ブキャナンのゲームメイク能力

ヤクルト１０－２中日

ナゴヤドームでの中日との3連戦の初戦は、ブキャナンーバルデスという両助っ人外国人投手の先発となったのだが、力を発揮したのはブキャナンだった。自身の連敗を5で止め、久々の6勝目を上げてみせた。

先発のブキャナンは立ち上がりに中日打線に掴まり、福田のタイムリーヒットで2点の先制点を奪われてしまったのだが、それ以降の投球は危なげなかった。9回で125球を投げ、被安打７与四死球２の2失点で今シーズン2度目の完投勝利を飾った。特に素晴らしかったのが、味方打線が逆転した後の3回以降の投球である。ブキャナンの先発投手としてのクレバーさが表れていた。ここのところ前半戦の疲れも溜まってきたのか打ち込まれるゲームも目立ってきていたのだが、味方が序盤である程度の得点を重ねてくれたゲームでの安定感はヤクルト内でも群を抜いている。
今日は3回以降カットボールやツーシームなどムービング系のボールを多用し、ストライクゾーンの中で勝負しながら中日打線を打ち取っていった。ゲーム展開によって投球スタイルを変更するだけの引き出しを持っている事が素晴らしいし、場面場面でギアを入れ替えることが出来るのもブキャナンの魅力である。今日の好投はもちろんキャッチャー中村の好リードという見方も出来るのかもしれないが、引き出しの多いブキャナンだからこそこういったリードが出来るという事も言えるのではないだろうか？非常にゲームメイク能力の高い投手である。こういった投球を披露できるヤクルトの先発投手はここ10年くらいを振り返ってみても石川、館山、グライシンガー、小川くらいのものではないだろうか？グライシンガーの精密機械のような制球力には敵わないかもしれないが、タイプ的にはグライシンガーによく似ているように感じる。今日のような打たせて取る投球はブキャナンの真骨頂なのではないだろうか？見事な完投勝利だった。

打線は中日先発がこれまでも抑え込まれている印象のあるバルデスだっただけに苦戦が予想され、初回、2回はノーヒットで抑え込まれ、3回も簡単に2アウトとなってしまったのだが、坂口が四球で出塁してから打線がつながり、バレンティンのタイムリーで1点を返すと京田のエラーで同点に追い付き、直後には中村に勝ち越し2点タイムリーが飛び出し、試合をひっくり返してみせた。2アウトランナーなしからの4得点という事で両チームの明暗が分かれたイニングとなった。相手のミスに付け込む形で大量得点に繋げたのは大きかった。
5回にはバレンティンのホームランと中村の2点タイムリー2ベース、西浦の内野ゴロの間に4点を上げ、ほぼほぼ試合を決めると6回には山田にも2ランホームランが飛び出し、止めを刺してみせた。バレンティンのバックスクリーンへの一発も山田の滞空時間の長いレフトスタンドへの一発も「らしさ満載」のホームランだった。
バルデスも39歳とは思えないようなタフな起用法が続いており、疲れが溜まっていたのかもしれないが、3回もあっさり三者凡退で抑えられてしまっていたら試合の流れはまた違っていたような気もする。それだけに坂口の四球から繋げて4点を奪った攻撃が非常に大きかった。ここの所数字が落ちてきている山崎もよくヒットで繋いでみせた。自分の役割をしっかり果たせたのではないだろうか？


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