普通です

ヤクルト5-0中日

私は見たことがなかったのだが、故高木守道氏が中日ドラゴンズを特集する番組で、素人目には「ファインプレー」に映るプレーでも「普通です」の札を挙げ続けたことが話題になっていた時期があったとのことである。荒木や井端の全盛期のプレーでも「普通です」と言うことが多かったようである。私自身は見たことがないため、ニュアンスまでは分からないのだが、おそらく荒木や井端だったら、プロ野球選手だったら当たり前に出来るプレーというニュアンスが含まれた中での「普通です」なのではないだろうか?
私の中での今日の小川のピッチングは「普通です」である。99球での完封勝利という部分については、エースらしい素晴らしい数字だと感じるが、この数字はあくまでも相手あってのことである。投球内容自体は、広いバンテリンドームで現状の中日相手と言うことを考えれば、これくらいやってもらわなければ困るくらいの投手である。小川は現在のヤクルトのエースである。やはり今日の投球内容は小川にとっての「普通」だと感じる。

小川は前回のDeNA戦で3回持たずに6失点と打ち込まれ、一旦登録を抹消されていた。打たれ出すと止まらなくなってしまうゲームがここ数年目立っているのだが、今シーズンも同じように打ち込まれてしまうゲームがいくつかあった。NPBの進化に対応できていないのでは?ということも以前の記事では書かせてもらったのだが、今日のゲームでは何か新しいことを実践してきたという印象はなく、小川の生命線であるストレートの質を追い求めて、今日の登板にこぎつけたという印象が残った。
中日打線はおそらくチーム単位で早いカウントから甘めのボールは積極的にスイングしていくよう指示が出ていたのではないだろか?初回からストライクゾーンに入ってきたボールに対してかなり積極的に打ちに来ている様子が目立った。結果的にはこの中日打線の積極的な姿勢が小川に味方した。もちろん積極的に打ちに来ても簡単には捉えられないだけの質のいいボールを小川が投げ込んでいたというのが一番の要因なのだが、9回で球数を99球に抑え、無四球で完封勝利を収めたことは、中日打線の作戦との絡みもあったと感じる。
それでも前回の登板に比べれば明らかにストレートで打者を押し込むことが出来ており、常に強気に投げることが出来ていた。球種も豊富であり、元来引き出しの多い投手なのだが、今日はストレート、シュート、カットボールと言ったファストボール系のボールを多めに用いて中日打線と対峙している姿が目立った。これが元々の小川の姿なのだと思う。ストレートの走りが良ければ、小川のペースで試合を組み立てることが出来る。しかし今日のゲームはピッチャーズパークであるバンテリンドームでのゲームであり、相手打線の状況や試合展開など多く要素が絡まった中での完封勝利という見方をした方が賢明だと思っている。次回以降の投球が大切になってきそうである。

打線は初回に山田のタイムリー2ベースで先制点を奪えたことが大きかった。ロースコアになることが多い、バンテリンドームでの中日戦では先制点が持つ意味合いが他のゲームに比べて大きくなる部分がある。今日のゲームでも5回終了地点まではこのまま1-0というスコアで推移するのだが、初回に先制点を奪えてるのと奪えていないのとでは、その後の試合展開に与える影響は意外と大きかったように感じる。小川が危なげない投球を披露する中で、6回にはサンタナにタイムリー、7回には山田、村上、オスナ、青木の4連打で3点を追加し、試合を決めてみせた。試合の主導権を常に握った中で、良い所で追加点を奪うことが出来た。

P.S 今日のゲームの記事は「普通です」というタイトルを付けたのだが、前日のゲームで金久保が緊急降板となり、リリーフ陣を数多く使わざるを得なかった翌日のゲームでの小川の完封はチームにとっては非常に大きい出来事ですよね。

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コメント

  1. 超匿名 より:

     小川の場合はこの試合のように、投手として最高に近い結果も出せることはわかっていました。相手もあるので、もちろん毎試合こうはいかないでしょうが、近年はエースと呼ぶには出来不出来の差が激しく、私の中では現状の彼はエースと言うよりチームで一番良い投手という位置づけです。多くの人にとってはチーム一の投手=エースなのかもしれませんが、斎藤雅樹や菅野という完投完封当たり前という大エースまでいかなくても、もう少し安定感が欲しいなと思います。FIYSさんが言われる様に、次回以降どんな結果が出るか注目ですね。

  2. sabo より:

    小川は良くも悪くも小川らしいと感じました
    序盤はちょっと怪しかったですが尻上がりに調子を上げられたのも
    ボール先行は8人のみでストライク先行で無四球できたのも
    フライアウト10個というのも
    小川らしいですね

    マダックス(100球未満完封)は17年4月14日の金子投手以来の快挙とのことを聞きそれほど希少な記録なのかと驚きました
    今回と前回のマダックスの間にノーヒッターが4人(+ポストシーズン菅野)も出てきているのですからね
    まあ最近のノーヒッターが多作だったという気もしますが……

    ヤクルトだと山中もマダックス達成したような記憶があります
    あとは石川も達成しているのかな

    メジャーだと中4日の100球目安というのがあるのでマダックスの価値は極めて大きいのでしょう。日本だとそこまで拘る記録でもないように思いますが、リリーフ陣を休められたのは大きいですね

    山田の打点製造機っぷりは頼もしいですね
    野球は先制が有利ですからね
    山田と村上の得点圏打率がリーグ5位6位だろうです

    なお1位から4位は阪神が独占w

  3. FIYS より:

    超匿名さんへ

    そうですね。やはり小川は次回の登板でどういった結果を残すか?という部分に注目ですよね。

  4. FIYS より:

    saboさんへ

    100球以内の完封を日本でも「マダックス」と呼ぶようになったのはいつからですかね?

    今日は楽天の早川がマダックスですね。

  5. sabo より:

    早川もマダックスですか。マダックスブームですね(笑)

    これまで日本ではマダックスという言葉は使われてなかったですよね

    どうもメジャーで田中マー君(17年)と菊池雄星(19年)がマダックスを達成したあたりからマダックスという言葉が輸入されたみたいですね

    金子千尋の時はネット上でマダックスと呼ぶ声はあっても新聞等では呼ばれなかったようで
    NPBで大々的に使われたのは小川が初になるみたいです

  6. FIYS より:

    saboさんへ

    田中将大と菊池雄星は、メジャーでマダックスを経験済みなんですね。その辺りから日本でも使われるようになってきたのですかね?

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