第89回センバツ振り返り

過去記事はこちらから→「第89回センバツ注目選手

仕事もありほとんど見れなかったのだが、印象に残ったことを書き残しておきたい。決勝は大阪桐蔭と履正社という大阪対決となった。ここ数年の高校球界を引っ張る大阪勢2校の実力者同士の好ゲームとなった。優勝した大阪桐蔭に関しては、プロでも一流と呼ばれるような選手を多数輩出しており、ここ20年程で一気にモンスター軍団に躍り出た印象である。高いレベルのスカウトと育成力は他校の追随を許さない。このセンバツも新2年生が大活躍するなど、今後も他校の前に立ちはだかるのは間違いないだろう。しかしこの夏大阪桐蔭が簡単に甲子園切符を手にすることが許されないのが、大阪府の高校野球のレベルの高さである。センバツ準優勝の履正社や惜しくもセンバツを逃してしまった上宮太子辺りが打倒大阪桐蔭を掲げてレベルアップに励むはずである。今夏の大阪大会は激戦の予感である。

さてまずは印象に残った投手から挙げていきたい。

三浦(福大大濠)は、前評判通りの投球を披露してくれた。初戦の創志学園戦では右肘に死球を受けながらも続投し、2回戦の滋賀学園戦では、延長15回で決着つかず、再試合でも完投するという熱投を披露してくれた。ストレート、スライダー、カーブを中心とした投球だったのだが、どの球種もしっかりコントロールされていた。右打者でも左打者でもインコース、アウトコースとしっかり投げ分けられることが非凡である。特にインコースにあれだけコントロール出来ることは新3年生を迎える年代の投手には難しいと思うのだが、三浦はしっかりコントロールすることが出来ていた。
即プロということを考えるともう一段階ストレートの威力を増して、絶対的な変化球を1つ身に付ける必要があると思うのだが、元楽天の朝井秀樹のPL学園時代を思い出した。キャッチャーの古賀のリード、強肩、パンチ力のある打撃も素晴らしかった。印象に残るバッテリーだった。

金久保(東海大市原望洋)は、初戦の滋賀学園戦で延長14回で218球を投げ切り完投したのだが、最後の最後でスタミナ切れをおこして初戦で散ってしまった。まだまだ身体が細く、フィジカル面の課題はあるようだが、しなやかな腕の振りは印象に残った。パッと見ボールが抜けてしまうのではないか?と心配になるようなフォームなのだが、意外とコントロールはしっかりとしていた。夏に向けてパワーアップすることが出来るだろうか?

その他の投手で印象に残ったのは、西垣(報徳学園)、川端、田浦(秀岳館)、桜井(日大三)である。
西垣はいかにも投手らしいシルエットからストレートとフォークのコンビネーションで好投して見せた。高校時代の原樹理(東洋大姫路)がこんな雰囲気だっただろうか?長身の投手でありながら低めにボールを集められるのがこの投手の魅力である。東京六大学や東都の舞台で投げている姿が想像しやすい投手である。バランスの取れた長身投手はそれだけで魅力的である。
川端、田浦のダブルサウスポーはどちらも高いレベルの投手である。
川端は上背はそんなにないものの真上から投げ込む投球フォームで角度を加え、140キロを超える球速を記録してみせた。スライダーのキレも素晴らしく、三振を奪える投手である。若い頃のキム・グァンヒョンがこんな投球スタイルだっただろうか?
田浦はその川端を差し置いて秀岳館のエースナンバーを背負っているのだが、こちらも170センチという身長が気にならないほどキレの良いボールを投げ込んでいた。ストレート、スライダーの他にチェンジアップなのかシンカー気味のボールも操っていた。打者からすると的が絞りづらい投手なのではないだろうか?
最後は桜井である。秋季大会で清宮(早稲田実業)から5打席連続三振を奪って一気に知名度を上げたのだが、今大会でも初戦で安田(履正社)から3つ三振を奪うなど潜在能力の高さを見せ付けてくれた。清宮も安田も桜井のスライダーにキリキリまいにされていた。左打者からするとあのスライダーは「消える」のではないだろうか?野手としての評価も高いようだが、私は投手として見てみたいと感じる選手だった。

野手も注目の選手が多かったのだが、確認できた選手を中心に名前を挙げていきたい。

清宮(早稲田実業)は期待値が高いため、どうしても物足りなく感じてしまうのだが、パワーとテクニックを併せ持った選手であることを証明してくれたと思う。ホームランこそなかったが、非常に高い外野フライを放ち、外野手が目測を誤るという場面があった。この打球を見ただけでも清宮の凄さが伝わってくる。夏にもう一度甲子園に戻ることが出来るだろうか?

安田(履正社)も「東の清宮、西の安田」と呼ばれるに相応しい打撃を披露してくれた。少し柔軟性に欠けるかな?という印象もあるのだが、それまで3三振を喫していた桜井から放ったレフトフェンス直撃の当たりと報徳学園西垣から放ったホームランは凄まじい打球だった。日本人離れした打球を放つことが出来るのが安田の魅力である。サイズの大きさも相まって高校生とは思えない迫力を身にまとっている。

西巻(仙台育英)、太田(智弁学園)、嶋谷(宇部鴻城)は、あまりチェックできなかったのだが、楽しみにしていた嶋谷は身体のキレがイマイチだった。大阪桐蔭投手陣ボールに差し込まれる場面が目立ち、打撃で結果を残せず、守備でも目立つようなプレーはなかったのではないだろうか?それでもサイズのあるショートストップはそれだけで価値がある。夏に向けてもう一段レベルアップしてもらいたい。
太田は初戦の熊本工業戦でホームランを放つなど活躍してみせたが、2回戦ではブレーキとなってしまった。総合力の高い選手だと感じたが、先輩の岡本や廣岡と比べるとパワーという面で劣っている印象である。上のレベルでプレーするにはどういったタイプの選手を目指すべきなのだろうか?
西巻(仙台育英)はチェックできませんでした。申し訳ありません。
また西浦(明徳義塾)についてもチェックできませんでした。

その他では新2年生に逸材がゴロゴロしている印象が残った。
大阪桐蔭ではスーパーアスリート根尾に注目していたのだが、その他にも決勝で2本のホームランを放った藤原、大会を通じて打ちまくった山田は来年のドラフト候補に名前が上がってくると感じた。
準優勝の履正社では、長身のショート西山、代打で登場した白滝が印象に残った。西山はパワーがついてくればそのまま打撃力もアップするタイプの選手に感じるし、白滝は何故レギュラーではないんだ?と感じさせるような見事なバッティングを披露してくれた。
報徳学園の小園も三拍子揃った素晴らしいショートだった。


やはり新三年生の中では清宮、安田が気になったが、それ以上にアスリートタイプの近畿の新二年生に面白い素材が山ほどいることが分かった。やはり高校生のレベルは年々上がってきている印象である。

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