上野裕一郎3

陸上競技






本日第28回都道府県対抗男子駅伝が行われ、長野県チームが見事9度目の優勝を飾った。長野県と言えば、佐久長聖高校が両角前監督の下、強化を図って以降、長距離王国として君臨し続けている。この都道府県対抗男子駅伝でも常に優勝争いが出来るチームを作り上げている。その中でも高いモチベーションでこの大会に参加してくれているのが上野裕一郎である。高校時代から世代トップクラスの実力者だったのだが、大学へ進学しても実業団に入ってもこの大会に参加し続けてくれていた。しかし2018年に立大の監督に就任してからは、流石に監督業が中心となり、都道府県対抗駅伝に出場することもなかったのだが、今回37歳にして、広島の地にアンカーとして戻ってきた。流石にブランクもあり、他の日本トップクラスのランナーと争うのは厳しいのではないか?と予想していたのだが、チームメイトが2位に50秒ほどの大差を付けた中で、自分のペースでしっかりと逃げ切り、優勝に貢献してみせた。区間12位という記録も見事なものだった。
佐久長聖高校時代から見守ってきたファンにとっては、優勝のゴールテープを切るシーンは感動的だった。上記の「上野裕一郎2」の記事にも書いたのだが、非常に魅力的な画になるランナーである。
佐久長聖高校では、1年次から都大路の2区で区間賞に輝くと、ここから一気に世代を代表するランナーの仲間入りを果たし、西脇工の北村、洛南の松岡、大牟田の伊達らと切磋琢磨し、日本人高校生ランナーのレベルを引き上げてみせた。2年次、3年次は、都大路ではエース区間の1区で活躍し、都道府県対抗男子駅伝では、長野県の初優勝に貢献してみせた。
中央大でも波は激しかったもののスケールの大きいスピードランナーとして、活躍すると同時に徐々に見た目も言動も派手になっていった印象がある。それでも真摯に競技に取り組む姿が印象的であり、05年の箱根駅伝1区でブレーキとなりながら、直後の都道府県対抗男子駅伝では、アンカーとして兵庫北村との激しいデッドヒートを制した場面は、個人的に非常に印象に残る場面となっている。
ヱスビー食品、DeNAでもスピードを強化しながら世界と戦う方向を探っていたのだが、オリンピックには手が届かなかった。それでも1500mや800m時には400mにも挑戦しながら、スピードを磨こうとした試みは画期的なことだったのではないだろうか?
佐藤悠基や村澤明伸や大迫傑のような「隙のないランナー」ではなかったかもしれないが、ハマった時の爆発力とスピードは物凄いものがあったし、どこか波があって落ち着かないところも人間味を感じることが出来て魅力的だった。
高校時代からずっと応援してきたランナーだったため、今日このタイミングで長野県チームのアンカーを務めて、しっかり優勝に貢献してくれたことに大きな喜びを感じている。
話しも上手で、自己表現も出来るタイプのアスリートだっただけに立大の監督としても今後どのような実績を残してくれるか注目したい。箱根駅伝で活躍した現役学生ランナーを何人も抑えての力走は、都道府県対抗駅伝史に残るシーンになったのではないだろうか?
長野県の長距離界、都道府県対抗駅伝を語る上で欠かせない人物、それが上野裕一郎である。




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