川端慎吾引退

選手


ヤクルト・川端慎吾が今季限りでの現役引退を表明 栄光と苦難に満ちた20年間のプロ野球人生に別れ – サンスポ




上記のサンスポの記事の通り、川端が今シーズン限りでの現役引退を表明した。今シーズンはここまで2軍生活が続き、1軍に呼ばれることはなかったため、一ファンとして少なからず覚悟はしていたのだが、正式に引退となるとやはり寂しいものである。

川端は、市立和歌山商時代からその打撃技術の高さが評価された大型遊撃手だった。センバツで後に巨人に入団することとなる野上(神村学園)から放った綺麗なホームランを見て、私は川端に一目惚れしてしまった。その川端が05年の高校生ドラフトでヤクルトに指名された時には大いに喜んだ。この年のドラフトは高校生ドラフトと大学生・社会人ドラフトで分かれており、多少複雑なレギュレーションとなっているのだが、川端はヤクルトの高校生ドラフト3巡目(順番的には村中に次ぐ2番目)で指名された。村中と川端の両獲りに歓喜したものである。
かつてのヤクルトのスーパースター池山隆寛が付けていた背番号36を背負った期待のルーキーは、ルーキーイヤーから1軍でプロ初安打を放つなど、その才能を発揮してくれていた。2010年シーズン頃から出場機会を増やし、2011年シーズンには、初めて規定打席に到達した。このシーズンは最終盤に中日に逆転を許し、リーグ優勝を逃してしまうのだが、ヤクルト快進撃の中心選手として結果を残し、川端自身が大きく飛躍するシーズンとなった。
その後は、怪我での離脱がありながらも毎年打率3割近辺の結果を残し、特に2014年~2016年は、3年連続打率3割をクリアしてみせた。この頃の川端は、NPBが誇るヒットメーカーとなっており、2015年シーズンにはヤクルトの2番打者として打線の中核を担い、首位打者、最多安打のタイトルを獲得し、チームのリーグ優勝に大きく貢献してみせた。
年齢的にもまだ30歳手前ということで、その後は「ツバメのプリンス」として背番号1を背負うような選手になっていく可能性もあると思っていたのだが、2017年シーズンは椎間板ヘルニアの影響で1試合も出場することが出来ず、その後はこの椎間板ヘルニアとの闘い(付き合い)が続いていった。守備、走塁面では常に不安が付きまとう中で、レギュラーとしてシーズン通して出場することは困難になり、2019年シーズン、2020年シーズンは代打でも結果を残せない状態となっていった。
おそらく2017年シーズン~2020年シーズンについては、川端自身かなり苦悩したのではないだろうか?守備、走塁面だけではなく、川端の一番の武器である打撃面においても本来のスイングをすることが出来ず、その中で1軍のゲームに出場することは困難を極めていた。そんな川端の姿を見ることがファンとしても苦しかった。しかし、川端はここから「代打の神様」として蘇ることとなる。
迎えた2021年シーズン、川端は代打の切り札として、ゲーム終盤の大事な場面でことごとく結果を残し、チームのリーグ優勝、CS突破、日本一に大きく貢献してみせた。ゲーム終盤川端が代打で登場すると球場の空気が変わり、ゲームチェンジャーとしての役割を大いに果たしてくれた。シーズン最終盤以降は怪我もあり満足な状態でゲームに出場出来る状態ではなかったとのことだが、それでもCS、日本シリーズと代打として戦い、日本シリーズでは第6戦の延長12回に日本一を手繰り寄せる決勝のタイムリーヒットを放ってみせた。代打という役割でここまでチームに大きな影響を与え、優勝、勝利に貢献した選手はNPBの長い歴史を見てもほぼいないのではないだろうか?打撃技術の高さは勿論の事、怪我により長きに渡り地獄を見てきた男の集中力の高さがあってこその驚異的な代打成績だったのではないだろうか?

