王道を行け!奥川恭伸!

ヤクルト2-2阪神

星稜高校時代のピッチングを巨人の菅野が絶賛していたスポーツニュースを見た記憶があるのだが、奥川の目指すべき投手像は菅野なのだと思う。今シーズンの奥川は打ち込まれてしまうゲームが目立っていたのだが、ここまで自分の投球スタイルはいじらずに投げ続けている。ストレートも変化球もストライク先行で攻めていける投球スタイルは、NPBの先発投手としては「王道スタイル」と言えるのではないだろうか?奥川が今持っている力を出すことが出来れば、このスタイルが通用することを示してくれた。常に主導権を握りながらゲームをコントロールする奥川の姿をコンスタントに見せてもらいたい。

このブログの読者の方であれば、私の奥川への期待値がかなり高いことはご理解いただけていると思う。高卒投手だが、完成度が非常に高く、1年目から即戦力として期待できるだけの素材だと感じていた。1年目はコンディション不良もあり、シーズン最終盤で1試合投げただけで終わってしまい、今シーズンも1試合80球ほどを目途に投げ、登板間隔もそれなりに空けている状態が続いている。プロ初勝利は挙げているのだが、打ち込まれてしまう場面も目立ち、まだまだ奥川自身の力を出し切れていないと感じていた。しかしボールの質さえ戻ってくれば、投球スタイルを変えなくてもプロの世界で通用する可能性がある投手だという評価は私自身変わってはいない。この日のゲームではそんな私自身の奥川に対する評価を改めて確認することが出来るゲームとなった。
ストレート、スライダー、フォークという3つの球種を軸に組み立てていくのだが、どの球種もある程度狙ったところに投げることが出来るため、調子さえ良ければ、ゾーンの中でどんどん勝負することが出来る。6回2失点という数字が残ったのだが、86球という球数で6回までしっかり投げ終えることが出来たところを評価したい。現在首位を走る阪神打線は強力打線である。ヒッターズパークと呼ばれる神宮球場でこれだけの投球が出来るのだから、やはり奥川の能力の高さは疑うことなく非常に高いものを持っているということなのだろう。
それだけにピンチで近本、糸原に連続四球を与えた後にマルテに2点タイムリーを許してしまった場面は、頂けなかった。近本、糸原ともに簡単に歩かせてしまったものではないため、近本、糸原の1,2番コンビを褒めるべき場面なのかもしれないが、奥川の能力値からいけば、粘られたとしても四球を与えてしまってはダメな場面だったと感じている。高卒2年目の投手が首位チームの強力打線を6回2失点で抑え込んだということは当然合格点が与えられて然るべき結果だと思うのだが、私自身は奥川を高く評価しているだけに「失点2」の内容に不満を感じている部分もある。そう感じるくらい奥川を高く評価していることを読者の皆様には理解してもらいたい。
ストライクゾーンの中で勝負しながら相手打線を封じていくというのは、先発投手の理想形の1つだと思う。しかしそういった投球スタイルで勝負できる投手はほんの一握りである。その一握りの中に奥川は入れるだけのスキルがあるはずである。あくまでも「王道スタイル」を磨いていってもらいたい。

リリーフ陣も7回から今野、清水、石山と無失点で繋ぎ、引き分けに貢献してみせた。開幕から阪神相手には1勝もできておらず、ロースコアの展開に持ち込めていただけにホーム神宮で1つ勝ってもらいたかった気持ちはあるのだが、それでも今日は投手陣がよく投げてくれたため、「もったいない引き分け」という印象はそれ程残らなかった。結果として対阪神戦の連敗を止めるには至らなかったが、悪くない引き分けだと感じる。

