脇役陣が繋いで繋いで、村上がズドン！ズドン！

ヤクルト８－５中日

私が試合前に理想としていた展開は、先発の小川がきっちり投げ、先行逃げ切りの展開を作ることだった。しかし試合はそのようには推移しなかった。危なっかしいゲームとなった。それでも期待薄かな？と感じていた脇役陣が繋ぎに繋いで、得点を奪うと、最後は悩める主砲村上が、豪快な２本のホームランで試合を決めてみせた。ヤクルト同様、苦しんでいる中日相手に一旦は試合の流れを手放してしまったようにも感じたのだが、よく逆転してみせた。

ヤクルト先発の小川は、ストレートの球速自体はそれなりに出ていたのだが、初回から常にランナーを許す展開となってしまい、リズムも悪かった。このリズムの悪さは、小川の悪い時のピッチングそのものであった。おそらくは丁寧に投げようとする中で投球間隔が長くなってしまったり、カウントを悪くしてしまったりすると思うのだが、今日に関しては、自身もタイムリーを放つなど、援護点をもらっていただけに、もう少し大胆に勝負しても良かったのではないだろうか？味方のまずい守備が重なった場面もあるのだが、球数が多くなってしまい、最終的には昨日のヒーロー石川昂に同点弾を浴びてしまうなど、5回を投げ切れずに4失点で降板となってしまった。以前に比べれば、中日打線もクリーンアップを中心に迫力を感じるのだが、それでも小川であれば、6～7回はしっかり投げ切ってもらいたいゲームだった。
5回2アウト1塁の場面からマウンドを任された大西は、5回こそ無失点で切り抜けたのだが、6回は龍空に足でかき回され、内野ゴロの間に1点を失ってしまった。大西は様々な場面で本当に良く投げてくれているのだが、今日は思わぬ形で1点を失ってしまった。
それでも打線が逆転すると7回は石山、8回は清水、9回は田口という現在の最もスタンダードな勝ちパターンの継投で逃げ切りに成功した。石山は1アウト満塁のピンチを作るなど非常に危ない場面があったのだが、最後は代打福田、高橋周を連続三振に斬って取り、何とか無失点で切り抜けてみせた。そんな落ち着かないゲームの中できっちり1イニングを抑えた清水、田口は現在のヤクルトの数少ないストロングポイントである。

今日のスターティングオーダーは、1番センター並木、2番レフト山崎、3番ファーストオスナ、4番サード村上、5番ライトサンタナ、6番セカンド元山、7番キャッチャー中村、8番ショート長岡、9番ピッチャー小川というオーダーになった。
塩見、山田を欠く中で、村上の前後を助っ人外国人選手で挟むことは定石ではあるし、並木を活かす意味でも並木、山崎の1，2番コンビは良い並びだと感じるのだが、やはり6番以降が迫力不足だと感じた。機動力も使い辛い面々であり、ある程度打って繋ぐことが求められるオーダーとなった。
そんな中で試合は立ち上がりから動いた。先頭の並木が追い込まれながらも福谷のインコース高めの変化球を捉えると打球は低い弾道でレフトポール際に飛び込む先頭打者ホームランとなった。おそらくは追い込まれていたからこそ反応出来たホームランだったように感じた。ホームランは全く予想していなかったため、嬉しい想定外の出来事となった。
その後すぐに逆転を許してしまうのだが、2回は打って繋ぐ他ないと思っていた下位打線の元山がヒットで出塁すると中村が2ベースで続き、0アウト2，3塁のチャンスを作ると長岡のショートゴロの間に同点に追い付き、続く小川は前進守備のレフトの頭を超す勝ち越しタイムリー2ベースを放ってみせた。福谷の状態は良くなかったと思うのだが、よくこれだけ繋いでくれた。
4回も長岡のヒットと小川の送りバントでチャンスを作ると2アウト後、山崎にタイムリーが飛び出し、2回に続いて理想的な形で追加点を奪ってみせた。決して主軸とは言えない脇役の選手達が素晴らしい繋がりを見せてくれた。
しかし投手陣が踏ん張れず、再度逆転を許してしまい、このまま負けてしまうと、今日の敗因はクリーンアップと言われてしまってもおかしくない展開になっていたのだが、その雰囲気を吹き飛ばしたのは、4番村上のバットだった。村上に関しては、開幕直後から状態が上がらず、昨年とは全く違う姿を見ることとなっている。昨シーズンあれ程打ってほしい場面でことごとく結果を出してくれた村上の姿は影を潜め、チームの勝利に貢献できないゲームが続いていた。それでも今日は、1点ビハインドの6回裏、2アウト1，3塁の場面で中日祖父江のストレートを完璧に捉え、打った瞬間それと分かる逆転3ランホームランを放ってみせた。甘いストレートをきっちり捉えた素晴らしい一発となった。その村上は、8回には岡野のスライダーをライトスタンドへ運び、2打席連続ホームランで4番の仕事をきっちりこなしてくれた。これまでの流れを見ると、この2本のホームランで復調するとは言えない部分もあるのだが、今日に限っては、チームを救う見事なホームランを放ってくれた。

打線に関しては、予想以上に繋がりを見せ、村上にも2本のホームランが飛び出すという出来過ぎの結果となった。しかしこのメンバーで今日のように打って打線を繋いでいくことは、非常に難しいことである。やはり理想は今日のようなゲームではなく、投手陣がしっかりロースコアのゲームに持ち込んでの先行逃げ切り型のゲームだと思っている。並木や山崎や元山の活躍は嬉しい限りなのだが、今日のようなゲームは早々できるものではない。どうやって打線を繋げていくか？、どうやって1点を取りに行くのか？という部分については、明日以降も注目していきたい。

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