エースの器 奥川恭伸! 青柳キラー 村上宗隆! 満を持しての先発 宮本丈!

ヤクルト12-0阪神

リーグ優勝を狙うにはカード勝ち越しが必須な状況だけに12-0とは言え、まだ1つ勝っただけということは忘れてはならない。しかし今日のゲームのみを切り取れば、見事な大勝と呼べるのではないだろうか?巨人との首位攻防戦を劇的な形で2勝1分けで終えて、優勝に向けて突っ走りたい阪神の勢いをしっかり止めたのだから。

まずは奥川である。今日のゲームは簡単なシチュエーションのゲームではなかったはずである。ヤクルトにとっては優勝争いに踏みとどまるために絶対に落としたくないゲームだったし、上記の通り阪神はチーム全体に勢いが付いている状況だった。いくら奥川が中10日以上空けての登板を続け、他の投手よりも余裕を持った起用法になっているとはいえ、1軍でフルシーズン戦い抜くのは初めての経験であり、疲れも溜まっているはずである。ピッチャーズパーク甲子園球場でのゲームとは言え、不安材料が少ない訳ではなかった。そんな中で完璧な投球を披露するのだから恐れ入ってしまう。「エースの器」というものがあるのであれば、奥川は間違いなくその器を持った投手である。
初回から150キロを超えるストレートに多彩な変化球を交えて、阪神打線に付け入る隙を与えなかった。華麗なフィールディング含めて、投手としての総合力の高さを今日のゲームでも見せ付けてくれた。ゾーンの中で勝負出来るため、球数が増えないことが奥川の魅力の1つなのだが、その中でも追い込んだらボール球を振らせて三振が奪えるのも奥川の凄さである。1年目のシーズン最終戦や今シーズンのオープン戦、開幕当初はまだまだ1軍レベルで通用するだけのコンディションが戻ってきていないと感じていたのだが、コンディションが整うに連れ、自分の投球スタイルがプロの世界で通用することを結果で示してくれている。7回で83球を投げ、被安打2無四球の8奪三振での無失点というスタッツに奥川の凄みが表れている。おそらく今後も甲子園での阪神戦であれば奥川は自信を持って投げることが出来ると思うし、阪神打線は奥川に対して嫌な印象を植え付けられたはずである。
チームが崖っぷちに追い込まれた中でこんな投球を目の当たりにしてしまえば、興奮しないわけがない。素晴らしい。

打線は対青柳用に大幅にオーダーをいじってきた。1番セカンド宮本、2番センター坂口、3番レフト青木、4番サード村上、5番キャッチャー中村、6番ファーストオスナ、7番ショート元山、8番ライトサンタナ、9番ピッチャー奥川と組んできた。日曜日の広島戦後の高津監督のコメントの中で今日のゲームに向けて何かしら仕掛けてきそうな雰囲気があったため、個人的にもおそらく宮本を先発で起用してくると予想してはいたのだが、山田を代えて起用してくるところまでは予想できなかった。サードで起用し、村上をファーストに回すか、ライトで起用するものだと思っていたのだが、高津監督は、1番セカンドで起用してきた。相当思い切った起用法である。また宮本に限らず、塩見に代えて坂口、5番中村、6番オスナ、8番サンタナという並びも思い切った起用法であった。そしてこの起用法に各選手が応えてみせた。宮本は、5打数3安打1四球とトップバッターの役割を果たし、坂口も5打数2安打3得点と役割を果たしてくれた。打順が下がったオスナ、サンタナもそれぞれ猛打賞とホームランを含む2安打と気を吐いてみせた。高津監督をはじめとする首脳陣の采配に選手がしっかり応える形となった。
宮本に関しては、川端の陰に隠れているものの少ないチャンスでしっかり結果を出してくれていた。昨シーズンも代打で良い仕事をしてくれた印象があるのだが、プロに入ってから少しずつ打撃力を向上させてきた努力家である。アマチュア時代はどちらかと言うとショートの守備が評価されていた選手である、打撃は今とは全く違うノーステップ打法を採用しており、プロのボールにどれだけ対応できるか不安視されていた。大学4年次には腰痛を発症してしまい、評価されていた守備という部分でも評価を落としてしまったのだが、それでもプロに入ってから自分の生きる道を必死で模索してきた跡が伺える。高津監督が満を持して先発起用してきたゲームでしっかり結果を残したのだから大いに評価したいと思う。
そして最後は村上である。チーム全体として阪神先発の青柳を苦手としており、今シーズンも抑え込まれていたのだが、その中で青柳を得意としているのが村上である。今日のゲームでも3回に貴重な3ランホームランを放ってみせた。低めのシンカーを完璧に捉えた一発は「これぞ4番」の大仕事だった。

