2回裏の攻撃が全て。流れを手放す。

ヤクルト0-5阪神

野球というゲームは「流れ」が大切なゲームであることを改めて感じることが出来る試合となった。2回の裏に先制点を奪っておけば、全く試合展開になったと感じるのだが、この回に得点を奪えなかったことで完全に試合の流れを手放してしまった。「流れなんて迷信みたいなものだ。」という人もいるのだが、おそらく野球経験者であれば野球と言うスポーツの「流れ」の大切さは誰もが感じているのではないだろうか?プロ野球という日本の最高峰のレベルであっても同じことが言えるはずである。

今日のゲームに関しては、ヤクルト先発山中も阪神先発岩貞も調子は良かったと思う。2人とも初回を三者凡退で立ち上がる素晴らしい内容の投球となった。
しかし2回裏にゲームが動く。バレンティンの欠場によって4番に入った山田が、カウント0-2と追い込まれてからの3球目に死球を喰らい出塁すると続く鵜久森が左中間を破る2ベースを放ち、0アウト2,3塁という大チャンスを作ることに成功する。昨日3本塁打を放った山田が7月末に田原にぶつけられたときと同じような箇所に死球をもらい、ヒヤッとしたのだが、この死球を活かすべく鵜久森が仕事をし、このまま一気に岩貞を崩したかったのだが、雄平、西浦と連続三振を喫してしまい、あっという間に2アウトを獲られてしまうと、西田敬遠後、山中も三振に倒れてしまい、無得点に終わってしまった。この回が全てだったと感じる。
山田の死球に関しては、カウント0-2から避けようもないコースでぶつけられたものであり、ファンとしても少し怒りを感じるような死球だったし、おそらくチーム内でも気合いが入ったと思う。岩貞にも多少の動揺があったと思われる。そんな中鵜久森に2ベースが飛び出し、調子の良い岩貞を崩す最大のチャンスが訪れたのだが、そこで雄平、西浦が岩貞の完璧な投球の前に打球を前に飛ばすことさえ出来なかった。ここは岩貞を褒めるべきなのだが、この2人が一本放てなかったのはヤクルトにとってはあまりにも痛かった。そして山中も良く粘ったのだが、フルカウントから高めのボール球に手を出してしまった。投手の山中にそこまで求めるのは酷なのは分かっているのだが、見送っていれば押し出しで1点だっただけにこれも痛いプレーではあった。この回は、先制点にほぼ手をかけていただけにどうしても得点を奪いたかった。
振り返ってみると0アウト1塁の場面で鵜久森が左中間を破る2ベースを放ったのだが、この時も俊足山田をホームに突入させるという選択視もあったと思う。もちろんまだ序盤の2回であり、ギャンブルする場面ではないため福地コーチが止めたこと自体は間違いではない。どちらかというとその後のチャンスで凡退してしまった雄平、西浦の方に責任があるのだが、岩貞の調子は良かったし、もう絶対に負けられないゲームだっただけに2回~ギャンブル的に仕掛けるということも「あり」だったのかもしれない。山田が鵜久森の当たりでホームに返ってこれたら…雄平、西浦が犠牲フライでも内野ゴロの間でも良いので山田をホームに返せていたら…山中が押し出しを選んでいたら…目の前にあったはずの先制点はするりと逃げていってしまった。

すると直後の3回に山中が北条に内野安打で出塁を許してからピンチを招いてしまい、鳥谷に先制タイムリーを打たれてしまった。おそらく2回のチャンスを潰してしまったことも多少影響したのではないだろうか?そして5回にも鳥谷にソロホームランを浴びてしまった。山中にとってはこの鳥谷のホームランは余計だった。おそらく5回を無失点で切り抜けていれば、その裏の打席で代打を送られなかった可能性が高いのでないだろうか?決して調子は悪くなかったし、球数的にも問題なかったため普通であれば続投なのだが、もう負けられない明日なき戦いを強いられている中で2点のビハインドとなってしまっては、ここで代打を送るのは至極当然の判断だったと感じる。これも2回に先制点を奪っていたら全く違うシチュエーションになっていたと思われる。

