野球の進化と変化(時代の進化と変化)

ヤクルト7-10阪神

先発の小川が3回持たずに大量失点でKOされてしまったことにより、試合は決まってしまった。最終的には先日のゲームからの死球の積み重なりもあり、警告試合が宣告される後味の悪さも残るゲームとなってしまった。

ヤクルトの先発はエース小川だったのだが、今日は、初回から阪神打線に掴まってしまった。初回は3連打を許し、いきなり0アウト満塁のピンチを背負ってしまうと、大山に犠牲フライを浴び、あっさり先制点を許してしまった。それでも続くサンズをダブルプレーに打ち取り、ここから立ち直ってくれるかな?とも感じたのだが、3回に先頭のガンケルにヒットを許すと、そこから5連打を浴びてしまい、結局2回0/3を被安打8、与四死球1の6失点で降板となってしまった。
素人目にはボールのキレ自体はそこまで悪いとは思えないのだが、滅多打ちに遭ってしまうというのは、ここ数年の小川の投球によくある出来事である。これまでも小川が何故ここまで打ち込まれてしまうのか分からないということをこのブログで何度か書いた記憶がある。相手チームにクセを見破られてしまっているのでは?というような見立てしか出せなかったのだが、今日のゲームで相手チームのガンケルの投球を見て、単純にNPBのレベルが上がってきたからなのかな?ということを感じた。小川はプロ9年目を迎えているのだが、ルーキーイヤーにいきなり最多勝、新人王を獲得したヤクルトのエースである。小柄な身体ながら下半身が安定しており、浮き上がるようなストレートと多彩な変化球で勝負出来る引き出しの多い好投手という印象である。個人的には小川の投球スタイルは、先発投手として理想的であり、現代野球にもマッチしていると考えていた。しかしここ10年で野球というスポーツも大きく進化してきている。一番は扱えるデータが増えたという所にあるのではないだろうか?そのことによって、小川のような正統派の投手は相当レベルの高い投球(ボールのキレとコントロール)が求められるようになっていると感じる。少しでもボールの質が落ちたり、コントロールにズレが生じてしまうと相手チームは小川のボールにきっちりアジャストしてくるため、1つのアウトを取るのに苦戦してしまうということなのではないだろうか?
相手先発のガンケルが、緩急という部分ではなく、ツーシームやカットボール、スプリットなど同じような球速ボールを動かしながらゾーンの中で勝負する姿を見て、現代野球のトレンドはこういう投手なのかな?という気持ちになった。ガンケルようなタイプは、ストライクゾーンでどんどん勝負しながらも、球筋は読みづらく、打者も勝負が早くなってくる。そうすることで、必然的に1人の打者と対峙するために要する球数は減ってくる。100球を目途に投げたとしても6回以上は投げられるような現代の理想的な先発投手ということが言えそうである。
小川のプロ生活も約10年となるのだが、この10年で間違いなく野球は進化してきている。私自身、小川は理想的な先発投手だと感じていたのだが、一世代前の投球スタイルで勝負しているということも言えるのかもしれない。小川が今後どのように対抗していくのか見守っていきたい。

戦術面での進化という部分でもデータというものが大きくかかわっているように感じる。先日のゲームでのサンズの盗塁(失敗)はカウント0-2,バッター佐藤輝の場面で仕掛けたものであり、セオリーとは違う仕掛けだったし、藤浪の打席での梅野の盗塁もセオリーとは違う仕掛けだった。おそらくどちらもほぼ確実に成功できるという根拠を持った中での仕掛けだったと推測する。今日のゲームでは3回0アウト1,2塁の場面で糸原に強行策をとった場面が印象に残った。今シーズン糸原は1つも送りバントを行っていないということだったのだが、流石に3回の場面については、送ってくるものだと思った。しかし阪神ベンチは糸原にそのまま打たせ、結果としてタイムリー2ベースを放つこととなった。糸原については、「強打の2番」という印象はなく、どちらかというと何でも出来るオールドタイプの2番打者という印象なのだが、その糸原にバントという選択肢なしで戦ってきている部分に野球というスポーツの進化と変化を感じることが出来る。この辺りはまだ開幕して1か月も経過していないため、今後このままバントをしないのかどうか?という部分は分からないし、投手陣が安定し、勝ちを重ねているからこそ積極的に攻めていけるというチーム事情もあると思うのだが、甲子園という広い本拠地で戦う阪神の2番打者っぽくない戦い方を選択している所に進化を感じることが出来る。

もう一つは、今年のルーキーの活躍ぶりである。これもネットなどで簡単に多くの情報を手に入れられるようになったことで、プロに入る前からプロ入り後の自分の姿を想像しながら練習に励むことが出来る選手、指導者が増えてきているということが言えるのではないだろうか?特に野手陣に付いては、プロの投手のボールになれるまでに時間がかかるが当たり前だったのだが、この所1年目から結果を残せる選手が少しずつ増えてきている印象がある。今日のゲームでは阪神中野、ヤクルト元山(東北福祉大の先輩、後輩)が結果を残したのだが、同じ阪神の佐藤輝やDeNAの牧も私の想像以上のプレーを見せてくれている。アマチュア野球の進化というものも今後注目していきたいところである。

また今日のゲームでは大差が付いた中で阪神は、7回から勝ちパターンのリリーフではない、ルーキーの石井大を登板させたのだが、ヤクルトは山田の3ランホームランなどで4点を奪い、試合の流れを変える場面があった。先発投手が100球目途でマウンドを下りることでリリーフ陣の負担は大きくなり、特に勝ちパターンのリリーフ投手の休ませ方というものが、どの球団でも課題となっている。今日のような展開であれば、阪神は勝ちパターン以外の投手で逃げ切りたいと考えたと思うのだが、少しレベルが下がる投手が投げると一気に打ち崩されてしまう危険がある。これもNPBのレベルが上がっていることを示す現象なのではないだろうか?

今日のゲームでは野球というスポーツの進化を感じるとともに野球の普遍的な部分も感じることが出来た。それは野球というスポーツは投手が硬球を打者に向かって投げ込むことで成り立つスポーツということである。打者は150キロを超えるようなスピードで硬球が身体に向かってくる危険性と常に隣合わせなのである。だからこそ今日のゲームでは警告試合が宣告されたのだが、この恐怖心も利用しながら打者を抑えるのが投手なのである。
私が野球を見始めた頃は、まだ頭部死球で一発退場というルールはなかった。選手を守るためにルールも変わってきた歴史がある。時代の流れからすると今後はこれまで以上に選手を危険から守る方向に野球も変化してくると考えられる。ルール変更や防具の進化によって、野球が変化していく可能性は高いのではないだろうか?時代の進化、変化と野球をはじめとするスポーツの進化と変化、そういうものも感じながら野球観戦を楽しんでいきたいものである。

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