7回表に流れを手放すも、何とか粘り引き分けに持ち込む。

ヤクルト3-3広島(延長10回)

坂口、青木の休養日に充てた試合で、1番上田、3番山崎が結果を残し、先発高梨も気持ちの入ったピッチングを披露し、優位にゲームを進めたのだが、7回表のまずい攻撃から流れを手放してしまった。それでもベテラン坂口、青木が9回に仕事をし、引き分けに持ち込んだのは評価できる。観る人によって様々な考え方はあると思うが、私は「悪くない引き分け」と評価する。

高梨ー遠藤という似たタイプの投手のマッチアップとなったゲームは両投手とも持ち味を発揮し、意外な程にテンポよく試合が進んでいった。そんな展開の中で5回に村上の犠牲フライで先制し、6回には上田のタイムリーで追加点を奪い、一旦は試合の流れを掴んでみせた。高梨も開幕からの好調そのままに気持ちの入ったピッチングを披露し、6回まで広島打線を無失点で抑えてみせた。
そして7回表は、先頭の山田哲が内野安打で出塁し、広島を突き放すには持ってこいの場面を作ることに成功した。1塁ランナーは山田哲、バッターは山崎、広島側からするとかなり守りづらい場面である。しかしここで山崎が初球をバントすると打球は小フライとなりキャッチャーフライであっさりアウトを与えてしまった。2-0とリードしていた場面であるためバントの選択自体は全く問題ないと思うのだが、山崎のアウトのなり方は頂けなかった。半レギュラーという存在になってきた山崎だけにこういう場面でのプレーの精度を高めてもらいたい。そして続く打者村上の場面で山田哲が飛び出してしまい、あっという間に2アウトランナーなしとなってしまった。山田哲の盗塁技術の高さは疑う余地がなく、この場面の失敗も紙一重のタイミングだったのかもしれないが、出塁してから相手投手の一岡が打者に対して1球投げただけで2アウトランナーなしとなってしまったことは非常に痛かった。リードしていただけにじっくり攻めたい場面だったのではないだろうか?結局村上も三振に倒れてしまったのだが、この攻撃で結果的には流れを失ってしまったと捉えている。
続く7回、現在の広島で最も期待できる堂林、鈴木、松山の3連打であっという間に同点に追いつかれ、高梨がマウンドを下りると代わった梅野も曾澤にタイムリーを許し、この回に一気に3点を奪われ、逆転されてしまった。昨日のゲームでは「野球は数字のスポーツ」ということをブログで書かせてもらったのだが、今日は「野球は流れのスポーツ」ということを感じさせされるゲームとなった。主軸が不調でも不在でもチーム全員で戦う野球が出来ており、今日も悪いゲームではなかったのだが、それだけに7回表の攻撃がもったいなかった。

先発の高梨は今日も好調を維持していた。6回まで被安打2の無失点。球数も81球と普段以上に順調にイニングを喰ってくれていた。今シーズンの高梨はとにかく身体のキレが良く、それに付随するように強い気持ちを持ってゲームに入ることが出来ている。打者としても走者としても貪欲姿勢でプレーすることが出来ている。「心技体」の「心」と「体」という部分を順調に仕上げてきたという印象である。いいペースで投げていただけに7回の失点は残念ではあったが、今日も高梨らしさを感じさせてくれる投球ではあった。

広島リリーフ陣のドタバタぶりは分かっていたのだが、8回をきっちり塹江に抑え込まれてしまい、すでに山田哲もベンチに退いていたため、かなり厳しくなった印象があったのだが、9回に急造クローザーとなっている菊池保から代打坂口がヒットで出塁しチャンスメイクすると代打荒木が1球で送りバントを決め、流れを作ると上田もヒットで続いて、チャンスを広げ、続く代打青木がセンターへのタイムリーを放ち、同点に追いついてみせた。7回表のお粗末な攻撃とは違い、代打の3選手と代役の上田が仕事を果たした見事な同点劇だった。特に昨日死球で負傷退場していた青木の狙いすましたタイムリーヒットは打撃技術+読みで打った見事なタイムリーヒットだった。
続く山崎もヒットで繋ぎ、1アウト満塁で4番村上に回った時には菊池保はアップアップの状態であり、正直村上が逆転打を放つイメージしか湧かないくらいだったのだが、村上はキャッチャーゴロダブルプレーに倒れてしまい、逆転するには至らなかった。キャッチャーの目の前で打球が止まるというアンラッキーな打球で菊池保を助けてしまったのだが、その後の村上の悔しそうな表情、仕草が印象的だった。20歳の若者なのだからこれくらい感情を出してもらって構わない。責任感を持って打席に立っていることを感じさせる場面だった。

9回表、裏、10回表、裏は両チームに勝ち越すチャンスがあり、一進一退の場面が続いたのだが、最終的には投手陣が踏ん張り、試合は3-3のまま終了となった。ここ数年何度も痛い目にあってきたマツダスタジアムでサヨナラのプレッシャーを感じながらも守り切ったヤクルトバッテリーを評価したいと思う。

