不思議な反発力

ヤクルト1-0阪神

今年のヤクルトには不思議な反発力がある。開幕直後は「暗黒時代の突入」を予感させるほど、チーム状態が良くなかったし、下位チーム相手に白星を重ね、いざ阪神、巨人という上位チームとの対戦を迎えるとあっさりと負けてしまうことも繰り返していた。正直「強さ」というものを感じることはないのだが、ここで負けたら優勝争いから脱落してもおかしくないゲームでは不思議とギリギリの状況で踏みとどまるのである。勝ちパターンが確立できる訳ではないし、勢いに乗った大型連勝もほとんどないのだが、それでも残り36試合となった段階でも首位と2.5ゲーム差の2位という位置をキープしている。まだ不利な状況に変わりはないが、ダメージが残りそうな昨日のゲームの直後の試合で、1-0というスコアで勝ち切るのだから不思議なものである。阪神打線の状態が前半戦に比べると落ちていることを差し引いたとしてもヒッターズパーク神宮球場での「スミ1」勝利には驚いてしまう。ヤクルトも阪神も巨人もおそらくチーム状態は良くないと感じる。それだけに日々刻々と状況が変わってくる。どこかで突き抜けるチームが出てくるのか?それともドロドロの競り合いが続いていくのか?どちらの展開が待っているのだろうか?

昨日のゲームでは投手陣がピンチを招きながらも、8回までは阪神打線に決定打を許さず、何とか粘る姿が目立っていたのだが、今日は先発の小川がピンチの連続をことごとく切り抜け、チームを勝利に導いてみせた。7回2/3で111球を投げ、被安打6、与四死球5の無失点という数字が残ったのだが、この数字を見るだけでも苦しんだことが伺える。しかも1回~4回までは毎回先頭打者にヒットを許し、初回と2回は先頭打者に2ベースを浴びるという常にランナーを置いての投球となってしまったのだが、それでも無失点で切り抜けてみせた。いつ掴まってもおかしくないような投球内容だったのだが、味方の援護も初回の1点以外はなかったため、常にハラハラする展開が続いていった。6回、8回の2アウト満塁の場面は、正直肝を冷やした。昨日のゲームでマルテに浴びた同点3ラン、その前の打席のあわや逆転ホームランという大飛球がヤクルトバッテリーに恐怖感を与えていたことは明らかだった。6回も8回もマルテ、大山の一発を警戒するあまり、四球でランナーをためてしまい、一打逆転のピンチを招いてしまった。昨日のゲームが伏線になっての逆転負けという最悪のシナリオが頭をよぎったのだが、6回は小川が8回は代わった清水がサンズを抑え、何とかリードを保ってみせた。
8回に関しては、正直完全に継投のタイミングを逸してしまったようにも見え、小川が続投してもリリーフ陣に継投してもサンズを抑えることは難しいかな?と感じていたのだが、絶体絶命の場面でマウンドに上がった清水がフォークの3連投でサンズを三振に斬って取ってみせた。昨日のゲームの記事で、今野、清水、マクガフの疲れが心配との主旨のことを書かせてもらったのだが、個人的に最も心配しているのは清水である。昨日の記事ではリリーフ陣の配置転換も考える必要があるのでは?と書いたのだが、その一番の候補は清水だと思っていた。しかし清水は今日のゲームで最も重要な場面で投入され、高津監督をはじめとする首脳陣の期待に応えてみせた。これ以上ない大仕事を果たしてくれた。
そして9回は昨日のゲームで試合を締めくくることに失敗したマクガフがきっちり三者凡退で抑えて、1点差のゲームを締めくくってみせた。
阪神打線の状態が上がっていないこともあるのかもしれないが、昨日、今日と本当によく投手陣が粘ってくれた。正直リリーフ陣の疲れは危険水域に達していると感じており、だからこそ、今日のゲームでもギリギリまで小川を引っ張らざるを得なかったと思うのだが、今日に関しては、清水が本当にいい仕事をしてくれた。先程も書いたように、今日は完全に継投のタイミング逸してしまっていたと思うのだが、継投ミスを清水が救ったという見方も出来ると思う。負けていればゲーム差的にもメンタル的にもかなり苦しくなったと思うのだが、投手陣の踏ん張りで何とか踏みとどまることが出来た。

