井上尚弥VSノニト・ドネア

ボクシング

ワールド・ボクシング・スーパーシリーズ(WBSS)バンタム級決勝(7日、さいたまスーパーアリーナ)WBA、IBF世界王者の井上尚弥(26)=大橋=がWBA世界スーパー王者ノニト・ドネア(36)=フィリピン=に3-0で判定勝ち。キャリア20年の5階級王者を倒し、ムハマド・アリ・トロフィーを手にした。
(サンケイスポーツ引用)

素晴らしい試合を見させてもらえた。井上とドネアによる超ハイレベルの攻防は見応え十分だった。私は基本的には日本人絡みの世界戦くらいしか観戦しないボクシングファンであるため、おそらく私がこれまで見たボクシングの試合の中では今日の井上尚ードネア戦が最もレベルの高い試合だったのだと思う。1ラウンド~12ラウンドまで一瞬たりとも気を抜く事が出来ない凄まじい死闘となった。
井上の前戦であるロドリゲス戦の後に私はこのような記事を書いた。→「井上尚弥は世界最強ボクサー候補の1人だ!
その中でドネア戦に関しても少し触れさせてもらった。「後はWBSSの決勝でノニト・ドネアを倒すだけである。ドネアも中軽量級で世界の中心に君臨し続けたボクサーである。全盛期は過ぎていると思われるが、強烈な左フックは今尚健在である。今日のボクシングを見た限りでは、井上に死角はないと思われるのだが、ドネアも井上側の人間(桁違いの力を持つボクサー)であることを忘れてはならない。『フィリピンの閃光』VS『モンスター』、最高の決勝戦のカードとなった。ただただ楽しみである。
ボクシングの総合力と言う部分では井上に分があるかな?と感じていたのだが、ドネアも中軽量級のスーパースターであるため簡単に勝てる相手ではないことは確かだった。
1ラウンドを見た印象としては、「ドネアがしっかりバンタム級のウェイトの中でも万全の状態を作り上げてきたな。」というものだった。ドネアの身体が大きく感じ、井上のハードパンチに対しても耐えられるだけの状態にあると感じた。そして2ラウンド時にはドネア得意の左フックで井上は右目をカットすることとなった。今までの井上の相手とは違うと言うところを感じさせるのに十分な1ラウンド目と2ラウンド目となった。
その後は一進一退の展開が続いていく。両者共にハードパンチャーであり、一撃でKOする力を持っているだけにスリリングな攻防が続き、ドネアも井上も一瞬腰を落としてピンチを迎える場面もあった。正直9ラウンドにドネアの右ストレートがヒットし、井上がふらついた場面では、井上の敗北が頭をよぎった。終盤を迎えて流れがドネアに傾きかけていると感じた。しかし井上は10ラウンド以降もドネアに主導権を渡さなかった。この姿こそが「モンスター」と呼ばれる所以なのだと思う。10ラウンドの攻防でペースを握り返すと、11ラウンドに井上が得意とするパンチの1つである左ボディをヒットさせ、ついにドネアからダウンを奪う。正直これで井上のKO勝ちを確信したのだが、ドネアは脅威の精神力で立ち上がり、その後も逆転の一発を狙い続けていた。足は動かなくなっていたのだが、ドネアのパンチは最後まで威力が失われていなかった。
最終的には3-0の判定で井上が勝利したのだが、世界最高峰のボクサーの凄さというものを感じる事が出来る素晴らしいボクシングだった。私がスポーツ観戦をしている中で求めているものは「リアル」であったり「筋書きのないドラマ」だったりするのだが、今日の井上ードネア戦はまさに「リアル」であり、「筋書きのないドラマ」だった。本物の戦いを見る事が出来て私は幸せだった。
井上、ドネアの両者に大きな拍手と「ありがとう」という言葉を送りたいと思う。そして井上が今後どのような伝説を残してくれるのか見守っていきたいと感じた。


P.S 私が初めて見たボクシングの試合はおそらく東京ドームで行なわれたタイソンーダグラス戦だったと思う。多分小学校1年生くらいだったと思うのだが、そこからは日本人ボクサーの世界戦があれば必ずといっていい程夢中になって観戦していた。この頃はまだある程度のボクシング熱が残っており、辰吉や川島、鬼塚などの試合は興奮して見ていた記憶がある。その後私自身が年齢を重ねる中でボクシング界の事情が徐々に見えるようになってくると世界タイトルというもの自体ではなく、強いもの同士が戦うマッチメイクを求めるようになっていった。長谷川ーウィラポン、長谷川ーモンティエル、西岡ーゴンサレス、西岡ーマルケス、西岡ードネア、辺りは強く印象に残っている。どの試合もハイレベルの激闘だったと思う。しかしそれらと比べても今日の井上ードネアは私の中ではベストバウトになると感じる。
本物のボクシングを感じる事が出来るようになったここ10年余りは日本のボクシングファンにとってはとても良い時代なのではないだろうか?

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コメント

  1. タラちゃん より:

    ドネアがここまでタフであわや井上をKOにっていう展開まで持って行けるかと思わなかったです。
    井上もなんか調子でないなと思っていたら、骨折しながらあの戦いはさすがですね。
    ほぼ言われた通りの戦いで、こういう試合をいっぱい見たいです。
    井上尚弥は弟に勝ったWBCチャンピオンとの統一戦なのか、階級を上げるのか今後気になるところです。

  2. FIYS より:

    > タラちゃんさんへ

    ドネアは全盛期に比べてスピードは落ちていたと思いますが、バンタム級のウエイトでしっかり身体を作り、あれだけのハードパンチを繰り出せること自体が素晴らしいですよね。そのドネアに打ち勝った井上はやはり素晴らしいですよね。

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