山中V13ならず

ボクシング

WBC世界バンタム級王者山中慎介(34=帝拳)がついに陥落した。挑戦者の同級1位ルイス・ネリ(22=メキシコ)に4回TKOで敗れ、初黒星を喫した。
(日刊スポーツ引用)

ここ数試合の山中のボクシングの内容と挑戦者ネリのパワーと勢いを考えると戦前から苦戦が予想されていた試合だったのだが、その予想は悪い意味で当たってしまった。

初回から両者の距離が近く、モレノ第2戦と同じような距離感で試合が進んでいった。初回から山中の右のジャブも当たっており、悪くない立ち上がりに感じた。2回以降も両者のパンチが交錯し、非常に緊張感の高いボクシングとなった。山中の左ストレート、ボディも何発かヒットし、いつもの山中のペースにも思えたのだが、ネリの身体の強さ、圧力の強さも中々のものだった。3回にラフな連打でぐらつかされると、4回にも山中のボクシングを潰しにかかるようなワイルドでラフな連打を打ち込んできた。一旦バランスを崩した山中はその連打を捌ききることもクリンチでしのぐことも出来ず、長い時間帯パンチの雨にさらされてしまった。そして最後はセコンドが試合を止めにかかりレフェリーストップとなってしまった。

試合後帝拳の本田会長が「最悪のストップだった。」と語ったこともあって、大和トレーナーのストップのタイミングが議論されているが、個人的には、山中の惨敗だったように感じている。これまでも身体の強さを活かして山中に圧力をかけてくる挑戦者は何人かいたのだが、世界チャンピオンに成ったばかりの頃は足を使って捌ききるボクシングも出来たし、防衛回数を重ねる中では左ストレートという明確な武器をチラつかせて、相手のプレッシャーを削いでいった印象である。
今回のネリ戦は戦前に「足を使う。」とのコメントもあったが、初回から近い距離で向かい合い、ここ最近の山中のゲームプランと同じように左ストレートを当てるためのゲームプランで臨んでいるように見えた。個人的には悪くない選択だったと思うし、1,2回は主導権を握りかけるところまでは行っていたと思う。しかし3回からはネリの連打の前に劣勢に立たされてしまった。確かに4回のストップの場面は一瞬「スタンディングダウンを取られたのかな?」と感じるようなタイミングだったため、私自身も何が起こったか戸惑ってしまったのも事実だが、長年コンビを組んでいるトレーナーの判断なのだから山中は相当危険な状況だったのだと思う。あのまま続けていても形勢逆転ということは考えづらかったと思うし、あと10秒ほど同じ展開が続けばレフェリーに止められた可能性もあったと思う(逆に先にレフェリーが止めた場合でも本田会長が怒りのコメントを残し、後味の悪い結末になった可能性もあったように感じる。)。選手自身は効いているかどうかなんて分からない部分もあると思う。山中は「効いていなかった。」とコメントを残したようだが、1日経って「ビデオで確認したらバタついている部分もあった。」と認めている。山中自身からそういったコメントが出てきて正直ホッとしている部分もある。

内山がコラレスに完敗を喫した時にも感じたのだが、今回の山中に関しても実力的にネリが上回っていたように感じる。かつての山中であればあのようなラフな連打を捌くことが出来ていたように感じる。まだまだ左ストレートに衰えは感じないが、ボクサーとしての総合力という意味では徐々に下り坂にあるのも事実ではないだろうか?現役を続行するのか引退するのかはまだ分からないようだが、もしネリとの再戦となったとしても茨の道が待っているのではないだろうか?

それにしてもボクシングという競技は明暗が一瞬で分かれてしまう非常に刹那的なスポーツである。だからこそその魅力に引き込まれるのかもしれないが…応援している選手が敗れた時の喪失感が非常に大きいのもボクシングというスポーツの特徴ではないだろうか?

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