高津監督はブレない。

2023試合結果


ヤクルト3-6阪神

石川が3回に3点を先制されてしまい、この時点でかなり厳しいゲーム展開となっていたのだが、6回に山田に2ランホームランが飛び出し、もう一度試合を作り直すチャンスが生まれたのだが、1点ビハインドの7回にマウンドに上がったエスピナルが四球から崩れ、ノイジーに致命的な3ランホームランを浴びてしまった。
先週の5試合を4敗1分けと1つも勝つことが出来なかったことや、リリーフ陣の負荷が投手によって偏り始めている中で、おそらく勝ちパターン以外を担う投手の中でも決して序列が高くないエスピナルを起用せざるを得ない状況があったのだと思う。チームが5連敗中ということを考えて、山田の2ランで勢いが出た所で、1点ビハインドでも木澤を投入するという投手運用もなくはないと思うのだが、それをしないのが高津監督の色である。
高津監督は、就任初年度からマネジメントについては、ブレていないと感じる。私が初年度に感じた「高津カラー」は、①選手の体調管理、②積極的な機動力の活用、③選手へメッセージを送るような起用法と采配、④若手の抜擢の4点である。この4点は、最下位になった2020年シーズンもセリーグを連覇した2021年、2022年シーズンも変わっていない印象がある。選手の負担軽減と勝利の両方を追い求めるマネジメントは画期的であり、それが上手く回ったのが、21年シーズンであり、22年シーズンだった。しかしチームが噛み合わなくなると、このマネジメントにも脆さが出てきてしまう可能性がある。今日のゲームはそんなことを考えさせられるゲームとなった。過去記事は以下の通り。








ヤクルト先発の石川は、初回、2回と阪神打線を巧く抑え込んだのだが、3回に下位打線からピンチを招いてしまうと上位打線にも繋がれ、ノイジーの2点タイムリーと佐藤輝の内野ゴロの間の1点とで3点を失ってしまった。2回までいい形で阪神打線を抑え込んでいただけに先頭の木浪に2ベースを許してしまったことと近本を四球で歩かせてしまったことが痛かった。石川は剛球で三振を奪いに行けるタイプの投手ではないため、繋がれてしまうと途端に苦しくなってしまったり、大量失点に繋がってしまったりすることがある。今日は四球も絡んでしまい、粘り切ることが出来なかった。各先発投手が長いイニングを投げ切れない中で、元々長いイニングが想定されていない石川先発時のゲームのマネジメントも難しくなってきていることは確かだと感じる。
結局石川は、5回にも連打で0アウト1,3塁というピンチを作った場面で降板してしまい、今日も早いイニングからリリーフ陣を起用せざるを得なくなってしまった。相手先発投手が村上ということもあり、この時点でかなり苦しくなったのだが、このピンチでマウンドに上がった丸山翔がノイジーを三振に斬って取り、大山は歩かせたものの、佐藤輝、森下翔を連続三振に仕留め、無失点で切り抜けてみせた。16日、17日の巨人戦でも2イニングを無失点で凌いでいたのだが、今日も5回のピンチを防ぐと6回もマウンドに上がり、2イニングを無失点で切り抜けてみせた。まだストレートも変化球も精度が高くなく、5回の満塁の場面では、フルカウントからはストレートに頼らざるを得ないなど、まだまだ発展途上の投手ではあるのだが、1軍で経験を積みながら角が取れてくるとまた違った役割が任せられるかもしれない。面白いボールを持っていることは間違いないため、今後の成長を期待したい。
この後山田に2ランが飛び出し、1点差に迫ったのだが、冒頭に書いた通り、7回にマウンドに上がったエスピナルが近本、中野に連続四球を与えるとノイジーにもカウントを悪くし、苦し紛れに投げたストレートを左中間スタンドに運ばれてしまった。エスピナルはオープン戦や開幕当初に比べれば、多少は使えるようになってきた印象もあるのだが、現状ではリリーフでのイニングイーターという役割が主であり、僅差のゲームでは使い辛い投手である。またコントロールに難があるため、ランナーを置いた場面でマウンドに上げることも避けたい投手である。そんな中で、5回は丸山翔を投入し、7回は、ビハインドであればエスピナルを投入するというのが高津監督を始めとする首脳陣の考えだったのだと思う。1点差に詰め寄ってはいたのだが、他の投手の負担感も鑑みた中でエスピナル起用となったのだが、ここを抑えられるほど阪神打線は甘くはなかった。先週少しでも勝ちが拾えていれば、今日のゲームの投手運用も多少なりとも違ったと思うのだが、先発投手が早い段階でマウンドを下りた中でリリーフ陣に負担がかかり、尚且つ勝利も手に出来ないという流れの中で、今日は継投も苦し紛れになってしまったことは否定できないのではないだろうか?しかしここでエスピナルを投入するのが選手の体調管理というものも重視する高津監督らしさであると感じる。選手を信頼して起用する采配は、崩す必要がないと思う。後は、チームが噛み合うのを待つのみである。但し今日の敗戦で「優勝に向けて」という意味では、かなり苦しくなったと言わざるを得ない。ここで3タテを喰らってしまうと、追いかける背中が見えなくなってしまう。

