小澤がプロ初勝利。初回の攻防で明暗分かれる。

ヤクルト11-4DeNA

プロ入り初先発となった小澤の投球に注目が集まったのだが、初回のピンチを凌ぐと、その裏味方打線が大量5点を援護し、小澤の投球を楽にさせてみせた。2回以降もピンチの連続ではあったのだが、初回のリードを活かす形で苦しみながらも5回を3失点でまとめ、プロ7年目で嬉しいプロ初勝利となった。

小澤の投球に触れる前に、ヤクルト打線の初回の攻撃を振り返っておきたい。DeNA先発の京山を相手に先頭の塩見が初球を捉え、ヒットで出塁すると続く山崎の打席でエンドランを仕掛け、ボテボテのピッチャーゴロが内野安打となるのだが、1塁ランナー塩見はこの間に一気に三塁を陥れてみせた。京山の打球処理のちょっとした隙をつく塩見の見事な走塁だった。このチャンスで山田が一二塁間を破るタイムリーヒットを放ち、先制することに成功してみせた。村上はセカンドライナーに倒れてしまったのだが、今日5番レフトで先発出場となった青木が詰まりながらもレフト前に落とす、2点タイムリーを放つと、続く中村には2ランホームランが飛び出し、この回一挙に5点を奪ってみせた。
5点を奪うまでに京山が投げた球数は16球である。正直京山の状態が良いかどうかも確認できない間に5点を奪ってしまった印象である。いい当たりばかりではなかったのだが、各打者、走者がそれぞれ自分の役割をしっかり全うした中で奪った5得点だった。
その後は、苦しい継投策となったDeNA投手陣をじわじわと追い詰め、こまめに得点を重ねてみせた。山田のタイムリー2ベース、青木のソロホームラン、塩見の犠牲フライ、中村のこの日2本目となる2ランホームラン、ルーキー丸山和のプロ第1号ソロホームランと着実に加点し、常に主導権を握り続けてみせた。プロ初先発となった小澤には多かれ少なかれ不安要素はあったのだが、その不安を打線がカバーしてみせた。

ヤクルト先発の小澤に関しては、個人的には先発で起用すること自体が驚きだった。小澤が支配下登録された際の記事にも書いたと思うのだが、短いイニングの中で思い切って腕を振って、相手打者を抑える、昨シーズン前半の近藤のような投球に期待したいと思っていた。前回の巨人戦で4イニング投げたことにも驚いたのだが、この辺りは、乱打戦が続いており、投手事情が厳しくなりかけていただけに、小澤には、やむを得ず、想定よりも長めに投げてもらうことになってしまったのだと思っていた。しかし高津監督は1週間前に小澤がプロ初登板をした、そのすぐ後には、小澤に今日のゲームの先発を任せることを伝えていたということだ。前回のプロ初登板を先発が可能かどうか?というテストの場にもしていたということなのだろう。この辺りが高津監督の凄いところである。そして小澤には先発としても十分やっていけるだけの力を持っていると感じていたのだろう。
前回の巨人戦、今日のDeNA戦での投球を見て、私が勝手にイメージしていた小澤のイメージと本来の小澤の姿には多少のずれがあった。
①サイドスローのフォームに違和感がなかった。
・本格派のオーバースローからサイドスローに転向することになった投手はこれまで何人か見てきているのだが、どうしても上半身の使い方と下半身の使い方が連動せずに、手投げのようなフォームで投げる投手が多かったように記憶している。「横から投げているだけ。」状態であり、ボールのキレ、コントロールともイマイチで、1軍の世界では中々通用しなかった投手が数多くいた。しかし小澤に関しては、腕の振りと腰の動きがしっかり連動しているように見え、投球フォームに違和感を感じなかった。サイドスローに転向してまだ1年も経っていない段階でこれだけ投げられるのであれば十分である。

②緩急が使える。
・私がイメージしていた小澤像は威力あるストレートと力付くで曲げるようなスライダーのコンビネーションで打者を抑えて行く姿だったのだが、その他にフォーク、カーブを上手く織り交ぜることが出来ている。フォークはチェンジアップ気味のボールなのだが、タイミングを外すうえで大事な役割を担っているし、時折投げるスローカーブも良いアクセントになっていた。以外に器用なところを見せてもらった。

③対左打者対策が出来ている。
・サイドスローの右投手にとって、左打者は天敵になりやすいのだが、小澤は左打者を打ち取るための術も持っているように感じた。ナチュラルにシュートするストレートとこちらも多少落ち方に特徴があると思われるフォークボールを上手く使うことで、左打者にもある程度結果を残せるだけの投球を見せてくれた。

④ポーカーフェイス
・今日のゲームでは5回で被安打8、与四死球3の3失点と常に苦しい投球ではあったのだが、表情を変えずに淡々と投げ込むことが出来ていた。この辺りも先発で抜擢された理由の1つなのではないだろうか?

上記の4点は、私が想像していた小澤の姿といい意味で違った部分である。ロングリリーフをしたり、先発で起用したりすることには、しっかりとした理由があることを確認することが出来た。サイドスロー転向後1年足らずでここまで自分のフォームをものに出来始めているということは、今後もっと伸びる可能性があるのではないだろうか?
これまでは、2軍でもリリーフ起用がほとんどであり、個人的には短いイニングを全力で投げる姿も見てみたいのだが、前回、今回の投球で意外と器用なところを見せてもらったため、先発起用もあり得る投手であることを確認することが出来た。高津監督をはじめとする首脳陣は、この小澤の起用法をどのように考えているだろうか?

P.S 小澤のプロ7年目での初勝利は、プロの世界に飛び込んでから様々な紆余曲折を経た中での初勝利であるため、本人も感慨深いものがあるでしょうね。よくこれまで我慢し続けましたよね。プロ初勝利おめでとうございます。

にほんブログ村 野球ブログ 東京ヤクルトスワローズへ
にほんブログ村








コメント

  1. sabo より:

    ストライクゾーンはお互い狭かったし投手の忍耐力が問われる試合だったと思う
    小澤は味方の大量リードが良い方に働いていたとはいえ我慢強く真面目にストライクを投げていたと思う
    その結果が与四球1。これは十分褒められる。(与死球2だけど)
    ものすごく制球がいいってタイプでなくても四球で自滅するタイプじゃないなら計算もしやすいし
    それに相手は強力DeNA打線だしな
    よくやったよ

    チームは実はとにかく先発の数がぎりぎり。
    とりあえず暫定ローテに小澤が入ったとは思うけど
    ゆとりローテを盤石にするにはどこかで星を試すのか、スアレス再チャレンジか

  2. 超匿名 より:

     接戦をものにして辛勝の次は大勝でしたか。手ごわいチームになりましたね。
     塩見は好調を維持し、山崎は自分の役割をこなそうとし、青木はらしいホームランを打ったし、代打で出てきた坂口もいます。ルーキーの丸山は大きくて綺麗なアーチを放ちました。この日はベンチスタートだった濱田や復帰を目指すサンタナがいたりと外野手争いが熾烈ですね。
     

  3. FIYS より:

    saboさんへ

    小澤は、細かいコントールで勝負するタイプではないですが、どの球種もある程度使えるボールになっていましたよね。我慢強く投げてくれましたよね。

    小澤は、一旦リリーフに戻りますかね?高津監督の投手運用に注目ですね。

  4. FIYS より:

    超匿名さんへ

    控え野手含めて、期待感の高い選手が揃ってきましたよね。若手も中堅もベテランも噛み合っていますよね。

タイトルとURLをコピーしました