高津カラー

2020試合結果

ヤクルト4-6阪神

山田哲を欠き、村上も退いた後の6回に追いつかれたことでかなり厳しい状況に追い込まれてしまった。一旦は渡邊、荒木の活躍もあって勝ち越しに成功したのだが、ここまで好投を続けていた清水が2本のホームランに沈んでしまった。正直この展開で勝つことが出来たのならば、高津采配が上手く回り過ぎているように感じたはずである。今日で22試合を消化したのだが、高津カラーがはっきりと見えてきている。

①選手の体調管理
・コロナ禍による変則日程のシーズンになったことも影響しているのかもしれないが、各選手のコンディショニングというものを非常に気にかけている様子が見られる。昨日のゲームから山田哲が欠場し、今日のゲームでは村上を5回の打席でヒットを打ったところでベンチに下げている。投手陣も先発は100球を目途に下ろしており、リリーフ陣も事前の登板日や球数なども考慮した中で起用している様子が伺える。決して選手層が厚いチームではないのだが、上手く休養日を作っており、この起用法でもここまで12勝9敗1引き分けと健闘している。

②積極的な機動力の活用
・ここ数年、「個の力」で勝負するチーム作りを行ってきたこともあり、盗塁の企図数が減っていた。しかし今シーズンは明らかに盗塁の企図数が増えている。おそらく成功率は高くないと思うのだが、相手チームにヤクルトの攻め方が変わったと意識させることには成功していると感じる。
15年ほど前だっただろうか「マネーボール」が流行った頃に盗塁についてはそれ程重要なスタッツではないとの話しもあり、盗塁については積極的に策として用いるチームとそうでないチームとにはっきり分かれてきていたように思う。私自身も盗塁で最も大事なのは成功率と考えており、成功率が高まって初めて有効になる策だと思っていた。しかし今シーズンのヤクルトの野球を見ていると積極的に走ることで相手バッテリーの警戒度が上がってきていることを感じることが出来ている。失敗が多くても塁上からプレッシャーを掛け続ける効果はあるように思う。今日のゲームでもエスコバー、渡邊が盗塁を成功させているのだが、これだけ積極的に走るヤクルトを見るのは久しぶりである。相手バッテリーへのプレッシャーの掛け方で高津カラーを出してくれている。

③選手へメッセージを送るような起用法と采配
・今の所、奇策のような采配はあまり見られない。どちらかというと選手に「あなたにはこういうプレーを期待していますよ。」、「今日はこういったマネジメントでゲームを進めますよ。」ということをはっきり伝えるような起用法、采配を行っており、選手が各々役割を理解した中でプレーしている様子が見られる。野球というスポーツは相手があるスポーツであるため、相手チームとの駆け引きはもちろん必要になってくるのだが、高津監督はその前段階として、選手を不安にさせないでプレーさせること、迷いを消し去った中でプレーさせることを重視しているように感じる。一旦は勝ち越しとなる1点を上げた8回の攻撃などは出場機会の少ない渡邊がヒットで出るとすかさず盗塁に成功し、坂口送りバントの後にこれまた出場機会の少ない荒木がタイムリーを放つという流れるような攻撃を見せてくれた。とにかく1点を勝ち越して、守り切るというはっきりとしたゲームマネジメントが見える采配だった。

④若手の抜擢
若手の成長を促すような積極的な抜擢も高津カラーをより鮮明にさせている。開幕前には今日先発した高橋を開幕投手候補として名前を挙げ、開幕してからは村上を4番に抜擢したり、梅野、寺島、長谷川にリリーフとしての責任を持たせ、清水には大事な8回のマウンドを託している。まだまだ安定性に欠ける選手が多いのだが、これらの選手が成長しない限り、ヤクルトの上位進出は難しいことは高津監督が一番理解しているはずである。明日の先発は吉田大喜である。広島のエース大瀬良相手にどんな投球を見せてくれるか非常に楽しみである。

今日のゲームということで言うと高橋が素晴らしいボールを投げながら結局6回を投げ切れず、勝ち投手の権利も手放してしまい、高津監督の秘蔵っ子のような存在となった清水も打ち込まれてしまったのだが、村上が猛打賞と主軸の仕事をし、途中出場となった渡邊も自分らしさを存分に出してくれた。結果が出ない日もあるのだが、若手の成長を促そうとする意図が伝わってきており、その辺りはファンも支持しているのではないだろうか?

一旦は3-0とリードし、高橋も一級品のボールを投げ込んでいただけに本来であれば勝ちたいゲームだったのだが、3-3に追いつかれた後でよく粘ったという見方も出来ると思う。

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コメント

  1. JEF九郎 より:

    ついに清水が捕まってしまいましたが、表情を見る限りは顔面蒼白というよりは、悔しさと負けん気が表に出ている様に見受けられたので、彼の昨年からの成長を強く感じましたし、昨日の結果は全く問題無いように思いました。引きづらず切り替えて、また1からスコアボードに0を積み重ねて欲しいと思いました。

    今日は吉田くんが先発ですね。非常に楽しみです。勝敗云々よりは、まずは精一杯腕を振って全力で100球を投げ切って欲しいです。

    ※ 若手起用、いいですね。負けてもチームの経験値が上がっていることが感じられるので、未来に期待が持てますよね。

  2. sabo より:

    村上を変えた以上は得点が難しくなってしまったので采配も難しいゲームでした
    誤算だったのは清水よりも以前に近藤がなぁ。
    五十嵐、近藤、マクガフと去年までのヤクルトのリリーフを支えた選手が軒並み不調なのは勤続疲労なのか関係なく不調なのか。

    それと雄平の守備はちょっといけないですね。外野は小さなミスでも相手に進塁を許すのですから打たせて取るタイプのうちの投手には塁を進められるのはつらいです

    今外野手である程度打てる選手がいないのが悩ましいですが、ファームで好調の松本友を使ってほしいですね

  3. FIYS より:

    JEF九郎さんへ

    プロの世界でリリーフ適正を見ていくには1試合単位ではなく、もっと長い間隔で見る必要がありますよね。清水は1試合単位であれば通用することを示してくれています。シーズンを通して結果を残せるか?失敗した後で引きずらないか?という部分もリリーフを任される投手には必要となりますよね。

  4. FIYS より:

    saboさんへ

    強いて言えば村上を代えた直後のチャンスで1点も奪えなかったことが響いてしまいましたね。

    こんな時だからこそ塩見、廣岡には期待したいんですけどね…

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