福井高校の藤井宏海

第94回のセンバツ高校野球の代表校が決定したのだが、東海地区の選考が議論を呼んでいる。秋季大会で準優勝した聖隷クリストファー(静岡)が落選し、準決勝で敗退した大垣日大(岐阜)が選出されたからである。春の甲子園大会は「センバツ」である以上、こういったことが起こる可能性が「0」ではないのだが、何とも不可解な選考結果になっており、高校野球ファンであってもモヤモヤが残っている方が多いのではないだろうか?
このニュースを見て、真っ先に思い出したのが、2003年の北信越地区の代表選考である。私は生まれてこの方長野県で生活し続けているため、ネットがない時代から北信越地区の結果は新聞やニュースでチェックし続けていたのだが、その中でも2003年の代表選考は異例の展開となった。北信越地区の代表枠は毎年2枠となっており、基本的には秋季大会で決勝に残った2校が順当に代表になることがほぼほぼ確約されている。そんな地区で波乱の逆転選出があったのが、2003年の北信越地区だった。この年のセンバツの選考においてもっとも重要視される前年の秋季大会で優勝したのは遊学館(石川)、準優勝したのは福井商(福井)だった。例年通りで行けば遊学館と福井商の2校が選出されるのだが、この年の代表に選ばれたのは優勝した遊学館と準々決勝で敗退した福井高(現福井工大福井)(福井)の2校だった。県大会で福井高が福井商に勝利し優勝していること、北信越地区の優勝校となった遊学館との試合の評価から福井高が選ばれたのだが、準々決勝で敗れたチームが選抜されたことに大いに驚かされたことを覚えている。
今ほどネット社会も発達しておらず、今回の東海地区のような炎上騒ぎにはならなかったと記憶しているのだが、それでも北信越地区の高校野球ファンからは「この選び方で大丈夫なのか?」という疑問の声は数多く上がっていた。しかしそんな声をかき消すことになった一つの要因に福井高校のエース藤井宏海の存在があった。この年の北信越地区には全国トップクラスの投手が2人存在していた。一人目は遊学館の小嶋達也である。遊学館高校の野球部1期生であり、1年次からマウンドを任されたしなやかなフォームと上質なストレート、変化球を持つ、好サウスポーだった。そしてもう一人が福井高校の本格派右腕藤井宏海だった。藤井も下級生時から名の知れた存在だったのだが、秋季大会、センバツ大会で見せた投球は全国でもトップクラスのものだった。いかにもスピン量の多そうなストレートとスライダーのコンビネーションは抜群であり、「小型版松坂」という呼び名がピッタリの好投手だった。
センバツでは、初戦で桐蔭学園(神奈川)と対戦したのだが、疲れが出始めた終盤までは、完全に試合を支配しており、打たれる気配が全くなかったことを覚えている。相手のエースも好投手の右腕平野だったのだが、藤井の投球が圧倒的過ぎて平野の投球が霞んで見えたことを覚えている。高卒即プロ入りが期待できるだけのものを持った投手だと感じたことも記憶している。
結局藤井は卒業後ロッテに入団したのだが、プロの世界で結果を残すことは出来なかった。それでも地区大会の準々決勝で敗れながらも地区代表に選出されたチームのエースの凄みは感じさせてくれた。私の中では記憶に残る好投手の一人である。

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コメント

  1. まるふく より:

    FIYSさんからみて、この東海地区の代表校選考における教育的意義はどの点に見出せるとお考えになりますか?

  2. FIYS より:

    まるふくさんへ

    今回の件の教育的意義ですか…正直見出せません。高校野球は教育の一環という言葉はよく用いられますが、甲子園大会という大きなイベントと教育というものがリンクしてこない部分があることは分かり切っていたことですからね…
    センバツの選考については、毎年近畿、関東などの出場校の多い地域を中心にどういう基準で選んでいるのか分からない選考はありますよね。しかしそれにしても今回の東海地区の選考は無理があるのではないか?と感じています。

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