これ程投打、首脳陣と選手が噛み合っての大勝は年に1,2度あるかないかのゲームである。しかし冒頭にも書いた通り優勝争いに踏みとどまるためにはこのカードで勝ち越す必要があると感じる。まだ1つ勝っただけである。明日は雨予報ということで天候も気になるのだが、今日の勝利で終わってはいけないのである。明日、明後日とゲームは続いていく。ヤクルトはまだ3位である。貪欲に勝利を掴みに行かなければならない。

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コメント

  1. JEF九郎 より:

    塩見⇆坂口、オスナ⇆川端。
    ここまでは私も、坂口は守備の懸念、オスナは勝負強さの懸念がありながらも考えていましたが、山田が今年はキャプテンということもあり、意外に山田⇆宮本は考えていませんでした。

    その御両人が大活躍ということで、見事賭けに成功した高津監督、天晴れな采配だったと思います。


    また、奥川選手は、昨年見た時は時間掛かるかなぁっと思っていましたが、実際は想像を遥かに上回る成長力?!修正力?!でした。この手のタイプは実践で負荷掛けていった方がグングン伸びると思うので、これから痺れる場面でバシバシ起用していって欲しいと思います。


    第一関門はクリアーしましたが、FIYSさんの仰る通り今回の3連戦は、優勝に向けては勝ち越し必至です。小川の修正力と今日の打線に注目して引き続き応燕したいと思います。

    ※ 川端もタイムリー打って着々と真中さんの記録追いかけてますね。よすよす。

  2. sabo より:

    おっしゃる通りまだ1つ勝っただけでありますね
    あくまで目標はカード勝ち越し
    もう1つ勝って初めて「大きな1勝」と呼べると思います

    とはいえ大勝は気持ちいものですね
    選手たちも良いイメージで今日以降の試合に臨めるのでは

    まず奥川はホントに完璧でしたね
    ストライクゾーンからボールへ変化するカットやスライダーの軌道はエグい変化でした
    中10日とはいえ調子が悪い日が無いのも凄い

    一方、青柳は今年の青柳にしては球威も制球もちょっと悪かったかな
    とはいえ苦手にしてきたのは間違いない青柳をそこで徹底的にノックアウトできたのはスタメン起用に抜擢された選手たちとコーチ、スコアラーの力ですね
    宮本丈坂口の1.2番コンビは結果を出しただけでなく球数稼いだりやケースバッティングなど(代打の時は違った)ベンチの作戦にしっかり応えて内容も良かったと思います

    youtubeのスワローズ公式チャンネルでこの日のミーティングの様子がアップロードされていましたが高津監督の素晴らしい檄でした
    ちょっと感動しました
    5分ほどの動画ですがもしよければ見てみてください

  3. FIYS より:

    JEF九郎さんへ

    高津監督の采配が見事に当たりましたね。

    奥川は元々の能力値が高かったですからね。しっかりコンディションが整えば、このくらいの投球は出来るのだと思います。

  4. FIYS より:

    saboさんへ

    大勝と言っても1勝ですからね。

    ミーティングの様子、見てみたいと思います。貴重な情報ありがとうございます。

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