結局山中の代打比屋根は出塁することが出来ず、5回もあっさり三者凡退に抑え込まれると、6回には代わった松岡が連続四球とヒットで0アウト満塁のピンチを招いてしまう。北条を何とかライトフライに打ち取り、1アウトを取るのだが、打者岩貞の所でヤクルトベンチは松岡から村中にスイッチしてきた。この交代は個人的には不可解に感じた。確かに松岡は連続四球を与え、続く荒木に対してもバントファールでカウント0-2と追い込んでから打ち取れず、結局フルカウントまで持ち込まれてからヒットを放たれるという非常に内容の悪い投球ではあったのだが、ピッチャーの岩貞のところで代える必要性が分からなかった。そして代えた投手がお世辞にもコントロールが良いとは言えない村中だったことも「?」だった。結局村中は岩貞にサードの頭を高いバウンドで越されるタイムリーヒットを打たれてしまう。継投も不可解だったのだが、村中ー西田の岩貞に対する配球にも疑問が残った。おそらく岩貞の狙いは「外のストレートを強く叩き付ける。」という1点のみだったと思う。満塁の場面で投げている村中ー西田のバッテリーの心理状況も読まれていたと思うのだが、それにしても外角の同じようなコースにストレートを3球続けるのはどうなのだろう?采配も配球も完全に裏目に出てしまった。
結局村中は続投した7回には福留に2ランホームランを浴びてしまい、試合を決められてしまった。

2回に先制点が奪えなかったことで、試合全体の流れが大きく変わってしまった。「流れ」というのは怖いものである。岩貞の調子は良かったものの2回に先制点を奪えていればかなりの確率で勝てたゲームだと感じている。残り10試合でゲーム差は3.5のまま。非常に厳しい状況である。3位DeNAとの直接対決が4試合あるがまずは13日、14日に連勝してもらうほかないと感じる。バレンティンはスタメンで戻ってくるのだろうか?山田の調子はどうなるだろうか?望み薄ではあるが最後まで応援したい。

にほんブログ村 野球ブログ 東京ヤクルトスワローズへ
にほんブログ村








コメント

  1. k より:

    2回の攻撃が全てでしたね。
    今年はこういう場面で点を取れてませんよね、この試合の大事さを考えれば西浦のところでスクイズはなかったのかなと思いましたが、ここの監督は選手の任せの采配なので予想通り何もなかったですね。
    私も野球経験者なので野球は流れがあるのは痛いほど感じてます、特に守備をしてる時に四球連発や有り得ないエラーは攻撃に移った時の集中力に影響を与えますね、逆に絶体絶命のピンチに奇跡的に抑えたらイケる思いますよね。
    ここの監督は流れを選手の自主性に頼っているので、これでは流れを持ってこれないですよね。
    広島みたいにどこからでも打つ打線なら勢いつきますが(阪神も巨人も似たような戦い方をしてますね)
    それと山田が同じところに死球ですね、せっかく治って調子上がってきたのに、また逆戻りですね。ソフトバンクの柳田も四死球攻めにあって調子落としてましたし宿命とは思いますが当てたもん勝ちになっているのは、やりきれない部分も多いですね(昔は報復死球がありましたが最近は選手同士が仲がよいのでなくなりましたね)
    山田とバレンティンも満身創痍で9月に入ってからの先発ローテと作戦面での無策を見ると内容も見るものがないので、この負けでCSは100%ないでしょうね。
    真中体制で2年見ましたが選手が頑張って魅力ある選手が増えて面白かったですが、自主性すぎてチームとしての魅力が全くなくなってきたのでヤクルトは完全に大雑把野球に転換してしまったのかなと思いますね(高校野球みたいにバントや細かい諦めない野球が好きだったのですけどね)

  2. 久保田 より:

    2回の流れ…。大きすぎました。私は、山田選手をホームに突っ込ませて良いと思いました。阪神を慌てさせるのも一つの采配かと思いますし。とはいえ、雄平選手以下もだらしない…。犠牲フライも打てないとは…。

    山中投手のときは、なんだか打線がつながりませんね…。ツキがないのか、投球のリズムが悪いのか…。

    バレンティン選手は、なぜスタメンじゃなかったのでしょう? 何か情報、ありますか?

  3. FIYS より:

    > kさんへ

    私は小川監督の最終年辺りから野村監督時代から続いていた細かい野球に限界がきたと感じていました。メンバー的に野球巧者という姿ではなくパワフルな打撃で勝ちきるチームに変わらざるを得なかったというところではないでしょうか?

  4. FIYS より:

    > 久保田さんへ

    確かに2回は突っ込ませてもセーフになる確率が50パーセント以上あったかもしれないですね。

    バレンティンは太ももの違和感ということだったと思います。

タイトルとURLをコピーしました