「打つ」より先に「勝つ」がある

ヤクルト7-6広島

私が村上という選手が好きな理由の一つに自分の打撃での結果以上にチームの勝利を最優先に戦っている姿を表出してくれているという部分がある。もちろん結果を残しているからこそ、そういったメンタリティになるということも言えるのかもしれないが、おそらく「何のためにプレーをしているのか?」という質問を村上にすれば「チームの勝利のため。」という回答が返ってくるはずである。打つ、走る、守るという野球の技術的な部分だけでなく、ベンチでチームを鼓舞する姿など、とにかくチームの勝利のために「そこにいてくれる。」村上の存在は心強い。個人成績だけでなく、チーム成績も向上させる選手というのは、非常に貴重な存在である。

村上は先日の阪神戦でノーヒットに終わり、その前日は、青柳からホームランを放ったものの2度の満塁のチャンスで凡退したり、捉えたと思ったであろう打球がフェンスオーバーしなかったりと少し気になる部分もあったのだが、今日の1打席目で大瀬良のスライダーを完璧に捉えてみせた。バックスクリーンに飛び込む見事な先制ホームランとなった。おそらく村上の状態は絶好調時から少し落ちてきているように感じるのだが、それでも糸も簡単にホームランを放ってしまうのだから驚いてしまう。これで今シーズン放ったホームランは53号に達した。王貞治らの55本は射程圏内に入っているし、バレンティンの60本も狙える状況にまで持ってきてくれている。今後も村上の1打席1打席に注目が集まりそうである。
そんな村上は、今日は第1打席以降はヒットが生まれなかったのだが、それでもサードの守備位置でもベンチでもチームを鼓舞する姿が見られた。特に塩見が同点2ランホームランを放ったり、長岡が勝ち越し2ランホームランを放った際のベンチでの喜ぶ姿は、チームの勝利を最優先に考えているからこその姿であることが伺える。高卒5年目の22歳でこの打撃成績、そしてこの佇まい、すでに日本野球史に残る選手になっている。
村上のホームランの後は劣勢になっていたのだが、4回にオスナのタイムリー2ベースで1点を返すと、上記の通り5回には塩見に同点2ランホームランが飛び出した。コロナで離脱して以降、復帰後も中々状態が上がってこなかったのだが、ここの所徐々に力強い打球が増えてきている印象である。今日の同点2ランホームランは、左中間スタンドに運ぶ、一発であり、塩見のホームランとしては、あまりない場所へのホームランだと思うのだが、非常に滞空時間の長い、素晴らしい一発となった。今日のホームラン&猛打賞をきっかけに更に状態を上げていってもらいたい。
そして6回には、長岡に勝ち越し2ランホームランが飛び出した。一時、左手の押し込みが弱くなっているのではないか?ということをこのブログで書かせてもらい、捉えたと思った打球が外野手に捕球される場面も目立っていたのだが、今日はライナーでライトスタンド最前部に運んでみせた。久々のホームランということで、長岡も徐々に本来の自分のスイングが戻ってきているように感じる。打席での余裕や引き出しも少しずつ増えてきているように感じる。ここからもう1回状態を上げることもあり得るのではないだろうか?

投手陣は先発の小澤もリリーフ陣も苦しむ場面があったのだが、1点差に迫られた以降は、田口ー清水ーマクガフとよく踏ん張ってくれた。田口はピンチで登板するとワイルドピッチで一気に二者に生還を許してしまったのだが、イニング跨ぎをした中でももう1点は与えなかった。村上とはまた少しベクトルは違うのかもしれないが、田口もマウンドでの姿、ベンチでの姿で他の選手を鼓舞できる選手である。今日も気持ちの入った投球を見せてくれたと思う。
先発の小澤については、5回4失点でも大目に見たいと思っている。シーズン途中で支配下契約を勝ち取り、今日で10試合目の登板となったのだが、どのゲームでも小澤らしさという部分は見せてくれている。まだまだ実戦経験が乏しかったり、サイドスロー転向からそれ程月日が経っていなかったりするため、試合をまとめる術に欠けている印象もあるのだが、ボール自体は十分1軍で通用することを証明してくれている。課題は実戦経験を積む中で少しずつ修正していってくれればよいのである。

先日の阪神戦に続いてシーソーゲームとなったのだが、苦しいゲームを勝ち切れたことで、また一歩リーグ優勝に近付いたと言って良いだろう。

P.S 先日はあと僅かの所でプロ入り初勝利を逃した久保が今日初勝利を飾りましたね。正直チーム内でコロナクラスターが発生する前は、チーム内でもかなり崖っぷちの状況にある投手だと考えていましたが、しっかりチャンスを活かしましたよね。チームだけでなく、久保にとっても大きな1勝になりましたよね。

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コメント

  1. パイン より:

    久保の初勝利、本当におめでとうという思いです。プロ入り当時から期待しつつ、もうダメかというところから、よく勝ってくれました。技巧でかわしたい気持ちを乗り越えて、内側でも勝負できるようになり一皮剥けた感じです。ここから投球の幅が広がれば、他の投手の手本にもなるなあと期待してます。

  2. 超匿名 より:

     安打の数が同程度でもホームランがあった分こちらに軍配が上がった形ですね。相性が良いチーム相手でもあちらもCSがかかっているからか、楽には勝たせてもらえませんでした。田口の暴投でランナーが二人帰ってきたあたりは敵ながら感心させられました。
     打線が活気が出てきたのに対して、先発投手陣は不安定ですね。確かに途中から先発に転向した小澤に対して、今季は過剰な期待をかけるのは酷ですね。もはや不測の事態以外ではリーグ優勝は揺るがない段階まで来ていると見ていますが、CSや日本シリーズに向けての不安材料の1つですね。

  3. sabo より:

    私も管理人さんも久保が入団するときにはかなり期待していたのでやっと芽が出てきたのは嬉しいですね
    ただ球団としては一時期は久保を先発として期待をかけていたとおもうのですが(ファームでも先発が多かったですし一軍でも先発で投げたことありましたね)結果としてリリーフとして生きる道を見つけたことは
    育成という面で先発を育てることが簡単ではないのだと感じますね

    まあ小澤のように意外な才能が見つかるパターンもありますが。
    小澤については5イニングちゃんと投げたのは良かったと思います
    期待はしていますが高望みはしません

    木澤が荒れまくってたのが少し心配ではあります
    なんともないと良いのですが

  4. FIYS より:

    パインさんへ

    久保は左打者のインコースにシュートを精度高く投げ込めるようになったことで働き場所を得ましたかね。正直シーズン後の戦力外通告も頭をよぎるようなこともあったと思うのですが、よくここまで自身を高めてきましたよね。

  5. FIYS より:

    超匿名さんへ

    小澤はよく頑張ってくれていますよね。しかし先発陣の駒が不足してきていることが気になりますよね。

  6. FIYS より:

    saboさんへ

    私はドラフトで指名された時点では、久保のことは全く知らなかったのですが、動画を見て良い投手だと感じました。私も先発タイプだと感じていたのですが、芽が出ず、今シーズン序盤はリリーフでも失敗していたのだが、このまま終わってしまうのかな…という気持ちもあったのですが、よくここまで這い上がってきましたよね。

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