打線は青木を先発から外し、山田の状態も下降気味という苦しい布陣となったのだが、初回の村上のタイムリーヒットで上げた1点が決勝点となった。最近の村上の第1打席での集中力は素晴らしいものがある。試合の流れを作る見事なタイムリーヒットだった。その後は阪神のルーキー伊藤将から追加点を奪うことが出来なかった。5回にはサンタナと古賀のヒットなどで1アウト2,3塁のチャンスを作ったのだが、小川の打席で仕掛けたスクイズが失敗に終わり、追加点を奪うことが出来なかった。
先程8回表の継投に関しては、完全にタイミングを逸していたのではないか?と書いたのだが、この場面でのスクイズは、警戒される場面だったはずなのだが、抜群のタイミングで仕掛けることが出来ていたと思う。サンタナのスタートは良かったし、小川のバントが転がりさえすれば1点だった。リスクの大きい作戦ではあるのだが、高津監督はこういった仕掛けは好きそうである。

ダメージの大きいゲームがありながらも何とか首位阪神とのゲーム差は2.5で留めてみせた。金曜日からは10連戦が待っている。まずは巨人との2連戦である。とにかく勝ちが欲しい所である。10連戦が終わってもまだ優勝争いに絡み続けることが出来るだろうか?

P.S 今日のゲームでは青木、中村を休ませましたが、休養をするはっきりとした基準のようなものを設けているのですかね?思った以上に状態の良いと思われる中村を休ませる日が多いと感じるんですよね。ここまではっきり外せるのが逆に凄いと感じるんですよね。

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コメント

  1. JEF九郎 より:

    勝ちましたね!
    難しい試合でしたが、集中してもぎ取った非常に価値ある1勝だったと思います。まだまだ苦難の道のりは続きますが、三巴という中々味わう事の出来ない面白いシーズンを、主役の一角として体験できる事を噛み締めながら、大事に、、、そして臆する事なく大胆に過ごして欲しいと思います。

    また、こういう経験はもし仮に明日結果に結びつかなくとも、明後日はもっと強くなれると思います。伸び代は我々は多く残していると思いますので、こういう時こそ1戦1戦結果を恐れず、集中して過ごして欲しいと思います。


    さて、古賀と中村ですが、期待値(成長面)まで含めて総合的に判断すれば、良い意味で私は両者共に遜色無いのかなと思ってます。

    リード面でも、相手と駆け引きする古賀と、投手の持ち味を引き出そうとする中村。超素人目線ですが持ち味が互いに違う気がしますし。

    同じ投手でも組み合わせ替える事で変化を生み出せてますし、両者ともここまで良く期待に応えて来ていると思うので、この辺りは今シーズン、首脳陣が巧くやり繰り出来ている部分と評価してます。

  2. sabo より:

    対阪神をよく研究しデータを正しく活用出来たと思います
    小川が7.2回をゼロ封したのは小川の好調と合わせて昨日のデータも踏まえて阪神打線対策がしっかり出来ていただろうし
    初回の荒木の盗塁は事前に伊藤のクセが分かっていたのではないかと思うほど確信して仕掛けていたし、
    完璧だったスクイズのタイミングも勘だけではない根拠があったように思いますね
    高津監督の言う一枚岩で戦えていたと思います

    小川はとにかくランナーを出してから丁寧に失投なかったのが良かった
    高津監督の完封指令を逃して「甘くはなかった」とヒーローインタビューで答えてましたがその通りでしたね
    薄暮のツーベース
    小川のベースカバー遅れて近本内野安打
    スクイズ失敗
    自身のミス含めて色々あっても冷静にゲームを作れるところに経験値を感じますね

    リリーフした清水はヒーローインタビュー呼んでも良かったくらい素晴らしかったですね。継投のタイミングも3球で済んで結果オーライですかね

    次は中9日で奥川。さらに次は中8日となりそうですね。今一番いい奥川の心配は無いのですが、それでもチーム状況は何が起きるか分からないです

  3. FIYS より:

    JEF九郎さんへ

    面白い三つ巴になってきましたね。

    中村が打撃でこれだけ結果を残しながらも古賀の出場機会も作っているということは中々出来ないことだと思います。首脳陣がしっかりとした意思と意図を持っているということなのでしょうね。

  4. FIYS より:

    saboさんへ

    小川はインコースを普段以上に多めに使っていましたかね。データの活用が上手くいったという部分もあったのでしょうね。
    データの活用と小川の経験値の高さ、どちらもあっての好投だったように感じます。
    清水も厳しいシチュエーションでの登板で見事な投球を披露してくれましたよね。

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