私はショート廣岡で腹を括ることとした

今年のキャンプ、オープン戦最大の注目ポイントとして「若手の台頭」という項目を挙げていたのだが、ここまで開幕1軍、開幕レギュラーを狙える位置に居続けているのが、高卒3年目の廣岡である。まだ打撃でも守備でもミスが多く、プレーの精度の高さに課題があるのだが、首脳陣はここまで一貫してショートのポジションで起用し続けている。先週のオープン戦では自慢の打撃でアピールし、首脳陣の起用に応えてみせた。飛距離の出る打撃は本当に魅力である。まだまだ確率的には低いのだが、1年目、2年目のシーズンよりも対応力は上がっている。四球も選べるようになっているし、チャンスで結果を残す事も出来始めている。そして何より送りバントやスクイズというプレーもこのオープン戦では指示され、ある程度ではあるが、こなす事が出来ている。
本来のタイプはあくまでもバッティングで勝負するタイプの選手であることは間違いないのだが、現段階で1軍でプレーするとすれば、場面に応じて送りバントなどのプレーが求められる事があるはずである。その辺りのサインがオープン戦で出されているということは、首脳陣も廣岡が開幕時点で1軍でプレーする事を念頭に置いているはずである。あくまでも「お試し起用」ということであれば、廣岡の特徴であるバッティングを見るために自由に打たせるのではないだろうか?

ハードなキャンプを送りながら、ここまで良く喰らい付き、結果を残していると思う。私は正直1軍でのショートでの起用を考えるのはまだ早いのではないか?と考えていたのだが、小川監督や宮本ヘッドコーチがここまで廣岡を起用し続けるということは、開幕時点ではスタメンショートで廣岡を起用することをある程度固めたのではないか?と推測している。廣岡の持っているポテンシャルを引き出すために思い切って抜擢すると言う事なのだろう。現時点での廣岡のプレーを見ていると打撃でも守備でも粗さが目立ち、おそらく開幕してからも廣岡のミスで落としてしまうゲームは出てきてしまうと思う。それでも将来を見据えながら、ある程度1軍レベルでやっていけると首脳陣が判断しての起用だとすれば、私も我慢して廣岡のプレーを見守っていきたいと思う。宮本ヘッドコーチがショートを離れてからヤクルトにはショートの座を守り通した選手が現われていない。荒木や西浦はルーキーイヤーの開幕戦からスタメンショートで起用されたが、この時は私の思いとは裏腹に早い段階で髙田監督、小川監督が開幕スタメンを公表していたのが気になっていた。無理矢理ショートの後釜にルーキーを起用して、上手くいったら儲けものといった意図が透けて見えるような気がしたことを覚えている。
今シーズンの廣岡に関しては、まだ開幕スタメン確約といった報道は目にしていないと思うのだが、首脳陣が我慢して使うという事であれば、私も我慢して見続けていきたいと思う。おそらくあまりにプレーの精度が低く、1軍レベルにないと見ればそこで我慢し続ける事も限界に達すると思うのだが、その辺りの判断は首脳陣である。私は、ただただヤクルトに久しぶりに現れた華のある大型ショートの成長を楽しみにしようと思っている。背番号「36」が似合うプレーヤーに成長してもらいたい。

投手では寺島が先日の広島戦で先発をしたが、4回で8安打を浴び、4失点と結果を残す事が出来なかった。昨年の今頃怪我で離脱していた事を考えれば、この結果だけを見て、判断したくはないのだが、塁上にランナーを溜めてしまう苦しい投球に終始している印象である。寺島は投手としての総合力が高く、頭を使いながらピッチングを組み立てられる大人の投手だという印象が高校時代の投球から感じる事が出来たのだが、このスタイルが見るものによって評価を二分していた印象がある。私は、高校生投手としては非常に完成度が高く、1つ1つのボールの質を高めていけば「伸びシロは無限大」ではないか?と感じていた。しかし一方では、すでに完成されており、あまり伸びシロがないのではないか?という評価も目にしていた記憶がある。現状の寺島は後者の意見の方に近いのかもしれない。大怪我をしないように状況を考えて投げているようには見えるのだが、プロの1軍レベルで高校時と同じような投球をしていては、中々通用しないと言う事を思い知っているのではないだろうか?今の投球を見ていると「完成度が高い」という表記よりは「ベテラン風」という表記の方が合っているのかもしれない。マウンドでの佇まい含めて堂々としており、投手らしい投手だなと感じるのだが、ボールの勢いという意味ではもう少し若さが欲しいと感じる事がある。今のままでは相手打者に怖さや嫌らしさを感じさせられない投手になってしまうかもしれない。今シーズンはもう1段階上のボールを投げられるように精進してもらいたい。私自身はもっとやれる投手だと信じている。

P.S 私は88年~の記憶しかないため、池山はすでに主力として活躍していたのですが、レギュラーを奪取する前の池山と今の廣岡の雰囲気は似ているのでしょうか?おそらく身体のバネと強肩を活かした守備という部分では池山の方が上だったのかな?と想像するのですが…バッティングの飛距離では廣岡も負けていませんよね。

