第99回高校野球選手権大会 気になった選手はいましたか?

高校野球

ちょっと早いのだが、第99回高校野球選手権大会の振り返り記事を書きたいと思う。まだ明日準決勝が行われる段階のため、明日以降またスターが誕生する可能性があるのだが、今回はドラフト目線で気になった選手の名前を挙げていきたいと思う。

今大会は東西の大砲、清宮(早稲田実業)と安田(履正社)が不在、投手も目ぼしい投手は地方大会で敗れる事が多く、ドラフトと言う視点で行けば少し寂しい大会になるのかな?とも感じていたのだが、甲子園大会となると面白い選手はボンボンと出てくるものである。ドラフト目線ということであれば、明日準決勝を控えている中村奨成(広陵)と初戦で敗れてしまった増田珠(横浜)が印象に残った。2人とも3拍子揃った素晴らしいプレーヤーなのだが、それだけでない部分、気持ちの強さだったり、野球に貪欲な姿勢だったりを見せ付けてくれた。2人ともドラフト上位候補なのではないだろうか?

まずは今大会で一躍スターダムに駆け上がった中村奨成(広陵)である。元々総合力の高い捕手として注目を集めていたのだが、今大会での驚異的な活躍により、知名度がググッと高まった印象である。ここまで中京大中京、秀岳館、聖光学院、仙台育英と強敵ばかりと戦ってきているのだが、18打数12安打4本塁打と打撃で凄まじい数字を残している。4本のホームランも高校生レベルで言えばトップクラスの投手から放ったホームランであり、評価が出来るものだと思う。
しかし中村のストロングポイントはあくまでも捕手としての総合力の高さにあると思う。強肩とフットワークの良さは歴代の高校生捕手の中でも最上位に位置するのではないか?と感じさせるし、試合中の所作や表情、試合後のインタビューの受け答えを見ていると非常に堂々としており、リーダーシップに優れている事も感じさせてくれる。これだけ何拍子も揃った高校生捕手が出現するのはいつ以来の事だろうか?
おそらく現西武の炭谷銀仁朗(平安)以来だと思うのだが、肩の強さとフットワークでは中村に軍配が上がるのではないだろうか?大当たりしている打撃に関しては、今大会は非常にホームランの数が多く、全体的に打高投低となっているため、少し割り引いて考えたほうが良いかな?と感じているのだが、それにしても素晴らしい捕手である。私の中ではこれまで甲子園で見えてきた捕手の中でも「捕手としての総合力」という意味では№1プレーヤーだと感じている。
現在日本プロ野球界はどの球団も捕手不足に頭を悩ませている。それだけにこの中村の出現はプロ野球界にとっても大きな出来事なのではないだろうか?これまでのドラフト戦略を見直す必要が出てくる球団もあるのではないか?と感じさせるほどに衝撃的なプレーを見せてくれている。一昔前までは伊東(西武)、谷繁(大洋・横浜、中日)、古田(ヤクルト)、城島(ダイエー、マリナーズ、阪神)、矢野(中日、阪神)、阿部(巨人)などチームの中心にどっかりと座る捕手がいたものなのだが、現状では皆無である。中村は今名前を挙げさせてもらった捕手のように超一流の捕手に育つ可能性を秘めた選手のように感じる。おそらくチーム事情的にヤクルトとは縁がないと思うのだが、場合によって1位入札を検討する球団もあるのではないだろうか?

増田珠(横浜)は、初戦で熊本の強豪秀岳館に敗れてしまったのだが、それでも印象に残るプレーを見せてくれた。下級生時からずっと注目を浴びてきた選手なのだが、ここに来て打撃に力強さが加わって来ている。地方大会では強豪校がひしめく神奈川大会で5本塁打と実力を発揮した。甲子園では川端、田浦の好サウスポー2人の前に1安打に抑え込まれてしまったが、それでも積極的なプレーを存分に見せ付けてくれた。打席でも塁上でもセンターの守備でもとにかく積極的にプレーをする姿は、野球が大好きな「野球小僧」の姿そのものである。一球一球を大切にする姿がこの選手の一番の武器なのではないだろうか?野球の全てに対して意識が高いプレーを見せてくれるという意味では現中日の平田良介(大阪桐蔭)の高校時代の姿と重なる。
野球が上手くなりたいという気持ちが伝わってくる選手であるため、プロに入ってからも大いに期待できるのではないだろうか?ちなみにヤクルト目線で考えてもこの増田に関しては、狙っても良い選手のように感じる。センターの守備位置で光り輝くスター性の高い選手であり、神宮球場を所狭しと駆け巡ってくれるのではないだろうか?

今大会に関しては、この2人の存在感が飛び抜けていたように感じる。例年プロ注目の選手というと投手の方が多いのだが、今年に限っては中村と増田がプロからの注目度が高かったのではないだろうか?

投手では川端健斗、田浦文丸(秀岳館)のサウスポー2人はやはり高いレベルでまとまったサウスポーだと感じた。即プロというタイプではないかもしれないが、川端の角度を付けて投げ下ろしてくる力強いボールと田浦の多彩な変化球は印象に残った。伸びシロと言う意味とサイズという意味でプロがどう評価するか?という部分はあるのだが、大学や社会人というレベルであれば即戦力になる可能性も秘めているのではないだろうか?

