ありがとね。村上君。

ヤクルト2-6巨人

両チームにとって消化試合ではあるのだが、巨人は日本シリーズに向けてチーム状態を整えていく必要があるゲームだし、ヤクルトにとっても小川を先発に立て、勝ちに行った試合である。しかしゲーム内容自体はリーグ優勝を果たした巨人ファンに「おめでとう」を伝えるためのゲームのような展開になってしまった。ヤクルトファンとして苦い思いをしてばかりのシーズンとなり、シーズン最終盤の巨人戦でも小川が岡本に2本のホームランを浴びるなど、最後まで苦しまなくてはならないのか?と心がズタボロになっていたのだが、そんな中でも村上が2ホーマーを放ち、多少はヤクルトファンの気持ちを晴らせてくれた。「ありがとね。村上君。」という言葉は偽らざる本音である。

村上に触れる前にまずは岡本に触れたいと思う。3年連続の30本塁打達成。2年連続でチームのリーグ優勝に大きく貢献するという今の巨人に欠かすことの出来ないスター選手である。巨人待望の生え抜きの右の大砲ということでまさしく「巨人の宝」と言える選手である。高校時代から飛ばす能力に長けていたスラッガーが開花したのは、高卒4年目のシーズンからである。アマチュア時代に大砲として名を馳せた選手でもプロの世界で活躍できるとは限らない。岡本はプロ3年目まではプロの壁を越えられず、苦労してきた選手である。しかし4年目に結果を残して以降は、重責である巨人軍の4番を立派に務め上げている。ヤクルトもこの岡本には本当に良く打たれてしまっている。今シーズンはこの岡本に11本のホームランを献上してしまっているとのことだ。村上との打撃タイトル争いが繰り広げられている最中にこれだけ打たれてしまうのだから、それだけで岡本の凄さが伝わってくる。よく他球団のファンの友人から「村上は恐ろしい選手だ。」と言われるが、岡本もまた同様若くして才能を開花させた他球団ファンから見ると「恐ろしい選手」である。今日のゲームで小川から放った2本のホームランも決して簡単なボールではなかったはずなのだが、簡単に弾き返されてしまっていると感じる程に完璧に打たれてしまった。野球というスポーツの中で打撃というものは非常に難しく、高い技術を要求されるのだが、岡本は打席での再現性が高い打者のように感じる。スランプの期間が長くなってしまったり、まだ打ち損じの場面が多いため、打率が思ったよりも伸びていないのだが、この辺りは来シーズン以降修正されてくるのではないだろうか?私は優勝チームの主軸を担い、結果を出す選手には高い評価を付ける人間である。「チームを勝利に導く4番打者」という意味では、岡本は村上の上を行っているという評価も出来るだろう。守備面の上達含め素晴らしいプレーヤーである。

しかし村上も負けてはいない。高卒2年目の19歳からチームの主軸に定着し、今シーズンも打撃の確率を高め、順調にステップアップしている。今日のゲームは完全な負けゲームだったのだが、村上の2本のホームランでヤクルトファンの気持ちを救ってくれた。ヤクルトは2年続けて最下位に沈んでいるため「チームを勝利に導く4番打者」という言葉は使えないのだが、「弱いチームを背中で引っ張る4番打者」にはなっている。高卒3年目20歳の若者にこれだけの重荷を背負わせて良いのか?という部分はあるのだが、村上はしっかり背負ってくれている。名前を出して比較することは間違っているのかもしれないが、2013年シーズンのバレンティンもチームが最下位に沈む中でもホームランのNPB記録を更新し、ファンの気持ちを救ってくれたのだが、あの時のバレンティンに「チームを背負っている」という言葉はあまり浮かんでこなかったように記憶している(外国人選手だから…という目線で私自身が区別してしまっていたのかもしれないが…)。もしかすると村上は、チームが下位に沈む中で岡本以上にタイトルを狙いやすい立場にあったのかもしれない。しかし村上自身がタイトルを一番に考えてプレーしているという姿を感じさせることはなかった。チームの勝利を最優先に自分のスタイルを崩さずにプレーしているように感じた。先日も同様のことを書かせてもらったと思うのだが、このシチュエーションでも雑にならずに打席に入れる20歳の選手は中々いないものである。20歳の若者の背中を見て、気持ちを高めたり、不甲斐なさを感じている先輩選手は数多くいるのではないだろうか?リーグ2連覇を達成した巨人の4番打者である岡本は「チームを勝利に導く4番打者」だが、村上にも岡本同様の資質が備わっていると思う。いつか村上も「チームを勝利に導く4番打者」になってくれるはずである。岡本の背中を追いかけることが出来ることは村上の成長を促すことになるはずである。残り2試合となり村上がタイトルを取ることは難しくなってしまったが、ヤクルトファンとして「村上がいてくれて良かった。」と心から感じるシーズンとなった。

にほんブログ村 野球ブログ 東京ヤクルトスワローズへ
にほんブログ村








コメント

  1. 超匿名 より:

     後半戦は小川を立てても巨人に勝てなかったのがつらかった。完投能力もありヤクルトでエースと呼ばれる立場ですが、それらしい姿を見せてくれたのはシーズン中盤だけでしたね。終盤の結果を見ると来季に向けては不安を残しましたね。各球団のエースと比べると安定感では一歩劣るという感じでした。
     村上をドラフトで外していたらと思うとぞっとします。去年も今年も楽しみのないシーズンになっていたかもしれません。ここまできたらあと2本打って、30本の大台と期待したいです。勿論それ以上打ってもらってもOKです。
     岡本はドラフト当時にFIYSさんが推してましたよね。そういう慧眼をスカウト陣が持っていたら、ONならぬOM砲が実現したかもしれないと。今日も内容が仮定の話になってしまいました。村上がいるのだから贅沢言うなと他球団ファンに怒られそうですね。

  2. FIYS より:

    超匿名さんへ

    小川は後半戦は本当に苦しみましたね。規定投球回に達さなかったことが残念です。

    慧眼は持っていませんよ。プロのスカウトが一番です。このブログを書き始めてから1位入札に関してはほぼ私の希望通りになっていますしね。唯一自分の思いとズレが大きかったのが2014年ドラフトでした。岡本は甲子園で好投手相手にもある程度内容のあるバッティングを披露していたこととチーム事情もあって強く推していました。

タイトルとURLをコピーしました