逆に阪神は、首位を走る中で余裕を持った投手起用が出来ていると感じるし、選手達もいい意味で余裕を持ってプレーしているように感じた。勝ちを拾うことが出来ていれば、良い雰囲気を作ることが可能になる。昨年の交流戦終了後辺りまでのヤクルトはこういったチーム状況だったのではないだろうか?昨シーズンの今頃の阪神とヤクルトの立場がそのままひっくり返ったような状況になっている。
阪神は先発の村上が今日もしっかり試合を作り、1点差に詰め寄られても打線が援護し、村上降板後の投手も気持ちに余裕を持ってマウンドに上がっているように感じた。浜地、及川らは、まだ付け入る隙がなくはないと思うのだが、点差が離れてしまうとボール自体の威力はあるため、簡単には崩せなくなってしまう。9回にK・ケラーを攻め、オスナのタイムリーで1点を返し、岩崎を引っ張り出すことは出来たのだが、最後は代打三ツ俣が三振に倒れてしまった。
先週末から山田に身体のキレを感じ始めたことがポジティブな要素なのだが、とにかくチームが勝たなければ、この雰囲気は変わってこない。どんな形でも勝利を手にしなければ、このまま泥沼にはまってしまう可能性がある。

P.S 個人的には高津監督がブレずにチームマネジメントを行っていることは評価しているのですが、20年シーズンにどうやって崩れていったか?という部分をもう一度振り返ってみたいな。という気持ちは持っています。21年シーズン前に暗黒時代に突入してしまうのでは?と感じたのですが、そこからチームを引っ張り上げた高津監督のマネジメントは見事でした。しかしもちろん完璧なマネジメント、采配というものはないため、デメリットの部分にも目を向けてみようかな?と感じています。
それでもこれだけ選手の体調面に配慮してマネジメントをしているため、選手の奮起に期待するしかないかな?と思ってはいますが…




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コメント

  1. sabo より:

    リリーフは事前に肩作らないといけないし、リリーフの疲労が心配の今、高津監督のマネジメントとしてビハインドで2枚用意はあり得なかったでしょう。というわけでエスピナルだったわけですが…うーん。個人的には去年のA.jコールやスアレスの方が好きなタイプですけど…まあ契約更新したくてもコンディション不良や契約内容の関係で無理だったのかもしれませんが…

    今年はとにかくリリーフの数が足りないと感じます。マクガフの穴とかじゃなくてリリーフの4番手5番手6番手が足りない。去年一昨年はリリーフが誰かが不調になると二軍からポンっと出てきた気がします。

    それにしても日曜リリーフ待機だった高梨を第二先発として用意しても良かった気がします。来週の火曜先発するにしても第二先発から中6日でも良かった。
    まあ再三満塁のチャンスを作れた日曜と違ってこの日は誰を使っても攻撃も守りも戦力が足りなかった気がします。代打三ツ俣も…まあ二軍では好調だったし、結局一軍の勝ちパターンとの差ですよね。

    特例2023で登録抹消選手が多くてほんとに戦力が足りないです

    • fiys より:

      saboさんへ

      開幕5連勝を飾った時は、リリーフ陣が余裕を持って回っているという印象もあったんですけどね…昨日はあのシチュエーションであればエスピナルを投入することはやむを得なかったと思います。それにしても負の連鎖に陥ってしまっていますね。離脱してしまっている投手も多く、本当に枚数自体が足りなくなっていますよね。

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