小川泰弘と山田哲人

2023試合結果


ヤクルト3-1阪神

雨中の立ち上がりこそ、両投手ともに苦しんだのだが、ヤクルト小川、阪神青柳のエース同士による素晴らしい投げ合いが展開された。両投手ともに勝ち負けは付かなかったのだが、今日は贔屓目なしに投球内容については、小川に軍配を上げても良いかな?と感じる程に小川が完璧な投球を披露してくれた。打線は劣勢の中でオスナに同点ホームランが飛び出すと、7回には代わった浜地から山田が勝ち越し2ランホームランを放ち、試合を決めてみせた。大事な場面でオスナ、山田にホームランが飛び出した。

ヤクルト先発の小川は、立ち上がり、先頭の近本をライトフライに打ち取ったかに見えたのだが、雨が降りしきる薄暮の甲子園でサンタナが打球を見失い、3ベースヒットで出塁を許してしまうというあまりにも不運な立ち上がりとなった。続く中野に犠牲フライを浴び、嫌な形で先制点を与えてしまった。その後阪神の攻撃中に雨足が激しくなり、中断を挟むことになるのだが、雨が収まり、試合が再開されて以降の小川は、阪神打線に何もさせない完璧な投球を披露してくれた。
球速表示はそれ程出ていなかったのだが、打者から空振りを奪えるキレの良いストレートと多彩な変化球で常に投手優位のカウントに持ち込むことが出来ていた。事も無げにカウントを整える小川の姿は、好調時の姿そのものだった。2回から6回までは、4回に山田のエラーで出塁を許した場面以外は、阪神打線に出塁すら許さなかった。おそらく今日に関しては、阪神打線もお手上げ状態だったのではないだろうか?どの球種でもストライクを稼げるため、的を絞ることが出来なかったと思うし、何よりストレートが走っていたことが大きかったのではないだろうか?元々引き出しの多い投手ではあるのだが、ストレートが走っている時の小川は、ストレートを基本線に追い込んでから低めのフォークで勝負出来る本格派の姿が顔を出す。今日はまさしく本格派投手のような姿を見ることが出来た。ここに多彩な変化球が加わるのだから鬼に金棒である。サンタナがボールを見失ってしまったことが要因で1点を失ってしまったり、山田のエラーで多少球数が増えてしまったこともあり、6回で降板となってしまったのだが、球数と試合展開が許せば十分もう1イニング任せられるだけの投球内容だった。
小川の出来が良かっただけに、7回から登板した石山は、難しいマウンドになったと思うのだが、先頭の大山にヒットを許しながらも無失点で凌ぐと、その裏に山田に勝ち越し2ランホームランが飛び出し、8回、9回に関しては、清水ー田口という盤石のリレーで逃げ切ってみせた。田口に関しては、今日は雨上がりの甲子園のマウンドに苦しんだのか、足元を気にする姿が目立ち、普段の制球力は影を潜めたのだが、1アウト1,2塁という長打が出れば同点、一発が出ればサヨナラ負けという場面で、一発のある佐藤輝、森下をしっかり抑え込んでみせた。調子の良かった先発小川の投球はもちろん見事なものだったのだが、状態が悪くてもしっかり試合を締め括った田口のクローザーぶりも印象に残るものとなった。

