雨のドジャースタジアムで惜敗

日本1-2アメリカ

仕事のためリアルタイムでの観戦は出来ず、ハイライト映像を見たのみなのだが、いい試合だったと思う。狙い通りのロースコアのゲームに持ち込み、後一歩というところまでは来ていたと思う。それだけに守備のミスが失点につながってしまったのがあまりにも痛かった。しかし慣れない雨のドジャースタジアムでのゲームだったこともあり、菊池のエラーに関しては決して簡単な打球ではなかったと思うし、松田のファンブルに関しても非常に緊迫した場面でのミスであり、仕方なかった部分もあると思う。しかし「この2つのミスがなければもしかしたら…」という気持ちになってしまうのも確かである。
それでも4大会連続のベスト4進出は素晴らしい記録だと感じるし、「日本代表のバトン」がしっかりと引き継がれていることを感じることが出来る大会だったし、日本における野球文化の成熟も感じることが出来た。
個人的には満足度の高い大会となった。

アメリカ戦の感想を簡単にまとめてみたい。

まず投手陣に関しては、やはり日本の一線級の投手は、メジャーでも通用することを確認することが出来た。菅野は元々高い集中力を発揮して相手打線と対峙できる投手であるのだが、このアメリカ戦ではもう1つ普段とは違うギアを入れているように感じた。ストレートでも押せていたし、スライダーをはじめとする変化球でもアメリカ打線を翻弄してみせた。改めて素晴らしい投手だと感じた。
千賀もWBC前はWBC球にフィット出来るのかどうか不安が語られることもあったと思うのだが、蓋を開けてみれば150キロを超えるストレートと落差の大きいフォークボールで相手打者を牛耳ってみせた。日本人選手で唯一のベスト9にも選ばれ、世界に衝撃を与えてみせた。育成枠から日本を代表する投手に成長してみせた。支配下登録された時に記事を書いていたので貼り付けておきたい。→「気になる…千賀滉大

おそらく菅野、千賀の2人に関しては、メジャー球団のいくつかの球団は、今すぐにも獲得したいと感じたのではないだろうか?

野手はここのところメジャーで活躍する日本人選手が減少傾向にあるのだが、近いうちにメジャーでレギュラーを張る選手が現われるのではないだろうか?

筆頭候補は日本代表の4番筒香ではないだろうか?アメリカ戦ではチャンスで結果を出すことが出来なかったが、メジャーの投手が投げ込むムービング系のボールもそれなりに捉えていた。守備力という部分ではまだまだの部分もあるのだが、打撃だけなら松井秀喜氏と肩を並べられるだけの選手になるのではないだろうか?初回のロアークからのレフトフライ、8回のニシェクからのライトフライは惜しい当たりだった。

ヤクルトの至宝山田も慣れないDHで調子自体も良くなかったのだが、それでも自分のバッティング、自分の野球はしっかりこなしてくれていた。バットで結果を残すことは出来なかったが、盗塁でチャンスを広げたり、大事な場面で送りバントを決めたりと、様々な能力に長けた選手だということを示してくれた。ヤクルトファンの私からすると生涯ヤクルトでプレーしてもらいたいという気持ちが強いのだが、メジャーでどの程度通用するのか見てみたいと感じているプロ野球ファンの方も多いのではないだろうか?

山田同様内野手としてメジャーのレギュラーを狙えるのでは?と感じさせるのが、菊池である。守備はすでにメジャーで通用するレベルにあるのではないだろうか?松井稼、井口、岩村、西岡辺りと比べても守備は菊池が図抜けていると感じる。あれだけ深い位置で守れるというのが菊池の武器である。肩の強さがあるセカンドにしか許されない守備位置である。それだけで他の二塁手をリードしていると感じる。歴代NPB選手の中でも守備では№1評価をして良い選手だと思う。このゲームでは痛恨のエラーを記録してしまったのだが、雨の中で土から天然芝に切り替わる部分でのイレギュラーという事で見た目以上に難しい打球だったと思う。それよりもその後の打席でホームランを放ち、自分のミスを取り返したメンタルの強さと確かなパンチ力のある打撃を評価するべきだと感じる。これまでは守備で注目を浴びることが多かったのだが、今シーズンは打撃でどのような数字を残すのか注目してみたい。

現時点でメジャーで通用する可能性がある野手はこの3人ではないだろうか?

