高梨、茂木、宮本の「THE SECOND」

2025試合結果


ヤクルト7-6DeNA

今日は「THE SECOND」という結成15年以上の芸人より漫才賞レースが行われている。出番前の煽りVTRで各コンビのファーストチャンスはいつだったのか?というVTRが流れていた。いわゆる苦労人のベテラン漫才師の大会を盛り上げるような作りになっている。今日のゲームのヤクルトの選手で言えば、高梨、茂木、宮本の煽りVTRとして、プロに入ってからのファーストチャンス、その後の苦労、今日の輝きなどがまとめられていたとすれば、私はおそらく涙を流してしまうだろう。THE YELLOW MONKEYの「バラ色の日々」が沁みるのである。
高梨は、5失点してしまい、試合を作ることは出来なかったのだが、今日のゲームはこの3人抜きでは語れないだろう。このメンバーでよくシーソーゲームを勝ち切ったものである。

高梨裕稔
高梨のファーストチャンスは、日本ハム時代のプロ2年目10勝2敗で新人王を獲得した時ということになるだろうか?その後も先発としてある程度の成績は残していたのだが、どこかブレイクしきれないでいる部分もあり、プロ4年目のオフにトレードでヤクルトへ移籍することとなった。ヤクルトでも日本ハム時代のスタイルそのままに荒れ球とストレート、カーブ、フォークのコンビネーションを武器に基本的には先発として結果を残してきた。2021年、2022年にはチームのリーグ優勝にも貢献したのだが、やはり投球に良くも悪くも「若さ」があり、安定感に欠けてしまっていた。2023年、2024年は結果を残せず、背番号も14から40に変更となってしまった。正直「かなり厳しい立場に追いやられてしまったな。」と感じていたのだが、投球フォームを微調整し、ツーシームやカットボールなどのムービング系のボールを磨くことで、昨シーズン終盤から新しい高梨像を作り始めていた。
今シーズンも結果を残すことで先発の座を勝ち取り、ここまで好投を続けていた。今日も3回までの投球は見事なものだった。プロ12年目にして何か投球のコツを掴んだかのような素晴らしい投球だった。しかし4回に2アウト1,2塁のピンチを招くと、ここで佐野にフォークを捉えられてしまい、打球はライトスタンド最前列へ飛び込む逆転3ランホームランとなってしまった。そして5回には度会に2ランホームランを浴びてしまい、結局6回5失点で降板となってしまった。それでも6回を84球という球数でまとめることが出来ていることが、今の高梨の新たな投球スタイルがハマりかけていることを示しているように感じる。ピカピカに輝く度会に浴びた一発にベテランの哀愁のようなものも感じてしまったのだが、今日の投球だけで評価が落ちることはないのではないだろうか?ホームラン2発での5失点は投手の責任になってしまうのだが、内容自体は数字ほどは悪くなかったと思う。

茂木栄五郎
・茂木のファーストチャンスは、桐蔭学園ー早大というエリート街道を歩んだ中で楽天にドラフト3位で指名され、1年目からレギュラーを奪取し、その後主力として定着した4年目のシーズンまでということになるだろうか?茂木のプロ野球人生は、その後も輝かしいものになっていくことを多くのファンは疑わなかったと思うのだが、その後怪我に苦しみ、出場機会、数字共に大きく落としていってしまった。昨シーズンオフにFAでヤクルトに移籍し、今シーズンは心機一転新天地でプレーすることになった。村上の負傷離脱もある中でサードのレギュラーを獲得した茂木は、その打撃技術の高さ、堅実な守備で低迷するチームで奮闘を続けている。
昨日は体調不良でベンチを外れ、心配されたのだが、今日は3番サードで先発出場を果たすと、3-5と2点リードされた7回の第4打席で大仕事をしてみせた。0アウト1,2塁という場面でDeNAは、茂木対策で左の坂本をマウンドに上げたのだが、茂木は坂本の初球を振り抜くと打球はライトスタンドへ飛び込む逆転3ランホームランとなった。野球は数字のスポーツと呼ばれることもあり、データを見ながら監督も采配も揮うのだが、あくまでも生身の人間同士が戦うスポーツであり、データが全てではないのである。左の坂本を投入すること自体は、当然の手ではあるのだが、だからと言って抑えられると決まっている訳ではない。茂木の技術がデータを上回ってみせた。

宮本丈
・宮本のファーストチャンスは奈良学園大時代まで遡ることになるだろうか?下級生時代からショートの守備は非常に高く評価されており、大学3年次までは、ドラフト1位候補としても名前が挙がるほどだった。しかし大学4年次に腰痛に苦しんだ宮本は、プロ側の評価を下げてしまい、まさかのドラフト6位という順位でヤクルトに指名されることとなった。堅実な守備は、今で言えば長岡レベルに達した可能性もあった選手だと思うのだが、ショートでの守備という一番の武器を失った宮本は、ユーティリティープレーヤーとしてプロの世界でしぶとく生き抜くこととなった。内外野を守り、代打でも代走でも守備固めでも起用され、チームに欠かせない存在となっていった。2021年シーズン以降は、代打川端の陰に隠れながらも代打として仕事を果たす場面も目立っていた。昨日ゲームでも9回の大事な場面で四球で出塁するなど数字以上にチームへの貢献度の高い選手である。
今日は、6-6で迎えた8回裏1アウト1塁の場面で代打で登場すると1塁ランナー伊藤が盗塁を決めた後に勝ち越しタイムリー2ベースを放ち、この一打が決勝打となった。代打として最高の仕事をしてくれた。

高梨が佐野、度会の二発で5点を奪われたところで、今日のゲームは相当厳しくなったと感じていた。しかし、そのゲームをひっくり返して勝ってしまうのが野球の面白さである。データだけでは分からない人間味が詰まった勝ちゲームとなった。

P.S 最後に試合をしっくり締めくくった石山も今日の試合のヒーローですよね!




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感想(1件)




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コメント

  1. grass より:

    主力選手が何人もいない状況を考えれば、泥臭い展開でもかっこ悪くても良いからなんとか相手にしがみつく姿勢を見せてくれ・・・という意味で、送りバントは泥臭さの象徴のひとつ。もちろん否定しません。しませんが、しかしこう何度も失敗やらその後点に結びつかない展開を見せつけられると、なんだかなあ〜、なんて思っている所に、見事なヒットエンドラン。
    スワローズのキレイなヒットエンドランなんて、いつ以来!? 伊藤の盗塁も含め、ちょっと興奮しちゃいました。
    勝つって、素晴らしい。

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