P.S 巨人は強いですねえ…広島、DeNA相手にビジターで6連勝ですか…走られたくないんですけどねえ…

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コメント

  1. JEF九郎 より:

    昨日はダイジェストも観れなかったので、仔細な解説大変助かります。いつも誠にありがとうございます。

    私も敵地で五分なら全く悪く無いと思います。欲を言えばご指摘の7回、9回、10回にチャンスはあったのかもですが、ここまで異様な活躍振りの村上でダメで、10回も猛打賞だった上田でダメだったんだから、打てなかったことより打たれなかったことを良しとしたいと思いました。

    ただ私としてはやはり山崎のことが気になります。思いの外バッティングが良いのはわかりましたが、守備にしても攻撃の小技にしても、細かい部分のミスをなんとかして欲しいですね。だからって今成長期でしょうから外す必要は無いでしょうが、高津監督にはこの辺をコッテリと絞りあげていただき、まずは意識の改善から始めて欲しいと思いました。

  2. タラちゃん より:

    おいらはまったく違った印象を。

    バント失敗した山崎に延長で失敗した渡邊。
    失敗した人は反省は必要。
    ただ、山崎は苦手ならセーフティー気味を容認とか考え方を変えても良いかな?と。
    山崎には、今後打数増えてきて、バント成功することで、打数増えずに打席数増やすことは打率アップにつながるから、ちゃんとしましょうって言ってあげたいね。
    4-1 .250と3-1 1犠打.333だと、一流と二流に分かれるでしょ。って。
    ある意味バントって成績上げるための配慮でもあるのよ。って。


    で、ここから。
    7回0アウト1塁3番山崎。次打者4番村上
    10回1アウト1塁渡邊。次打者坂口そのあと荒木。

    これって送った場合。
    1塁空くわけで次のコア4打者(坂口、山田、青木、村上)っていう他球団から嫌だと思われる選手を申告敬遠をできるシュツエーションに自らしてしまう愚策と思うのよね。
    ならば、
    ゲッツーでも良いから、強攻で1.3塁つくるほうが相手としては嫌だなと。三振であれば1塁ランナーいて勝負する可能性上がるので。

    だから正直、2つのバント作戦は、試合が読めていない。相手としては助かる消極的な作戦に移りましたね。

    7回のところは西浦のところで代打青木と想定してたのでしょうね。そうなっていたら、9回代打青木なかったわけで、ある意味山崎のバント失敗は結果的に良かったのかな?って思いますね。

    でも、ここまで高津監督の運用。とくに投手陣に関しては本当良くやっていると思います。
    この調子でやってほしいものです。
    昨年と違い、采配でストレスないのもグッド!

  3. FIYS より:

    JEF九郎さんへ

    山崎はタイプ的にバントなどの小技、守備、走塁はしっかりこなしてもらう必要がありますからね。私も同感です。

  4. FIYS より:

    タラちゃんさんへ

    私は、7回に関してはバント含めて色々考えて良い場面だと思っていたため、バント自体は悪手とは思いませんでした。

    9回は菊池保がプレッシャーを感じているようだったため、逆にバントで1つアウトを与えるのは落ち着く間を与えるようで自分の考えとは違いました。そのまま青木もしくは川端を代打に送って勝負しても面白いかなと感じていました。

    10回は1アウトだったため、そのまま渡邊のパンチ力に賭けても良かったかな?というのが私の意見です。

  5. タラちゃん より:

    どうして悪手と言ったのと、9回に触れなかったの。

    現在、村上調子よく彼よりも調子良い打者いない。
    そして5番西浦が湿ってきている。
    となるとバントで進塁させて1塁を空けてしまうことで相手としては村上と勝負を避けることがセオリーになってしまう。
    となれば、三振でも良いので、強攻のほうがよかったと。
    変に進塁打打っても村上歩かされるのでね。
    西浦、エスコバーと打順も下位に下がっていくわけですし。

    9回は1点ビハインド、、0アウト1塁9番荒木。次打者上田。青木はベンチに残っている。
    カープ救援陣がバタバタで相手が勝手に転んでくれる状況。
    最悪は荒木強攻でゲッツーで、2アウトランナー無上田になること。
    確かに強攻面白いが、
    その後の打順が、上田、代打青木、山崎、村上と上位打線の良い打順なんで、
    ここはリスクかけずに確実にランナーいる段階で青木を代打で出せるように。そして1点差であり、歩かせることで、逆転のランナーになり勝負を避けづらいなど、
    2アウト2塁とかになって青木歩かされても山崎も当たっているなど、
    無理して強攻ゲッツーならば固くここは行ったほうが無難だなって思いました。

    でも、ここまで高津監督、斎藤隆投手コーチなどの運用には高い評価しているところです。

  6. FIYS より:

    タラちゃんさんへ

    こういった作戦面の議論が出来るのも野球の面白さですよね!

    大変参考になります。

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