他にも代打でしっかり結果を残した内川、今大会通して活躍し続けた小林辺りは印象に残る活躍をみせてくれた。采配面では、初回の菊池の送りバントと8回の山田の送りバントに対して「賛否」が渦巻いているようだ。国際試合での送りバントの使い方については私自身も以前から疑問を感じている部分があった。前回大会時にもこのブログで「国際試合を戦う際の送りバントの使い方というものは以前からずうっと気になっていたのだが、今大会でも気になった。もう少し上手い戦い方はできないものだろうか?普段あまりバントをしない選手がスモールベースボールの名のもとにバントを試みるのはあまりに窮屈ではないだろうか。まあ負けられない戦いが続く中では仕方ない部分もあると思うのだが…」ということを記している。
しかしこの試合の菊池の送りバントと山田の送りバントは意図を感じる采配であり、2人ともしっかり送りバントを成功させただけに悪くない采配だったと感じている(リアルタイムで観戦していたらまた違った感想を抱いたのかもしれないが…)。おそらくこの試合小久保監督をはじめとする首脳陣は、ロースコアの接戦に持ち込みたいと考えていたはずである。それであれば、初回から送りバントを使い、中軸のバットに期待するという作戦はセオリー通りの策だと感じるし、8回の山田の送りバントに関しても、山田が本調子ではない中でアメリカに渡ってから結果を残している菊池のバットに期待する策はある意味では当たり前の策だと感じた。筒香や中田とは違い、山田は場面によっては送りバントをしなければならないタイプの選手だと思うし、ヤクルトファンであれば現状の山田が本調子ではないことは分かりきったことだった。その中でまずは得点圏にランナーを進めようとする選択は良い選択だったと思う。そしてこの場面でしっかりバントを決めた山田も見事だったと思う。結果としては初回も8回も得点が奪えなかったのだが、これは野球というゲームの性質上仕方ないことだと思う。

最後に2013年から日本代表の監督を務めた小久保監督に「お疲れ様」の言葉をかけたいと思う。前回のWBCでは監督人事でゴタゴタしてしまい、最終的には苦肉の策のような形で山本浩二氏が就任するという事態が発生してしまっていた。今回は2013年からリーダーシップに優れた小久保監督が就任し、このWBCのために代表チームを整備してきた。確かに小久保監督はこれまで監督経験がなく、日本代表の監督という役割は荷が重い部分もあったかもしれないが、難しい仕事をよく全うしてくれたと感じる。小久保監督にしか出来ない仕事ぶりだったのではないだろうか?6勝1敗での準決勝敗退という結果は世界一を目指していたことを思うと残念な結果なのかもしれないが、それでも胸を張って良い結果だと感じている。

冒頭にも書いた通り個人的には満足度の高い大会となった。もうすぐにペナントレースが開幕するのだが、山田、秋吉、バレンティンと出来るだけコンディションを整え直してシーズンに臨んでもらいたい。

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コメント

  1. k より:

    まずWBC準決勝の山田と菊地のバントに関しては個人的にはエンドランか山田か田中に単独で盗塁ですね。
    理由は初回で貰ったランナーですし投手がクイックを使ってないのとストライクゾーンで球を動かしてくる投手なのでエンドランかけても転がせるので動いた方がいいと思いましたね。
    それと予選ラウンドと違いますし一発勝負なので勢いつけた方がイニシアチブ握れるので采配が弱気だとホームのアメリカには勝てないですね(優勝した2006、2009は準決勝決勝ではエンドランなど積極的な采配してましたしね)
    次に小久保監督ですが結果オーライばかりですね、ベンチのミスを選手がカバーしたという印象しかなく我慢したかいがあったいう監督にうつりました。
    まず緻密さが足りないですね、選手選考も左打者が少なく外国人投手は球を動かしてくるのでポイントが近く反対方向に押っつけるバッティング出きる中村晃や角中(川端はケガで無理でしたが)の方が確率はいいと思います。
    あと守備固めの選手を使わない(筒香や青木は守備がイマイチなのに平田や鈴木誠を終盤起用しない)
    それと外国人打者は今回も見てて分かりますが変則と落ちる球を苦手にしてるのにサイドの田島を選考していない(平野は追加招集されましたが)
    試合の采配も順位が決まってる中国戦で、ただ選手の調整に試合をしてるのは理解できませんし。
    1次2次ラウンドでの戦い方を見ても、ほとんど五点くらい失点していて準決勝で急にロースコアに持っていこうという采配しても、それは勝てませんよね。初回からバントとか、そういう試合の仕方をしてきませんでしたしね。
    今回の侍ジャパンの4年間は監督経験のない小久保監督を育てるためのものだったとしか思えなかったのが残念ですね。

