村上宗隆が「空気」を作る

ヤクルト5-0中日

7月31日の阪神戦で3打席連続ホームランを放ち、チームのピンチを救った村上が、今日のゲームでも1打席目、2打席目にホームランを放ち、5打席連続ホームランのNPB新記録を樹立してみせた。これでホームラン数は39本となった。これまで三冠王の可能性が論じられることが多かったのだが、こうなるとバレンティンが持っているシーズン60本塁打の記録更新への期待もしてみたくなってくる。現在ヤクルトは首位に立っており、村上も勝負を避けられる場面が増えることが予想されるのだが、ここ2試合の活躍は、突き抜けた活躍ぶりであり、見ている者に「村上の打席を見たい。」と思わせる空気を作り出すことに成功している。こういった空気が出来上がり始めると、相手チームはますます村上との勝負が難しいものになってくるのではないだろうか?バレンティンがシーズンホームラン記録を更新した時もあまりにホームランを量産する「バレンティンの打席を見たい。」という空気感の中でホームラン数を伸ばしていった記憶がある。今年の村上の場合はチームが首位を走っており、2013年のバレンティンとは単純に比較できない部分もあるが、この空気感を作り出してしまったこと自体が、スーパースターであることの証明だと思う。
私は、ヤクルトファンであるため、当然村上の打席は楽しみにしているのだが、もしかすると他球団のファンの方々も「村上の打席を見たい。」という気持ちになっているかもしれない。

先日の阪神戦での逆転勝利を活かすためにも、今日のゲームは大切なゲームだったのだが、その大切なゲームでまずは、主軸である山田、村上が結果を残してくれた。中日先発柳が簡単に2アウトを取った後の初球を捉えたのは、山田だった。柳が投じた初球のストレートは、多少不用意だと感じるくらい甘いコースに入ってきたのだが、山田がその失投を逃さなかった。コロナ感染もあり、コンディション面に不安があるのだが、こういった場面で仕事をしてくれるのは流石である。しかしその山田のホームランが霞むほどの結果を残したのは、4番に座った村上だった。山田が先制ホームランを放った直後に打席に入ったのだが、カウント2-1からのカーブを完璧に捉えると、打球はライトスタンド上段に突き刺さるすさまじい飛距離のホームランとなった。確かに柳のカーブは甘いコースに入ったのかもしれないが、柳のカーブはプロの世界の中でも一級品の球種である。またカーブという球種の特性上、そんなにコースに投げ分ける球種ではない。あくまでも打者のタイミングを崩したり、目線をずらしたりするための球種である。打者からすると意外と手を出しづらいボールだと思うのだが、そのボールを完璧に捉えてしまうのだから、素晴らしい。先日の阪神戦での3本目のホームランも石井のナックルカーブを捉えたのだが、手を出しづらいボールを一振りで仕留める辺りに村上の凄さが詰まっていると感じる。
そして5打席連続ホームランがかかった4回の打席は、1アウト1塁というシチュエーションで訪れた。フルカウントからの外角へのチェンジアップに体勢を崩されながらも上手くタイミングを合わせると打球は左中間スタンドに飛び込む2ランホームランとなり、この瞬間プロ野球新記録となる5打席連続ホームランを達成してみせた。映像を見た限りでは、右手一本で上手くチェンジアップを拾ったようにも見えたのだが、本人のコメントを聞くと「左手でもしっかり押し込むことが出来た。」と語っており、パワーとタイミングだけで放ったホームランではなく、ホームランバッターとしての技術が詰まった打席だったことを感じることが出来た。元々村上は、柳を得意としている印象があるのだが、柳も柳で一流の投手である。村上を抑えるために試行錯誤を続けていると思うのだが、村上がその上を行ってみせた。柳の代名詞ともいえるタテのカーブを捉えたホームランも決めにいったチェンジアップを捉えたホームランも見事なホームランだった。5打席連続ホームランという記録だけでも凄いのだが、今回の5本のホームランは、全て勝利に直結する、価値の高いホームランばかりだった。その辺りにも村上の凄さを感じることが出来る。6打席連続ホームランとはならなかったのだが、6回に放った2ベースも技術の高い一打であり、その一打が引き金となって追加点を奪うことが出来た。これ以上ない4番の仕事ぶりである。
今シーズンはこれまで何回村上を称賛する記事を書いたのだろうか?もう称賛する言葉を使い果たしてしまった気がする。そうなると村上に贈ることが出来る言葉は「凄い!」の一言である。

投手陣では、先発の高橋がしっかり仕事を果たした。前回の巨人戦では6回に足を攣り、そのまま降板となってしまっていた。オールスターで1イニング投げていたため、ある程度の状況にあることは確認出来ていたのだが、ペナントレースでの先発登板ということで、不安材料もなかった訳ではないと思う。立ち上がりからピンチを招き、嫌な雰囲気もあったのだが、このピンチでビシエドをダブルプレーに斬って取り、初回を無失点で抑えた所から、徐々に調子を上げていってみせた。私の不安を吹き飛ばすような投球で、最終的には7回まで無失点で投げ切ってみせた。ストレート、変化球のキレともにいつもの高橋の姿に見えたし、100球を超えていた7回も危なげなく投げ切った所に成長を感じることが出来た。

阪神の存在が気になり始めたのだが、もし村上がいなかったら…と思うとゾッとする。おそらく村上を欠くような状態であれば、ヤクルトは現状と比べ物にならないくらい精神的に追い込まれていたのではないだろうか?そう考えるとやはり村上はプロ野球史に残る長距離砲なのだと思う。

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コメント

  1. 超匿名 より:

     ホームラン八百本超えの王、四百勝の金田、三度の三冠王の落合、三度のトリプルスリーの山田という唯一無二の記録と共に紹介されるように、五打席連続弾が村上の代名詞として後世に語られるようになるのでしょうね。アクシデントがなければ数字は更に伸びるでしょうから、二冠はこの段階でも当確じゃないでしょうか。
     安定感を増した高橋の勝敗の数字は左腕エースとして見栄えがしますね。ラストを締めたコールの投球がクローザーと見間違えそうに良かったことも驚きました。
     久しぶりにカードの初戦に勝てたことも好材料です。

  2. FIYS より:

    超匿名さんへ

    何が起こるか分からないシーズンなので最後まで分かりませんが、大きなアクシデントがなければ二冠は取れそうな気配ですよね。

    コールは、日によって波がありますよね。

  3. sabo より:

    村上がまた新たな歴史を作りましたね
    それにしても阪神も中日も勝負してくれてありがとうですね
    王貞治の記録、そしてバレンティンの記録が見えてきている以上「村上の打席を見たい」空気は増してますね
    2位と10ゲーム差あるのも後押ししていると思います

    高橋奎二はオールスターが良い試運転になりましたね

  4. FIYS より:

    saboさんへ

    村上への期待感は、今後も増していくでしょうね。その中でどこまで自分のスイングが出来るか?という部分がポイントになりますかね?

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