ヤクルト先発小川の投球内容があまりにも良かったのだが、阪神先発青柳に関しても「らしさ」全開の投球を披露し、ヤクルト打線は中々得点を上げることが出来なかった。1番丸山和、2番宮本と左打者を入れ、青柳攻略に掛かったのは、いつものことだったのだが、今の青柳は、左打者に対する投球も確立しており、簡単に捉えさせてはもらえなかった。手元で細かく動かすツーシームやカット系のボールだけでなく、左打者のアウトコースから入れてくるバックドアのスライダー、右打者のインコースから曲げてくるフロントドアのスライダーは打者からすると相当厄介なボールである。この2つのボールを制球されてしまうと打者は相当苦しくなる。今日はこの左打者へのバックドア、右打者へのフロントドアに関しては、完璧な投球ではなかったのだが、それでも簡単には攻略できなかった。
ようやく1点を奪い同点に追い付いたのは、7回に飛び出したオスナの一発だった。6回に宮本、山田、村上という上位打線が完璧に抑え込まれてしまい、反撃の糸口を見失いかけていたのだが、7回の先頭打者オスナがカウントを取りに来た甘めのスライダーにしっかり反応してみせた。打球は左中間スタンドに飛び込む同点ソロホームランとなった。オスナの好調ぶりが伝わってくる完璧なホームランだった。この一発で試合を振り出しに戻すと、続く8回、代わった浜地から勝ち越しのホームランを放ったのは、山田だった。この回1アウトから宮本が四球を選び出塁するとヤクルトベンチは、代走に並木を投入し、阪神バッテリーにプレッシャーを掛ける。カウント0-1からの2球目に阪神バッテリーは高めのストレートを投じてきたのだが、そのストレートを山田が狙いすましたようにフルスイングで捉えると打球はセンターバックスクリーンに飛び込む、勝ち越し2ランホームランとなった。並木のアシストがあったからこその山田のホームランという見方も出来た場面であり、チームとしての強さを感じる攻撃となった。
山田に関しては、WBCにも出場しており、例年よりも早く身体を仕上げてきている部分はあると思うのだが、まだ打撃で結果を残すことは出来ていなかった。それでもこの日は、第2打席に苦手青柳の難しいコースへのツーシームを上手く捉え、センターフェンス際まで運ぶなど、本来の山田のバッティングが戻ってきているように感じさせる場面もあった。そんなことを思った矢先に飛び出した2ランホームランは値千金の一発となった。
ここまで打線が爆発したゲームはないのだが、投手陣が試合を作る中で、野手陣に大事な場面で一発が飛び出している。打線が「線」として機能しているか?と聞かれれば「?」が付いてしまうのだが、それでも「チームとしては機能している。」と言えるのではないだろうか?ビジター甲子園で青柳が先発した好調阪神に勝利出来たことは、明日以降に繋がってきそうである。

P.S 阪神のルーキー森下は想像以上にプロの1軍クラスの投手のボールに対応することが出来ていますね。高校時代の印象もあり、もう少し粗いイメージもあったのですが、しっかりボールを引き付けてスイングが出来るタイプの強打者ですね。中大時代に同僚だったヤクルトの北村にも言えるのですが、最近のアマチュア選手は、様々なデータが取れる中で自分の能力と相手の能力を可視化できるようになってきていることが、プラスに働いているようですね。ルーキーイヤーに関しては、プロの壁に苦しむ野手が目立つ時代が続いていたと思うのですが、野手で即戦力が期待される選手が、1年目から結果を残せる時代が到来し始めているのかもしれませんね。




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コメント

  1. sabo より:

    小川が良かったですね
    オスナ山田のクリーンナップが一発で決めたのも今のスワローズらしくて良かった
    サンタナの守備は不運というか仕方ないですが、あれで負けたら後味悪かったのでホントに勝てて良かった
    しかし青柳相手なら左打者の青木で良かった気もしますけどね。


    並木は盗塁や走塁に自信を感じますね。ルーキーから成長を感じます

    • fiys より:

      saboさんへ

      小川の投球は見事でした。

      並木もスピードを1軍のゲームで活かせるだけの選手に成長してくれましたね。

  2. 超匿名 より:

     今年の小川を見ていると新人の年の成績並みを期待したくなります。山田の方は足が使えているのが良いですね。トリプルスリーは無理に達成して欲しいと思いませんが、久しぶりに高打率が見たいですね。

    • fiys より:

      超匿名さんへ

      小川は投球フォームも以前のノーラン・ライアンっぽいフォームに変更しましたね。期待したいです。
      山田は身体のコンディション自体は良さそうですね。

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