中々計算通りにはいかない。だから「野球」は面白い!

ヤクルト3xー2DeNA(延長10回)

故野村克也氏は「野球は間のスポーツ」だと言った。1プレーごとに間があるスポーツであるため、その間に考えることが出来る。考えることで勝つ確率を高めることが出来ると説いた。また監督は、将棋の棋士に例えられることがある。選手を駒に見立て、どのような作戦で試合を組み立てるのかという部分に注目が集まるのは常である。
野球は非常にゲーム性が高いスポーツであると言える。だからこそファンも色々と考えながら観戦を楽しむことが出来る。私もそういうタイプの楽しみ方をするファンの一人である。しかし忘れてはならないのは、「野球」はゲームではなく生身の人間が行う「スポーツ」であるということである。疲れも出れば、メンタルの揺らぎもある者同士が戦うからこそ面白いのである。「野球は間のスポーツ」という言葉以外にも「野球は確率のスポーツ」という言葉が使われることもある。この言葉ももちろん「野球」というスポーツに当てはまる言葉なのだが、だからと言って100%の必勝法があるわけではない。今日のゲームはヤクルト、DeNA両チームともに計算通りに試合を進めることは出来なかった。しかしだからこその好ゲームだったという見方は出来るのではないだろうか?

2回表の関根の走塁および塩見の守備、6回表の高橋の突如の乱調、田口のスーパーリリーフ、勝利の方程式で逃げ切りを図りながら8回表に同点打を浴びてしまった清水、8回裏の2アウト満塁の場面で代打青木の打球をダイビングキャッチした桑原、10回表に1アウト1,3塁、2アウト満塁と絶体絶命のピンチを凌いだ梅野、10回裏の村上のサヨナラ2ベースヒットと全てが生身の人間同士だからこそ、一流のアスリート同士だからこそ飛び出したプレーなのだと思う。土曜日のデイゲーム、お客さんの反応が伝わる中でのゲームは、徐々に野球場に日常が戻ってきていることも感じさせてくれた。「野球って面白い。プロ野球っていいな。」と思わせてくれるゲームとなった。

先発の高橋は、ヤクルト打線が湿っている中でよく粘ってくれた。2回に守備の緩みから先制点を許してしまったのだが、その後は、DeNA打線に得点を許さなかった。それだけに6回1アウトからの突如の乱調が気になった。前回登板でも7回に同じように崩れかける場面があったのだが、前回はしっかり7回を無失点で凌いでくれた。しかし今日は、完全にコントロールを乱してしまい、ワイルドピッチも絡む中で3与四球と崩れてしまった。本来であれば球数的にもこの回までは投げ切ってもらいたかったのだが、代えざるを得ない崩れ方となってしまった。球数が80球程になると崩れ始めるということは高橋にはよくあることだったのだが、ある程度克服し始めたのかな?と感じていた。それだけに前回、今回と同じような崩れ方をしてしまったところに若干の不安を感じる。
高橋の突然の乱調で出番が回ってきた田口は、昨シーズンも同じような場面でマウンドに上がることが多々あったのだが、今日もしっかりスイッチを入れた状態で打者と対峙してくれた。得意のスライダーで関根をセカンドゴロダブルプレーに打ち取り、大ピンチを1球で救ってみせた。まさにスーパーリリーフと呼びたくなるようなナイスピッチングだった。
後は7回石山、8回清水、9回マクガフで逃げ切りを図りたかったのだが、8回に清水が牧に同点タイムリーを浴びてしまった。四球が絡んだ中での失点ということでコントロールが武器の清水からすると悔いの残る失点になってしまったのではないだろうか?
9回はマクガフで凌ぎ、10回は梅野がマウンドに上がったのだが、1アウト1,3塁というピンチを招いてしまった。しかしここで牧に対してインローへ最高のストレートを投げ込み、三振を奪うと、その後の2アウト満塁のピンチも関根をセカンドゴロに打ち取り、何とかピンチを凌いでみせた。決して良い投球とは言えないのだが、絶体絶命のピンチでもしっかり自分のボールを投げ込めた所に梅野の経験値の高さを感じることが出来た。

打線は終わってみれば、塩見の同点タイムリー、山田の通算250号となる勝ち越しホームラン、村上のサヨナラタイムリー2ベースと主力がしっかり仕事をした中で勝利をもたらしたのだが、決して快心の出来とは言えないゲームだった。それでもまずい守備と言われてもおかしくないプレーをしてしまった塩見の同点タイムリーヒットには、メンタル面で課題のあった塩見の成長を感じることが出来たし、ここ数日当たりが止まっていた山田のホームランは、流石の一発だったし、村上のサヨナラ打もピープルズのインコースの厳しいカットボールを非常に上手く捉えた一打だった。特に村上のバッティングに関しては、インコースのボールに対して少し足を引くように距離を作りながら、コンパクトなスイングで捉えた村上らしからぬ技ありの一打(あの打ち方でフェンスまで打球を飛ばしてしまうのが凄いのだが…)だと感じた。
主力3人がそれぞれ苦しみながら大事な場面で仕事をしてくれた。この1勝で多少気持ちは落ち着くはずである。そろそろ打撃で打ち勝つ試合も見てみたいものである。

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コメント

  1. sabo より:

    連敗の薬は勝つことですからね。何よりも勝てて良かった。
    主軸の山田村上が良いところで仕事をして青木の当たりも良かったことは良かったですが、まだ復調とは言えない気がします
    なんとか調子を上げて欲しいです

    今なら塩見とサンタナが一番打席で雰囲気ありますよね
    特に塩見は打席でよく集中できているように感じます

    猛打賞の長岡がほんと光ってますね
    思ったよりエラーがありますが思ったより肩強いし足も速い
    打席でも強く引っ張ったと思ったら、今度は反射神経を活かすように流し打ちしたり
    (まだ早いですが)今年のシンデレラボーイになるんじゃと毎試合期待が膨らみます

  2. FIYS より:

    saboさんへ

    とにかく連敗が止まって良かったですよね。

    長岡がこのままショートのレギュラーを奪取するようなことがあれば、チームにとっては非常に大きいですよね。どこまでスタメン出場が続きますかね?

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