オリックスは強い。ヤクルトも強い。

日本シリーズ第1戦
ヤクルト5-3オリックス(ヤクルト1勝)

両チームともに昨年よりもパワーアップしている印象である。おそらくヤクルトファンは「オリックスは強い。」と感じた方が多かったのではないだろうか?逆にオリックスファンも「ヤクルトは強い。」と感じた方が多いのではないだろうか?序盤から予想に反して点を取りあうゲームとなったのだが、これは昨年はゲームが行われなかった「神宮球場」でのゲームだからこその出来事だったのだろうか?昨年同様最後まで気の抜けないゲームとなった。今シリーズも激闘が繰り広げられる予感がする。ヤクルト側の視点で見るとまずは山本相手に勝利出来たことが非常に大きいと感じる。

まずは対山本由伸という部分を振り返ってみたい。先頭の塩見の対しての初球は155キロのストレートだったのだが、そのストレートをいきなり弾き返した塩見の一打はチームに勇気を与えたはずである。続く山崎も初球から積極的にスイングを掛けていった。これは昨年のシリーズと変わらない光景だった。好投手に対して好球必打の姿勢で積極的にスイングを掛けていくことがチームで徹底されていた印象である。山崎、山田は三振に倒れてしまったのだが、村上が四球を選ぶと、続くオスナが山本の甘く入ったカーブを三塁線へ弾き返すと打球は三塁ベースを直撃する先制2点タイムリー2ベースとなった。CS初戦でも同じようなシチュエーションでオスナが先制3ランホームランを放ったのだが、今日もNPBを代表するエース山本から大きな仕事を果たしてみせた。好球必打の意識を持っているからこそ甘いカーブに反応が出来たのだと思う。好投手山本に対して少しでも弱気な姿を見せれば、そこにどんどん付け込まれてしまうと思うのだが、そういった姿を見せずに先制点を奪えたのは大きかった。打球自体は、三塁ベースを直撃して打球方向が変わったのか、ファールグラウンドでイレギュラーしたのか判別できないような非常に微妙な打球となったのだが、この場面はヤクルトにツキもあったということになるだろうか?
この2点を活かしてそのまま逃げ切るのが理想的ではあったのだが、その後同点に追い付かれ、ここからは我慢のゲームになる予感もしたのだが、そんな空気を吹き飛ばしたのは、初回同様塩見とオスナのバットだった。塩見は3回に追い込まれながらも山本の153キロのインコースへのストレートに反応すると打球は、左中間スタンドに飛び込む勝ち越しソロホームランとなった。初回のヒットも3回のホームランもおそらく山本にとっては投げミスのボールではなかったはずである。こういうボールを捉えてしまうのが塩見の魅力である。脆い時は全く打てなくなってしまう打者なのだが、時折天才的(野性的)なバッティングを見せ、見ているものを驚かせてくれる。今日のホームランはそういった類のホームランだった。
そして4回にはオスナが山本の失投を捉えたソロホームランを放ち、リードを広げてみせた。オスナのホームランについては、初回の2点タイムリー2ベース同様山本の投げミスを捉えたものだと思うのだが、こういった投げミスをしっかり捉えられる所に、オスナの調子の良さを感じることが出来た。
おそらく山本の不安要素は「神宮球場のマウンド」くらいだったと思うのだが、その影響があったかどうかは分からないが、ヤクルト打線が効果的に得点を奪ってみせた。山本は5回の投球時にアクシデントで降板(左脇腹の違和感との情報が入ってきましたね。)することになったのだが、とにかく山本から4点を奪えたという部分が今日の勝利に直結した。昨年は打ち崩せなかった山本を打ち崩したことはヤクルト打線にとって大きな出来事であり、明日以降も自信を持って戦えるのではないだろうか?
昨年までであれば、山本降板後にヤクルト打線がオリックスリリーフ陣を打ち崩す展開に持ち込むことも出来たと思うのだが、今年のオリックスは昨年に比べ、リリーフ陣の質、量ともにパワーアップしていた。比嘉ー本田ー阿部の前に追加点を奪うことが出来ず、1点差まで詰め寄られてしまったのだが、そこで貴重な一発を放ったのは、シーズンで何度も勝利を呼び寄せてくれた4番村上のバットだった。フルカウントからの平野のフォークをライトスタンドに運んでみせた。平野はベテランの経験値、投球術は持ち合わせているのだが、他の投手に比べ、ボールの威力は少し落ちる印象がある。村上がホームランを放ったことで、おそらく平野は抑えとしては使い辛くなったのではないだろうか?村上のホームランは今日だけでなく、明日以降のゲームにもつながるホームランになったと感じる。