にほんブログ村 野球ブログ 東京ヤクルトスワローズへ
にほんブログ村








コメント

  1. パイン より:

    そうですね。広岡との比較で池山を思い出してみましょうか。

    当時、まだ強打者のイメージはあまりなかったのではないでしょうか。
    この点では広岡の方が評価が高いですね。

    同年代に投の水野、打の藤王という怪物級がおり、創価の小野、中京の野中、前橋工の渡辺という超高校級ドラ1投手がいるなかで、2位でも重複指名を受けたというのは、素材の高さを評価されてのものでしょう。

    高校時代は広角に打つ好打者だったと思います。
    甲子園ではバットを短く持ったり、バントもしていた記憶があります。
    長距離砲に目覚めたのは、日本代表でPLの中村監督の指導を受け4番に座ってからと言われますが、やはり評価されたのは大型ながら素軽いフットワークとスピード、そして強肩だったでしょう。

    一年目は、ほぼ三塁手でショートデビューは二年目からだと思います。
    戸田でも三塁手で、同期の桜井あるいは栗山との三遊間、捕手橋上というルーキーばかりの布陣を見た記憶があります。

    ショートにコンバートした時点で、水谷の後釜と考えられたのではないでしょうか。
    守備の名手に取って代わるには、それだけの守備力が求められるわけで、その点が今の広岡とは違うところでしょう。

    のちにブンブン丸と呼ばれますが、この頃本当にブンブン振っていたのは広沢ですよ。
    線が細い池山は、振り遅れたようにライトの方へチョコンと打っていく打球が多かったように思います。

    スイングが鋭くなるに従い、リストの強さを活かしてライトオーバーを連発し、ミスターツーベースと呼ばれます。
    更にセンター方向に飛距離を伸ばし、オーバーフェンスを続けて、ミスターバックスクリーンと呼ばれました。
    3年目の時点では、広岡のような一発の雰囲気はありませんでしたよ。
    はっきり言って打撃は期待されていなかったと思いますね。

    比較すると正反対かも知れません。
    水谷、池山、宮本の歴代ショートは守備に打撃が追いついて、長くポジションを守りました。
    広岡はまったく新しいタイプかも知れません。

  2. JEF九郎 より:

    FIYSさん、いつも鋭い考察とヤクルト愛に満ちた記事をありがとうございます。楽しく拝見させていただいております。
    さて、廣岡ですが、非常に楽しみな存在ですね。私も起用するなら腹を括って、プラスの要素に着目して応援していきたいと思います。

    >パインさん
    若き日の池山の情報ありがとうございます。
    私も89年位からの記憶しかない為、非常に貴重な情報をいただけた事に感謝申し上げます。

  3. k より:

    池山と廣岡ですがチームが低迷してる時に出てくる背景は似てますよね(背番号同じで背格好も似てますから比較されますよね)。
    池山が試合に出れるようになったのは水谷がレギュラーショートでしたが30才過ぎて徐々に力が落ちていって池山にチャンスが巡ってきたと私は当時感じました、また同時期に広沢も獲得してチームの中心とし二人を育てようとする雰囲気は伝わってきてましたね(廣岡も大引の衰えでチャンス巡ってきましたしね)。
    当時と比べると個人的には肩の強さは同じくらいで守備は池山の方が少し上かなと見てます、打撃は入団三年目では同等かなと思えますかね。

  4. FIYS より:

    > パインさんへ

    非常に分かりやすい解説ありがとうございます。甲子園でバットを短く持ったり、バントをしたりしていたのですね。そして守備はそれなりに評価されていたのですね。そう考えると池山は10数年に1人の逸材プレーヤーだったのかもしれませんね。池山の「ミスター2ベース」時代は知りませんでした。廣岡はどこまで近付けますかね。

  5. FIYS より:

    > JEF九朗さんへ

    励みになるコメントありがとうございます。廣岡に関しては、ファンも我慢して見守る必要がありそうですよね。

  6. FIYS より:

    > kさんへ

    チームの背景的な部分もだぶる感じなのですね。廣岡は守備の安定感に欠けるので、相当我慢して見守る必要がありそうですが、まずは打撃に期待してみたいですね。

  7. ななし より:

    ショートというポジションは特別で、普通の上手いショートと言われる選手でも10失策はするものです(本当の名手と呼ばれる人はもっと少ないですがね)
    ですから今年の廣岡に関しては来年以降に改善されるか、打撃で取り返すことができれば極端に言えば20失策は自分も覚悟します
    ファンも首脳陣もそれぐらい腹を括ってほしいですね

  8. FIYS より:

    > ななしさんへ

    そうですよね。今では守備が上手くなっている巨人の坂本も出てきた頃の守備はまだまだ粗かったですからね。首脳陣もファンも廣岡に関しては我慢しながら見守る事が求められそうですね。

タイトルとURLをコピーしました