野球の面白さ、難しさ、怖さ、奥深さが詰まった4x-3のサヨナラ勝ち

2024試合結果


ヤクルト4xー3西武(延長10回)

スコアは、延長10回で4-3という、どちらかというとロースコアのゲームだったのだが、その中に野球の面白さや難しさ、怖さや奥深さが詰まったゲームとなった。両リーグの最下位同士のゲームであり、レベルの高いゲームか?と聞かれれば首を傾げざるを得ないゲームではあったが、野球というゲームの様々な面を見ることが出来たゲームだと思う。

①綺麗な先制点
・初回の先制攻撃は、鮮やかなものとなった。先頭の西川が四球で出塁すると、続く丸山和の打席の初球にスチールを成功させ、0アウト2塁という形を作ると、2球目を丸山和がきっちり送り、1アウト3塁とすると3番長岡がタイムリーを放ち、先日の楽天戦での速攻を思わすような綺麗な先制点をあげてみせた。その後の今井の投球内容の良さを見ると、立ち上がりに先制点を奪えたことは、今日のゲームの1つのポイントにはなったと思う。

②吉村好投も落とし穴
・今シーズンの吉村は、コンスタントに試合を作ってくれており、それ程調子が良くなくてもある程度試合を壊さない投球を見せてくれている。今日はボールの走りもよく、6回まで圧倒的な投球を見せてくれた。軸となるストレートとフォークは勿論のこと、カットボール、スライダー、カーブもコントロール良く投げ込み、西武打線を圧倒していった。6回までノーヒット投球を披露し、正直今日の吉村が点を取られる姿が浮かばない程の出来だった。
しかし好投を続ける吉村に落とし穴が待っていた。7回の先頭打者外崎に対する初球のストレートがスーッと真ん中に入ると、そのボールを外崎に完璧に捉えられてしまった。打球はそのままレフトスタンドに飛び込む同点ソロホームランとなった。ノーヒットノーランどころか、1点のリードも一振りでなくなってしまった。あまりにあっという間の出来事で呆気にとられてしまった。その後1アウトから岸にもヒットを打たれ、元山に送られた後、代打栗山に前進守備のセンターの頭を超えるタイムリー2ベースを浴び、逆転を許してしまった。そして吉村は、このタイミングで降板となってしまった。先発としての役割はある程度は果たしてくれたのだが、ボールが走っていただけに吉村自身は悔しさしか感じていないのではないだろうか?

③8回の好守
終わってみれば、8回に飛び出した西川と丸山和の好守は大きなものとなった。1-2とリードされた8回表、大西が1アウト2塁のピンチを招くと外崎にあわやセンターオーバーという打球を打たれるのが、ここは西川がスライディングキャッチで捕球し、アウトを重ねると、続く蛭間のライト前ヒットは、丸山和の好返球でランナーをホームで刺し、追加点を許さなかった。結局9回に星が岸にソロホームランを浴びてしまうのだが、もし8回に1点でも奪われてしまっていたら、勝つ確率は限りなく低くなっていたと思う。西川のプレーも丸山和のプレーもビッグプレーだった。

④今井の熱投と継投時期
・私が今井に抱いていたイメージは、良いボールは持っているが、安定感に欠けるというものであり、西武先発陣の中では、まだ付け入る隙がある投手なのかな?と思っていた。しかし今日の投球を見て、「だいぶ自分の型を作り上げたのだな。」と感じた。150キロを超えるストレートに得意のスライダーのコンビネーションでヤクルト打線を抑え込んでいく姿は敵ながら惚れ惚れしてしまった。多彩な球種をコントロール良く投げ込む吉村に対して、ほぼ2球種でねじ伏せてしまう今井の投球も印象に残った。初回に先制点を奪った後のチャンス、3回の1アウト2,3塁のチャンスを逃したことによって、後は、今井の独壇場となってしまった。
西武ベンチはどこまで今井を引っ張るのかな?と思っていたのだが、球数が100球を超えていた9回のマウンドにもそのまま今井が上がることとなった。正直ほぼ勝ち目はなくなったと思っていたのだが、多少制球がばらついてきた今井から1アウト1,2塁のチャンスを作ることに成功した。しかしここでサンタナが三振に倒れてしまい、苦しくなったと感じたのだが、球数が129球を数えていた今井は、ここで降板となり、西武ベンチはマウンドにアブレイユを上げてきた。ここまで来れば、最後まで今井を続投させると思っていたので、意外なタイミングで継投となったのだが、そのタイミングで山田に同点タイムリー2ベースが飛び出した。球数が130球に達しようとしている今井を続投させるよりもアブレイユで力でねじ伏せた方が、山田を打ち取れる可能性が高いと踏んだのだろうか?
継投の難しさ、怖さを改めて感じる場面となった。