もう1人挙げるとすると山下輝(木更津総合)を挙げたい。高校では投手をやり始めてまだ1年程という事なのだが、180センチを超える長身から投げ込まれるストレートとスライダーは素晴らしいボールだった。完成度という意味では昨年のエース早川より劣ってしまうと思うのだが、秀岳館の2人に比べ、サイズにも恵まれているため、プロでの評価は高いのではないだろうか?

ドラフトという事を考えたときに今大会に出場した中村、増田に清宮、安田が1位候補に名前が挙がってきそうである。この4人がプロ志望届けを出すのか?どの球団に進むのか楽しみになってくる。「総合力の高い捕手」、「5ツールプレーヤーになり得る野球小僧」、「世代のトップを走り続けるスーパースター」、「松井秀喜の背中を追うパワーヒッター」と個性豊かな4名である。これだけ高校生野手にスター性の高い選手が揃う年も稀である。ドラフトが楽しみになってきた。

皆さんは印象に残った選手はいましたか?

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コメント

  1. まるふく より:

    攻撃が続く限り炎天下のアルプススタンドで吹きっぱなしの応援団から死人が出ないかどうか心配です。

  2. sabo より:

    中村くんの存在感は凄いですね。大人っぽいし。
    将来大物捕手になれそうです。ただ打撃が良い分捕手育成を貫けるか?

    あと今年は延長15回再試合がなくて良かったです

  3. 中国地方のスワローズファン より:

    個人的には清宮の指名は回避して欲しいです。
    その理由はプロでは一塁しか守れそうに無い上に走塁と守備に不安が大きい点です。
    中村はその点、走塁と守備に問題は無いですし、捕手としての能力、リーダーシップも文句無しです。
    これだけのパフォーマンスが出来る高卒捕手は今後も滅多に出て来ないと思います。
    中村、安田、増田なら誰を指名しても悔いは無いと思います。

    清宮は確かに打撃は素晴らしいと思いますが、上記の理由とヤクルトフロントが人気者を獲得すれば観客動員が上がると思い込んでいる点が違うかなと感じています。

    今やスーパースターになった山田ですが、ドラフト指名当時から今のような人気を得ていた訳では無いですからね。
    スター選手は育てて作る物だと思っています。活躍すれば人気は自然と出ます。
    誰かの人気に縋るというのは違うと思います。

    話が脱線してしまいましたが、今年のドラフトは中村、安田、増田のいずれかをドラフト指名して欲しいです。

  4. FIYS より:

    > まるふくさんへ

    まるふくさんらしい視点ですね。大切な視点ですよね。

  5. FIYS より:

    > saboさんへ

    中村君に関しては、打撃以上に捕手としての総合力が素晴らしいので、アクシデントがない限り捕手で育てられると思いますよ。

  6. FIYS より:

    > 中国地方のスワローズファンさんへ

    清宮に関しては、期待値が高い分評価も割れますかね?私は魅力的な選手であると感じています。

    中村はスーパー捕手ですね。ドラフトが楽しみになりますね。

  7. trefoglinefan より:

     中村は明らかにナンバー・ワンでしょう。打つ方は勿論のこと、動きの機敏さを見ても身体能力は相当なものです。もしそうした中村をしっかり捕手として下積みさせれば、谷繁のような息の長い捕手になっていくと思います。打てるからと西武の森のようにしてはいけません。打てる捕手を育てることは、チーム力を高める最高の方法なのですから。
     清宮は案外走塁は良いのではないでしょうか。ただ身体能力という面では、とても中村には敵わないと思います。清宮と安田はU-18で見てみたいと思います。
     増田まではドラフト1位候補でしょうか。ただドラフト中、下位でいかに上手に指名するか、ここが大事になってくると思います。私は当面最下位になっても良いくらいに割り切って、高卒野手を最低2人、できれば3人くらい指名して欲しいと思います。
     私が気になったのは、東海大菅生の小玉。投手もやりますが、野手としての打力はやはり魅力的。盛岡大付の比嘉とともに、三塁手としての方が大成すると思います。
     外野手としては前橋育英の丸山も目につきましたが、残念ながら進学希望のようです。体が小さいのが難点でしょうか。ですが、いつプロ志望に変わるかわかりませんから、頭に入れておいて欲しい選手です。松商学園の井領の走塁も良かったと思います。2回戦で負けなければ盗塁数で丸山と良い勝負ができたのではないでしょうか。
     ここ最近の高校生は特に野手の進化が著しいです。今の大学4年生とは雲泥の差がありますので、そこのところを是非勘案して、良い指名につなげて欲しいと思います。

  8. FIYS より:

    > trefoglinefanさんへ

    中村奨成のような高校生捕手はちょっと記憶にないですよね。1位入札競合もあるレベルの選手かもしれないですね。

    私も清宮の走塁は悪くないと思っています。プロ志望届を出すのであれば狙っても良い選手だと思っています。

    後trefoglinefanさんが挙げてくださった選手の中では丸山が気になりましたね。やはり身体能力の高い選手は魅力的です。

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