは代打で驚異的な集中力の高さを見せてくれた。今シーズンは主将を任され、強力DeNA打線の4番に座っている。開幕当初はホームランが出ていなかったのだが、短期間で量産態勢に入っている。今日の小川からの2ランホームランに関しては、一流VS一流のぶつかり合いだった。必死に抑えにかかった小川と必死に喰らい付いた佐野、両者の意地がぶつかり合う見応えのある勝負だった。

明日の先発は山中ー平良である。分が悪いの間違いないだろう。山中は神宮で好投するイメージがあまりないのだが、明日の登板は自身にとって大事な登板になるはずである。前回の好投を再現するような投球が出来れば、今後の野球人生というものを考えた時に光が差し込んでくる可能性がある。

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コメント

  1. JEF九郎 より:

    「一流の壁」。タイトルもそうですが、内容も非常に面白いものでした。昨日のあの試合をこういう切口で語って広がりを持たせられるFIYSさんに脱帽です。確かに今永と佐野、そして村上が目立ちましたね。ただちょっぴり7回の宮崎のタイムリーは要らなかったかなと思いました。

    でも久保くんは頑張りましたね。フォームも滑り止め!?の扱い方も投げる球まで石川そっくりになってきてビックリしました。

  2. タラちゃん より:

    なるほどと。
    面白い視線で参考になります。

    でも今永に球数をなげさせ6回途中で降板させ、
    パットン。山崎、石田、平田、温存予定のエスコバーまで引きずり出し、三嶋と勝ちパターン投手をベイスターズさんは9連戦という大変な中、出したのは評価してあげたいですね。
    今日の試合だけなら宮崎に打たれた5点目痛く、右投手出して防ぐのもあったが、
    金曜勝てたのもあり、日曜は山中なんでさすがに2週続けての好投は期待薄。
    大下は連投になり、明日のロング枠で残りておきたい。
    中澤も連投になる。
    明日終われば、2日休みで勝ちパターン投手も点差度返しで使える体制にしたいと。
    ここで3回投げてくれた久保には感謝したいし、
    9回に投げた星が今年1番の投げっぷりでしたし、
    負けてしまったけど、悪くない1点差負けだったかな?と。

    1個最終回。最後のところ。
    2アウト1塁西浦。
    西浦のプロ初打席は法政の先輩三嶋から満塁HRと。
    そして戸柱マウンドに行ったり、結果アウトになったけん制したりと明らかに三嶋嫌がっていたので、
    走ると見せかけての真っすぐ狙いも面白かったのかな?と。
    走らせて。サヨナラのランナーになるリスク取っても西浦歩かせてエスコバー勝負にしたかな?って思った次第。
    ただ、走ってそのあと西浦っていうのはまあ普通の考え方なんで悪くはないですけどね。
    渡邊に。今日の失敗反省して、この倍以上の活躍で恩返ししてもらいたいね。

  3. sabo より:

    最近は一勝の重さが軽くなったなと感じるんですよね
    この試合のせいで、とかではなく、チーム全体としてけが人が増えすぎたことで冷静な判断として『優勝を狙う』ことよりも『選手の成長を促す』『けがのリスクを減らす』ことに意識がうつっていると思います

    小川VS佐野の場面は谷繁解説が同点で塁が空いているのに合ってない宮崎より合ってる佐野と勝負するなんて理解できないと言っていましたが、あの場面はフルカウントになってから西田がベンチのサインを確認していたので、つまりそういうことなのでしょう
    久保を7回に右の宮崎勝負して失点したのも同じ。勝つ確率は次の左の柴田勝負だけど、右打者と戦える投手になってほしいというベンチから意図でしょう

    指揮官は先々まで、それこそ来年くらいまでは見据えて采配するものなのでこれはこれで良いと思います

    とにかく久保が3イニング投げて1失点は褒められると思います
    見直しました

  4. FIYS より:

    JEF九郎さんへ

    お褒めのお言葉ありがとうございます。今後ともよろしくお願いします。

    久保は石川を意識して投球している様子が窺えましたね。ストレート、スライダーのキレは石川にも劣っていないと感じます。個人的には先発で見てみたいんですけどね。

  5. FIYS より:

    タラちゃんさんへ

    最後は西浦でしたからね。やはりプロ初打席の満塁ホームランがよぎる場面ではありましたよね。まさかの牽制死でしたね。

  6. FIYS より:

    saboさんへ

    コロナ禍による異例のシーズンということも多少影響しているのではないでしょうか?

    来週の巨人、DeNAとの5連戦は踏ん張りどころですので、高津監督も多少は選手に無理をさせるような采配があるのではないでしょうか?

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