⑤9回裏の執念の采配と山田の同点タイムリー2ベース
・9回裏は、丸山和と村上が四球を選び、出塁するのだが、高津監督をはじめとする首脳陣は、1塁ランナーの村上に代えて代走並木を起用してきた。この采配は、普通ではあり得ない采配である。村上は、足がまずまず速く、走塁もまずまず上手い。状況判断の上手い選手である。そして2点ビハインドの9回ということを考えても、延長戦を考えて、村上に代走を起用することは考えづらい場面だった。しかし高津監督は、この場面で代走並木を起用してきた。正直村上では、同点に追い付くことが出来ず、並木であれば同点に追い付くことが出来るシチュエーションが訪れる可能性は、ほんの数パーセント程度の確率だと思う。それでも同点に追い付く確率を僅かでも高めるために、村上に代えてまで代走並木を起用してきた。ギャンブルチックにも感じる采配だったのだが、今日は、この采配がドンピシャで当たることとなる。
山田がアブレイユのストレートを逆らわずにライト線へ運ぶと、この打球で2塁ランナーに続き、1塁ランナーの並木も生還し、見事に同点に追い付くことに成功した。この執念の采配が、延長10回のサヨナラ勝利に結びつくこととなった。それにしても、このタイミングで村上であれば生還できず、並木であれば生還できるような打球を山田が放つのだから驚いてしまう。
山田については、この同点2点タイムリー2ベースが通算300本目の2ベースヒットになったのだが、ライト線へライナーで運ぶ2ベースはあまり見た記憶がない。状態が良くないからこその打球のようにも感じたのだが、土壇場の良い場面で結果を残してくれた。山田自身、現状には納得がいっていないと思うのだが、今日くらい気分良く過ごしてほしいものである。

⑥やっぱり四球とエラー
・競り合い、特にロースコアのゲームになると四球とエラーが目立つ展開になることが多い。今日はそういったゲームだったのではないだろうか?初回は四球からチャンスを作ったし、9回の同点劇の起点も2つの四球からだった。そして10回のサヨナラの場面は、丸山和のバントヒットに滝澤の送球エラーが重なってのサヨナラ劇となった。日本最高峰のNPBのレベルは、非常に高いのだが、そういったレベルで戦うからこそ、1つのミスが勝負を分けることとなる。

今日のゲームはスコア以上に中身の詰まったゲームとなった。ヤクルトとしては、日曜の石川の勝利を2連勝に繋げた意味は大きいと思う。今シーズンはカード初戦を獲ってからのカード負け越しが目立っているのだが、今回の西武との3連戦は、しっかり勝ち越してもらいたい。

P.S 先程も書いたのですが、山田の状態はどう見ても悪いと感じます。それでも今日は土壇場で大仕事をしてくれました。キャプテンである限りチームを背負う覚悟が強いと思うのですが、今日くらい笑顔で過ごしてもらいたいですね。スーパースターに掛ける言葉ではないのですが、今日は気分よく眠りについてもらいたいものです。「いい夢見ろよ!」と心の中で呟いております。




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感想(10件)




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コメント

  1. アーム より:

    高津監督はどんなに不調でも山田、青木、川端などの一緒に闘ってきたオールドメンバーを試合に出して心中する覚悟なんでしょうね

    • fiys より:

      アームさんへ

      どうですかね?あまりに結果が出ないようであれば、使い続けることもないのではないでしょうか?

  2. 超匿名 より:

     吉村の六回ノーヒットピッチングにはエースっぽい響きがします。勝利投手にはなれませんでしたが、やはり今季はやってくれますね。
     近年は山田がヒーローになることは少なくなっています。ファンとしてトリプルスリーの幻影はもう追っていません。でもおそらく生涯ヤクルトであろうこの人の活躍が出来るだけ見たいですね。

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