全ては歳内のために

ヤクルト3-2DeNA

今日の主役は何と言っても歳内である。昨シーズン終了後に阪神タイガースを戦力外となり、今シーズンは四国アイランドリーグの香川オリーブガイナーズでプレーしていた。そこでの活躍が認められ投手不足に悩むヤクルトスワローズの一員として迎えられた。そして今日ヤクルトでの1軍初登板、初先発となった。
聖光学院では2年次から甲子園で活躍し、甲子園のヒーローとして甲子園を本拠地とする阪神タイガースに入団。ここまではまさにサクセスストーリーを歩んでいるようだったのだが、その後は怪我に苦しんでいた。今日の登板は、1603日ぶりの1軍登板だったようだ。

その歳内が先発のマウンドに上がった。がっしりとした身体つきは歳内の姿そのものだった。初回からストレートとフォークを多投して試合を作っていく姿も歳内そのものだった。毎回ヒットを許し、ピンチの連続ではあったのだが、味方守備陣の好守にも助けられ、4回まではDeNA打線を無失点で抑え込んでみせた。しかし5回に1アウトから投手の上茶谷にヒットを許すとそこからピンチを広げてしまい、梶谷のタイムリーとオースティンの犠牲フライで逆転を許してしまう。その後のピンチは何とか切り抜けたものの味方が先制点を奪った直後に逆転を許し、勝ち投手の権利を手放してしまった。結局歳内は、5回で84球を投げ、被安打8、与四死球2の2失点で降板となってしまった。
1603日ぶりの1軍でのマウンドということでウエスタンリーグや四国アイランドリーグとは比べ物にならないような選手を相手に投球し、NPBの1軍のレベルの高さを改めて実感したのではないだろうか?5回までで8安打を許してしまったこと、三振を1つしか奪えなかったところに今後歳内が埋めなければならない実力差を感じた。それでもピンチになっても動じない部分に高校時代から大舞台を経験してきた投手の意地のようなものを感じることが出来た。ストレート、変化球ともにある程度コントロールがまとまっており、1軍で登板するにあたっての最低ラインはしっかり超えているように感じた。後は1軍レベルで80球以上の球数を投げた身体のダメージがどの程度なのか?という部分をしっかり把握して次回の登板に備えてもらいたい。勝ち投手にはなれなかったが、チームの雰囲気を変えるという重要な役割を果たしてくれた。

歳内の力投にリリーフ陣も奮起した。6回、7回の2イニングを梅野、8回は清水、9回は石山と3人で繋いだのだが、3人ともに1人のランナーも許さないパーフェクトリリーフを見せてくれた。歳内の気持ちのこもった投球が梅野、清水、石山にも乗り移っているような見事な投球内容だった。

そして野手陣も今日は歳内のNPB復帰登板を勝利で飾ろうと気持ちのこもったプレーを見せてくれた。初回の青木のスライディングキャッチから始まり、西浦、廣岡、山田哲も好守で歳内を盛り立ててみせた。これまでは守備の崩壊が試合を崩壊させることになっていたのだが、今日は見違えるようなプレーを見せてくれた。
打線は今日も迫力に欠ける部分はあったのだが、4回に村上が放った先制ホームランはフルカウントからの上茶谷の外角低めの変化球をレフトスタンドに運ぶという村上の数多くあるホームランバリエーションの内の1つが飛び出すと、1点を追う7回には、村上の四球からチャンスを作ると2アウト1,2塁の場面で代打荒木に同点タイムリーが飛び出し、続くチャンスではこれまた代打の宮本が決勝タイムリー内野安打を放ち、試合を決めてみせた。今シーズン開幕から不調に苦しんでいた荒木はようやく荒木らしい勝負強さを発揮してくれた。追い込まれてからのインコースへの厳しいストレートだったのだが、サウスポーのこの球種を捌けるのが本来の荒木の姿である。荒木らしい同点タイムリーとなった。続く宮本の内野安打については微妙な当たりだったのだが、セカンド柴田が捕球できなかったことで2塁から坂口が一気にホームへ返ってみせた。柴田の守備力からすると記録に残らないエラーのような打球だったのだが、坂口がよくホームまで返ってきてくれた。ヘッドスライディングでの生還は、今日のゲームでの1つの勝利に対する執念のようなものを見せてくれたと感じた。

首位とはゲーム差が大きく離れ、すでに消化試合モードも漂ってきているのだが、そんな中でNPB復帰を果たした歳内の頑張りに応えるような好ゲームを展開してくれた。リリーフ陣の力投も守備陣の好守も脇役陣の粘り強いバッティングも全ては歳内のために戦っているような錯覚に陥るくらいの気持ちの入ったゲームとなった。

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コメント

  1. sabo より:

    ヒーローは根性ヒットの宮本丈!
    当てに行かず強く引っ張る気持ちが勝ち越しを呼び寄せた!

    陰のヒーローは2イニングパーフェクトの梅野!
    梅野のピッチングがDeNAにロースコアゲームを覚悟させて早めの継投に追い込んだのは間違いないです。上茶谷からエスコバーに変えられなければ正直勝敗は分からなかった。鮮やかな復活を見せた梅野こそ勝利に一番貢献したと思います

    真のヒーローは上田!!
    ラストのファインプレー自体のすばらしさはもちろんですが、その後負傷しながらも担架を断わり、おんぶ姿でファンの声援に応えたのはこれぞ真のプロフェッショナルの姿でした。もし上田がつらそうな姿のままグラウンドを去ればファンは久しぶりの勝利を心から喜ぶことが出来ませんでした。ファインプレー以上にガッツに胸をうたれました

    ちなみに上田の離脱で田代が上がってきたために戸田軍は野手の控えゼロの常時フルメンバーらしいですね。三輪ちゃんの復帰もあるかもしれません。もう笑うしかない(笑

  2. FIYS より:

    saboさんへ

    上田のプレーに触れなかったことは悔やんでいます。素晴らしいプレーでしたし、おんぶ姿で声援に応えた姿は今シーズンの名場面の1つになるでしょうね。

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