9回表は今シーズンのベストイニング候補

ヤクルト6-1阪神

前日の引き分けに関しては、試合展開的にもシーズンのシチュエーション的にも「負けに等しい引き分け」ということを書かせてもらったのだが、この日の9回表の攻撃に関しては、試合展開的にもシーズンのシチュエーションを考えた際にも今シーズンのベストイニング候補に上がってきそうである。難攻不落のクローザースアレスを崩しての勝利で首位阪神とのゲーム差は1週間前と変わらず5のままである。本当にギリギリのところで踏ん張っていると言えそうである。

奥川、ガンケルの両先発投手の好投もあり、テンポよく進んだゲームは6回に阪神梅野に先制ソロホームラン、7回に山田に同点ソロホームランが飛び出し、1-1のまま9回の攻防に突入した。昨日と同様のシチュエーションとなり、個人的にはマクガフが阪神打線をしっかり抑えることが出来るか?という部分が気になり始めていたのだが、9回表にヤクルト打線が意地を見せてくれた。
阪神のクローザースアレスは、今シーズン絶好調であり、武器である160キロを超えるストレートとチェンジアップのコンビネーション、コントロールともに安定しており、阪神が首位を走る大きな要因となっている。この日のゲームでも1アウト後山田がヒットで出塁したものの村上がショートゴロに倒れ、これで勝ちはなくなったと思ったのだが、村上が何とか1塁に残り、2アウト1塁というシチュエーションとなった。それでもかなり厳しい状況ではあったのだが、ここから打線が繋がり始める。オスナが追い込まれながらも163キロのストレートにコンパクトにセンターへ弾き返し、チャンスを広げると続く代打川端も追い込まれながらもしっかりボールを選び、2アウト満塁までチャンスを広げてみせた。ここで打席に送られたのは、ここの所どんなシチュエーションでも高い集中力を発揮している印象がある宮本だった。その宮本がスアレスの160キロのストレートをレフト前に落とす、勝ち越し2点タイムリーを放ち、土壇場でゲームをひっくり返すことに成功してみせた。
村上のダブルプレーを防ぐ激走から本当に各選手が打席で粘り強くスアレスと対峙してくれた。スアレスにパワー負けしないオスナの一打、ボール球を見極め、スアレスにプレッシャーを掛けた川端、状況を冷静に判断し、ストレートにヤマを張りしっかり結果を出した宮本。どの選手も結果が出たからこそ称賛されるのだが、もし結果が出なかったとしても内容のある打席だったと思う。特に代打で結果を出した川端、宮本に関しては、素晴らしかった。ストライクには積極的にスイングを掛けることが出来ているし、ボールはしっかり見極めることが出来ている。積極的に行きながら決して雑にならない打撃は、代打としてのお手本である。しかし意識してもお手本通りに出来るものではない。それが出来ているからこそ称賛されるのである。「代打の神様川端」の陰に隠れてはいるが、宮本の高い集中力も見事である。代打でも結果を残していたユーティリティープレーヤー今浪を彷彿とさせる活躍ぶりである。
宮本の2点タイムリーでスアレスをマウンドから下ろすと、代わった馬場からも中村、塩見がタイムリーを放ち、結局このイニングだけで5点を奪い、勝負を決めてみせた。カード初戦では2アウトランナーなしから田口が阪神打線に7連打を浴び、5点を失ったゲームがあったのだが、この日は逆に9回2アウトからの5得点で勝利を手繰り寄せてみせた。改めて野球というゲームの難しさ、面白さを感じることが出来た。

相手先発がガンケルだったことを考えると勝利のためには奥川の好投が必須だったのだが、奥川が前回の登板同様緊迫したゲームの中でも見事な投球を披露し、試合を作ると8回をきっちり無失点で凌いだ清水にプロ初勝利が転がり込んだ。昨シーズンからセットアッパーを務めており、いつ初白星を上げてもおかしくなかったのだが、その1勝が遠かった。セットアッパーの勝ち星に関してはそんなに気にすることはないと個人的には思っているのだが、プロ100試合目での初勝利ということで、清水自身にとっては気持ち的に大きな1勝になったようである。インタビューで多少感極まっている姿を見て、清水なりに苦しんでいる部分もあったのだなと言うことを感じることが出来た。相手打線をしっかり抑え込んだ中で転がり込んできた初勝利。この1勝を自信に変えてもらいたい。この日の試合前に梅野が登録抹消され、清水の負担も増してくることが予想されるが、何とか踏ん張ってもらいたい。

ナイスゲーム!

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コメント

  1. sabo より:

    間違いなく今季ベストイニングでしたね。9回表は。

    スアレス3連投という伏線も考えればこの試合出ていない選手含めてチーム全員で勝ち取ったともいえますけど

    やっぱり宮本丈ですよね。初球159キロをファールで修正して次の160キロを打つんですから。これぞプロフェッショナルと感じました

    ハイライト視聴での感想ですが
    奥川に関しては前回登板の最後に何かを掴んだかのような投球をしていたので、そのまま何かを掴んだ状態のまま中10日キープして試合に入れたように感じました。かなり奥川が自分で思う通りのピッチングが出来て野球が楽しいのではないでしょうか。このまま好調ではなく覚醒となる可能性は高いと思います

  2. FIYS より:

    saboさんへ

    宮本はしっかり準備が出来ていますよね。

    奥川はこれくらいのポテンシャルは持っていますからね。今後も注目ですよね。

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