打線は、1回、2回、4回、5回、8回と先頭打者が出塁したのだが、得点は5回と8回に1点ずつを上げたのみに終わってしまった。阪神先発の青柳は以前に比べるとコントロールが安定してきており、丁寧に低めを突く投球が出来ており、安定感が増してきている。先頭打者が出た後にもう少し揺さぶりを掛けたかったと思うのだが、そこまでは至らなかった。5回は2アウト後に山崎にタイムリーが飛び出したため、「よく1点返した。」という見方も出来るのだが、いずれかのイニングでもう1,2点は奪っておきたかったというのが本音なのではないだろうか?
8回に関しては、村上のダブルプレーで一旦はチャンスが潰えかけたのだが、続く青木が同点タイムリー内野安打を放ち、何とか追い付いてみせた。阪神のリリーフ陣と言えばセリーグでは随一の質と量を誇り、こういった展開でも勝負強さを発揮できる戦力なのだが、この日はその一角を担う岩崎から1点を奪ってみせた。調子の上がらない青木ではあるのだが、全力疾走とタッチをかいくぐるスライディングで得た1点は価値のあるプレーとなった。ヤクルトが誇るスターの一人であるベテラン青木の全力プレーはチームの士気を高める効果があるはずである。無観客試合でもこういったプレーを見せてくれることに感謝である。

P.S もしかすると、この日は清水にプロ初勝利が転がり込むかな?という予感もあったのですが、勝てませんでしたね。今の清水の役割からすると必ずしも自身に勝ち星が付くことがプラスとは言い切れない部分もあるのですが、これだけ勝ち星が付かないのも不思議なものですね。

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コメント

  1. sabo より:

    奥川は今までと制球が全然違いましたね。低めに構えればコースは別として低めには投げ込めたし、インコースに構えれば高さは別としてインコースの厳しいところに投げ込めてました
    特にインコースは強力阪神打線にかなり効いていたと感じます
    古賀のリードも良かったと思います
    逆に言えば失点の3回がバッテリーのミスですよね
    私はゾーン外勝負ありだと思っているのですが結果は連続四球からタイムリー。満塁だからって押し出し恐れて甘く入っちゃいかん。この経験を糧にしてほしいです

    青柳はコントロール良くなった。以前とは別人ですね。中日小笠原もですがストレートが弱くなった印象も無しで制球が上がっていて敵として恐ろしいです。

    試合後に福地コーチが並木に話しかけてるのがテレビで映ってましたけど、一体何の話をしているのか想像したのですが

    8回の代走時、リスクを冒して盗塁を仕掛けても良かったなと。
    盗塁成功のメリットはもちろんのこと、もし盗塁死となっても最終回を速球派の阪神スアレスに対して速球に強いオスナの打順からになるので決して盗塁死になることがデメリットだけではなかったのではないか(サンタナ中村川端よりはオスナサンタナ川端の方が怖いだろう)
    一般的には盗塁成功率7割以上なければ盗塁企画すべきではないと言われますが、この時のような特殊な場合には5割、いや3割の自信でもチャレンジしたほうが良いのではないかと感じました

    逆に岩崎は執拗な牽制で並木の盗塁意欲を削いで老獪でした

  2. 超匿名 より:

     奥川と左の高橋は毎年10勝以上する投手になるポテンシャルは秘めていると思うんですよね。今日の結果はそういった明るい将来を期待できるものだったと思います。

  3. JEF九郎 より:

    私も奥川くんは中々良いなと期待値上げてます。若い割に試合巧者というか、調子上がらない中でもやり繰り上手いですよね。その辺が勝ち運ある秘訣だと思ってます。

    ※ 高梨辺りは逆にチカラはあるのに、、、という印象。


    あと、昨日の試合、個人的には川端の走塁に敢えて喝を入れたい。昔広島戦で頭にぶつけられたので、つい怯んでしまったのは致し方無いですが、青木のあの身体を投げ出すような掻い潜りつつのダイビングを見た後だったので、気持ちの差が出てしまったかなと少し残念でした。高い技術は今シーズン、まだ開幕間もない中で既に証明出来たと思います。あとは姿勢と気持ちの面が一皮剥ければ、きっと過去最高の川端慎吾が観れると確信してます。頑張って欲しいです。

  4. FIYS より:

    saboさんへ

    並木は将来的にはあの場面でスタートを切れるようになってもらいたいですが、まだまだ相手バッテリーが警戒している場面で走るのは難しいと思います。大学時代は首都大学リーグの2部でプレーしていた選手ですからね。まずはプロのレベルになれるところからのスタートですよね。

  5. FIYS より:

    超匿名さんへ

    奥川は総合力の高さが目立っていますよね。高橋はストレートも変化球も一級品のモノを持っていると思うのですが、結果が伴わないんですよね。

  6. FIYS より:

    JEF九郎さんへ

    奥川はクレバーな部分はありますよね。今回の登板は上手くまとめた印象です。

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