打線が5点取ってくれたのは大きかったのだが、投手陣はオリックス打線に大いに苦しめられた印象である。先発の小川は、初回からストレートで攻めていき、初回は三者凡退で抑えたため、状態も良いように感じたのが、2回以降変化球のコントロールに苦しみ、球数が非常に多くなってしまった。2回には先頭の吉田正を四球で歩かせると1アウト後西野、若月、紅林に3連打を浴び、1点を返されると2アウト後、福田に押し出し四球を与え、あっという間に同点に追い付かれてしまった。その後のピンチは何とか抑えたものの、その後も1つのアウトを奪うのに球数がかさんでしまい、5回には、2アウト満塁のピンチを作ってしまったのだが、ここも西野をショートフライに抑え、何とかピンチを凌いでみせた。結局小川は5回で98球を投げ、被安打6、与四死球4の2失点で降板となった。出来ればもう1イニング投げてもらいたかったのだが、今日の状態では5回投げ切ることで精一杯だった印象である。悪いなりによく2失点でまとめたという言い方も出来るのではないだろうか?
6回からの継投は木澤ー田口ー清水ーマクガフと1イニングずつ繋いだのだが、昨年に比べて明らかにオリックス打線の圧力が高くなっていた。どの投手も簡単に3アウトを重ねることが出来ず、常に緊張感のある中でゲームが進んでいった印象である。一発出れば同点、逆転というような場面も多く、最後まで気が抜けなかった。吉田正のコンディションが良いことも昨年との大きな違いなのだが、その他には3番に入った中川圭の存在が気になった。今日はどの打席でもボールにアジャストすることが出来ており、非常にスキルの高い打者だと感じた。PL戦士といことで元ロッテのサブローの姿が重なるようなしぶとい打者の印象である。この選手が3番として良いつなぎ役になると、ビッグイニングを作られてしまう危険性が大きくなってしまう。昨年は、先発投手の力はオリックスの方が上だったと思うのだが、ヤクルト投手陣VSオリックス打線という構図を考えると、そこまで大量失点の怖さは感じなかった。しかし今年は、一歩間違えれば大量失点の可能性がある打線をオリックスが作ってきた印象である。今日はヤクルト投手陣が踏ん張ったが、明日以降もオリックス打線のプレッシャーに苦しめられそうである。

オリックスは戦前に予想した通りの強いチームという印象が残るゲームとなった。山本から4点を奪っても簡単に勝たせてくれなかった所に「負けて尚強し。」の印象を植え付けられてしまった。しかし冒頭にも書いたようにそんなゲームでも勝利したヤクルトもオリックス側から見れば「強いチーム。」に映ったはずである。

明日の予告先発はサイスニードー山崎福である。2戦目に山崎福を持ってくるというのは予想外である。奇策、秘策的な起用なのかオリックス先発陣に何らかのアクシデントがあるのか分からないが、宮城、田嶋と比べて少し落ちる印象はあるだけにしっかり打ち崩してもらいたい(打撃の良さを買って、DH制がない神宮球場のゲームで先発させたという部分もあるのですかね?)。

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コメント

  1. アーム より:

    なんとか粘って粘って勝ちましたね!
    小川は味方が先制してくれた直後に同点に追いつかれるという負けパターンの投球でしたけど、何とか最低限の仕事をしてくれましたね!
    この日本シリーズのオリックス打線のキーマンはラオウ杉本ですかね!
    この選手を眠らせておけば3点ぐらいで抑えてくれると信じたいです。
    T−岡田が不気味ですが、、、

  2. JEF九郎 より:

    熱戦の中、一番気になったというか驚いたのが小川の粘投でした。2回の時点では、なんとか3回までは投げて欲しい、、、そんな想いで観てましたが、粘り強く失点を2回のみに抑える投球は、エースの姿と呼んで良いのでは?!と感じました。

    警戒し過ぎた為か、序盤は少しリズムを崩してましたが、3回4回は見事立ち直ってみせましたね。
    ペナントも含めて1年間でみると離脱する選手が多い中、ほぼほぼローテを守り大一番の投げ合いでも勝利を拾ってくれる活躍は見事ですね。
    なんとなくあと1試合ありそうな気がするので、頑張ってほしいと思います。


    さて、今日のお相手の先発ですが、個人的には神宮ということ、そして恐らくは敵さんとしては昨日は勝つイメージが出来ていたと思うので、最悪は2戦目を落として1勝1敗で良いくらいのイメージで御の字くらいで宮城・田嶋を後ろに回したような気がします。(代わりに5戦目はまた山本でしょうね。)

    最後にもう始まっちゃいましたが、キープレイヤーはヤクルトは青木・川端・宮本・木澤、オリックスはT、頓宮、比嘉あたり。
    要は監督の采配の冴え(勘と計算)と、託された選手の活躍に掛かっている気がします。

    ※ 昨日の様子からすると中島さんの感ピューターが多少狂いかけている気がしました。
    今日で畳み掛けたいですね。

  3. 超匿名 より:

     ヤクルトの強みである一発長打で勝ちを引き寄せましたね。オリックス側はヤクルトが対巨人打線に感じている様な圧力を感じながら戦っているのではないでしょうか。4三振の山田にしても相手にとっては油断して良い打者ではないでしょうから、相当神経をすり減らしているのではないですかね。
     大エース山本に黒星を付け四番が平野からのホームランということで相手に与えたダメージは大きく、この勝ちが2勝分くらいの価値がある様に思えてきますね。

  4. FIYS より:

    アームさんへ

    投手陣は小川を中心に良く粘ってくれましたね。昨年同様ヒリヒリする展開が目立つシリーズになりそうですよね。

  5. FIYS より:

    JEF九郎さんへ

    高津監督VS中島監督の戦いも非常に面白いですよね。両軍ベンチの読み合いという部分も含めて楽しむことが出来ています。

  6. FIYS より:

    超匿名さんへ

    平野を使い辛くしたという部分でも村上のホームランは大きな一発となりましたよね。

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