  2. k より:

    続けてのコメントですいません。
    山田のメジャー挑戦ですが守備が厳しいですね。天然芝ですしスローイングに難がある選手なので弱いチームならレギュラーになれか・・・・・足と打撃は通用するかなと。

  3. トムモリー より:

    テレビ観戦出来ました(^^)

    菅野も千賀も、メジャー投手があまり投げないフォーシームが素晴らしかったです。

    2人ともツーシームをもっと使いこなせるようになれば、間違いなくメジャーでも通用しますね(^^)

    山田君もメジャーに興味が湧いたようですので、守備も含めてもっともっと上達して欲しいですし、彼なら出来ると思ってます!
    メジャーに行くまでNPBでトリプルスリーを取り続けて欲しいですね(^^)

  4. 久保田 より:

    バレンティン選手のメジャー復帰もアリそうで心配です。オランダというすごいチームで4番を打ち、存在感をメジャーに十分にアピールしましたし…。

  5. sabo より:

    そもそもヒット出てないし、ゴロ多かったですから得点の確率を上げるにはバント作戦は正解でしたね。観戦中もそれほど違和感は無かったです。そのうえでバント後にヒットを打てて得点出来れば良かったのですが(汗

    エラーが失点に結びついてしまったのはホントに痛くて、晴れてさえいればまた違ったと思うんですけど運の要素があるスポーツなので仕方ないですね
    正直もっとボロ負けする覚悟もしていたので大健闘です
    プエルトリコ相手だったら勝てたかもな……なんて思ってます(笑

    そういう意味じゃ4年前より強いチームだったと思いますし小久保監督には感謝です

    今大会を通してみても中々良い大会だったと思います。どのチームも想像以上のレベルだったし、MLB所属以外の選手も強かったし意外と緻密だった。イスラエルなんかはアメリカ人しかいないなんて言われたりもしましたが、これを機にイスラエル代表はイスラエルに球場建設の寄付をしたらしいし、こういう風に野球が広まれば良いなと思います。
    MLB(NPBも)の拝金主義は辞めてほしいですけどね(笑
    ちゃんと野球後進国のリーグ運営費出せって思います(笑

  6. FIYS より:

    > kさんへ

    中々辛口ですね。

    確かに序盤から仕掛けるチームは多かった印象があります。山田ー菊池の1,2番であればもう少し揺さぶりを掛けても良かったかな?ということでしょうか?

    ペナントレースが日本の野球文化としてしっかりと根付いていることが選手選考などではマイナスになってしまっている面もありますかね?野球の代表監督というのは非常に難しい仕事だと感じます。

  7. FIYS より:

    > kさんへ

    山田の守備は年々進化しているので、まだまだ伸びる可能性があると思っています。逆に打撃はMLBの投手が投げるムービング系のボールに苦戦するのかな?というのが私の見立てです。

  8. FIYS より:

    > トムモリーさんへ

    リアルタイム観戦羨ましいです。

    WBCのたびに感じるのですが、日本人投手の4シームのストレートは非常に綺麗で見とれてしまいます。相手打者に慣れられたら苦戦するのかな?とも感じるのですが、同じように綺麗な4シームを投げていた上原辺りがしっかりメジャーで活躍しているので、菅野、千賀もメジャーで通用するだけのボールを持っているように感じます。

  9. FIYS より:

    > 久保田さんへ

    久保田さんは以前からバレンティンを高く評価していますもんね。

    メジャーに復帰したいという強い思いがあるからこそ選手として成長する部分もあると思うんですよね…もちろんヤクルトファンとしては複雑な気持ちにもなりますが…

  10. FIYS より:

    > saboさんへ

    リアルタイム観戦羨ましいです。

    私も4年前に比べてチーム力は上がっていると感じました。4年前の反省を多少は活かせていたのではないかな?と感じることが出来ました。

    イスラエルもそうですが、こういった大会を機に野球というスポーツが少しでも世界に広まれば良いですよね。様々な国の野球を見られるのは面白いですよね。

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