代打での輝きという部分では、この2021年が最も輝いたのだが、2022年~2024年も代打としてヤクルトに欠かせない存在で居続けてくれた。今シーズンは1軍での出場機会に恵まれず、引退を決断することとなったのだが、最後まで現役にしがみつき、腐らずに2軍でプレーし続けた姿は、多くの選手のお手本になったはずである。
20年間の現役生活で通算1099安打という数字に関しては、天才打者川端にしてはかなり物足りない数字なのかもしれないが、その巧みなバットコントロールで積み重ねた綺麗なヒットの数々、決して数は多くないが、ライトスタンドに糸を引くような弾道で吸い込まれるホームランは私達の脳裏にいつまでも記憶され続けることだろう。
神宮球場での残り2試合、川端は1軍でプレーするようである。引退試合ではないということで、相手チームのバッテリーにも是非全力勝負で臨んでもらいたい。真剣勝負の中で打席に立つ川端慎吾の姿を最後に見てみたい。その後で「20年間の現役生活お疲れさまでした。そしてありがとうございました。」の言葉を掛けたいと思っている。

川端についてはこれまで何度もブログ記事で触れてきているため、その過去記事を貼り付けておきます。
好投杉浦を援護できず | ヤクルトファンの日記
打球が飛ばない。それでも飛ばす畠山! | ヤクルトファンの日記
石川さんの170勝目のために | ヤクルトファンの日記
川端慎吾 | ヤクルトファンの日記
代打川端! | ヤクルトファンの日記
奥川の好投に応えたのは川端と梅野! | ヤクルトファンの日記
代打川端と代打真中 | ヤクルトファンの日記
激闘制し20年ぶりの日本一! | ヤクルトファンの日記

P.S 打席に入る時の登場曲、FUNKY MONKEY BABYS「悲しみなんて笑い飛ばせ」、この曲と共に川端が打席に入ると神宮球場の雰囲気が変わるんですよね。印象深い登場曲です。




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コメント

  1. sabo より:

    FUNKY MONKEY BABYSのあの曲、すごく合ってますよね。明るくて元気出るので他のスポーツでも合うだろうけど一打席一打席ブラバンが鳴るのが日本野球の面白さでもありますよね
    だれか引き継いだりしないかな

    川端は手術が大きかったですね。代打の神様としての復活はカムバック賞ものだと思います
    川端のバッティングは語りつくせないですが守備の面では(ショート時代はあまり覚えていないのですが)サードとしては肩は弱い方だったけどスローイングは良かったかな。それとバントのチャージが上手いと解説に褒められていたのが印象に残ってます。右打者の外から急にあらわれるからプレッシャーになる…みたいな話だったと思います。怪我がなければ背番号1を背負ってもおかしくなかったですよね。

    引退試合&セレモニーは来年のオープン戦に開かれるとのことですね。この形がいいんじゃないかなぁと思います。ネットの知識ですが昔はオープン戦で引退試合をするのが慣例だったようですし

    • fiys より:

      saboさんへ

      「悲しみなんて笑い飛ばせ」、私の中では川端慎吾の曲というイメージです。神宮の雰囲気を変える一曲ですよね。
      川端の守備は身体が固く、腰が高いという印象がありますが、それも故障の影響が多少なりともありましたかね?
      上手い部類の内野手ではなかったかもしれませんが、生真面目さが伝わってくる堅実さがありましたよね。

      • sabo より:

        そう!生真面目な姿勢が川端ですよね。15年は三木コーチの提案でランナー時の牽制球にインセンティブが付けられ走塁面の大強化が行われましたが、川端は盗塁は少なくても積極的に偽盗を何度も繰り返して相手にプレッシャーを与えていた真面目な選手という印象です。

        • fiys より:

          saboさんへ

          足が特別速い、守備が特別上手い選手ではなかったですが、野球のことをよく知っている選手でしたよね。頭を使ってプレーすることが出来る選手でしたよね。

  2. 超匿名 より:

     首位打者のタイトルと通算安打千本超えなので、実績を十分残してくれました。キャリア終盤での代打の神様ぶりは凄かったですね。相手チームのファンに非常に恐れられる大きな存在感がある選手でした。長い間お疲れ様でした。

    • fiys より:

      超匿名さんへ

      キャリア晩年の代打としての存在感も物凄いものがありましたよね。

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