石川雅規VS和田毅

高校野球


思い出ショートショート⑮
一昨年から不定期で、私がまだ幼い時に見たスポーツについて簡単に触れていたのだが、今日は久々にそういった記事を書きたいと思う。今回は私が中学3年の時にテレビで観た、第79回全国高校野球選手権大会1回戦秋田商(秋田)ー浜田(島根)について触れてみたい。
秋田商のエースは現在ヤクルトスワローズで活躍する石川雅規、浜田のエースは現在ソフトバンクホークスで活躍する和田毅(当時2年生)である。現在のNPBを代表するベテランサウスポー同士の投げ合いである。しかし当時は石川も和田も特に注目されている投手ではなかったし、秋田商も浜田も特段注目されているということではなかったはずである。当然1回戦屈指の好カードということでもなかった。初戦のカードの中でもどちらかというと地味に映るカードの1つだったのではないだろうか?私自身もこのゲームを意識的にテレビ観戦していた訳ではない。たまたま家で家族と昼食を食べている時にテレビが点いていたため、何となく観戦していた感じである。当然フルで観戦していた訳ではなく、8回、9回辺りを少し見た程度のはずである。しかし幕切れがあまりにも劇的だったため、印象に残っていた。皆様の中にもたまたま観戦していた試合が印象に残るゲームになったというような経験が何度かはあるのではないだろうか?私にとってはこのゲームがそういったゲームにあたるのかもしれない。公立校同士のロースコアの競り合いであり、秋田商の石川も浜田の和田も特段目立つものを感じることもなかった(正直この2人がプロの世界で大活躍することを予感した方は、ほとんどいなかったのではないだろうか?)。
何となく、リードしていた浜田がこのまま逃げ切るのかな?という感じでテレビを眺めていたのだが、9回裏に秋田商がチャンスを作ると和田の悪送球と外野手のエラーが重なり、あっという間に秋田商が同点に追い付き、最後は満塁策を取ったのだが、和田が打者石川にサヨナラ押し出し四球を与え、秋田商が勝利することとなった。高校野球ではありがちな展開ではあるのだが、それまで優位にゲームを進めていた浜田が、ミスであっという間に追い込まれ、最後は2年生エースの和田がサヨナラ押し出し四球を与えてしまった場面を見て、高校野球の残酷さを感じた。
しかしここまでのことであれば、長年スポーツ観戦、高校野球を観戦してきた者であれば、良く経験するようなことである。何故このブログに記したくなる程印象に残ったかという部分については、やはり石川と和田が投げ合っていたという事実があるからである。劇的な幕切れのゲームとして印象に残ってはいたのだが、正直石川と和田の投球については、ほとんど記憶に残っていない。もちろん和田については、サヨナラ押し出し四球を与えてしまった場面は記憶に残っているし、3年生になったらまた成長して戻ってくるかもしれないと感じた部分も多少はあるのだが、まさかプロで活躍する(プロ入りする)投手が投げ合っていたとは、夢にも思わなかった。
石川は青山学院大で、スクリュー(シンカー)を習得したことにより、一気に階段を駆け上り、大学を代表するサウスポーとなり、シドニーオリンピックにも日本代表として参加している。
1学年下の和田は、3年次の甲子園で活躍し、卒業後は早稲田大で出所の見づらいフォームに磨きをかけ、140キロ前半~中盤のストレートとスライダー、チェンジアップなどの変化球で三振の山を築く、こちらも大学球界を代表するサウスポーに成長を遂げていた。
あの時投げ合っていた石川と和田がこういった成長曲線を描くとは思ってもみなかったため、驚いたことを記憶している。
大体甲子園に駒を進めるようなチームのエースで後々プロで活躍した投手同士の投げ合いというものは、試合前から大きな注目を浴びることが普通なのだが、この時の石川VS和田のように「実はこの2人は甲子園で投げ合っていたんだよ。」と後々語られるパターンはそんなに例がないのではないだろうか?
秋田県、島根県の高校野球ファン以外で、この試合をリアルタイムでフルで観戦したという方は、もしかするとそれ程多くないのかもしれません。そんなゲームで石川と和田が投げ合っていたことが面白いですよね。




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