井端が神になった日(WBC生観戦)

2013WBC

WBCについては色々と否定的なことを書いてきたのだが、今回も友達がチケットを取ったということで前回大会に続いて生観戦することになった。
4500円のC席での観戦だったのだが、雰囲気を体感するには十分である。テレビで見るのに比べて細かい部分が分からないのだが、非常に面白いゲームだった。思ったことをツラツラと書いていきたい。

まず試合前である。私は日本対オランダを見たかったので相手が台湾で残念だという気持ちを持っていた。台湾はホームの地の利を活かして勝ち上がってきたチームであり、日本が負ける要素はほとんどないと考えていた。まあ負けるとしたら0-1とか1-2のゲームかなと友達と話していた。
台湾が相手で一つ楽しみだったのは、王建民のピッチングが見れることだった。何と言っても元ヤンキースのエースである。全盛期は過ぎていたとしても、おそらく王建民のピッチングを見れるのは最初で最後である。

そんなこんなで東京ドームに付くとやはり普段のペナントレースとは全く雰囲気が違っていた。そして席に着くと周りのファンの方たちの熱気が伝わってきた。ちなみに隣の席はロッテのレプリカユニフォームを着たイケメンのお兄さんであった。この隣の青年が中々野球を知っていておそらく職場の先輩と思われる方との会話が非常に的を射ていて面白かった。私は中日ファンの友人と野球談議に花を咲かせていた。

先発メンバーは報道されていた通り、王建民対策として左バッターを5人使ってきた。まあこれに関しては機能しなかったのだが…それにしても角中、井端の1,2番というのは味わい深い。WBCが始まるまではこの1,2番コンビは考えていなかった。日本代表の1,2番が角中、井端。個人的には好きな組み合わせではある(笑)。

さてここからは読みづらいかもしれないが、時系列に書いていきたい。

初回井端がヒットで出るといきなり盗塁を試みる。球場で見ていた限りではセーフに感じたのだが、判定はアウト。これはテレビで見ていないので分からないのだが、王建民のクイックはあまり早くないのは分かった。そして続く内川がヒットで出るとまたしても盗塁。こちらは見事に成功する。この回得点は取れなかったが、いきなり台湾にプレッシャーをかけることに成功したと感じた。

その裏の能見のピッチングは完璧に見えた。簡単に失点することはないと感じた。

3回の攻撃、稲葉がヒットで出ると鳥谷が初球をバント。この攻撃には大いに疑問が残った。初回にせっかく台湾バッテリーに揺さぶりをかけたのにいきなりバントすることはなかったのではないだろうか?もう少し相手を見下ろして野球をしても良いのではと感じていた。結局この回も無得点。

するとその裏能見が崩れる。先頭バッターに2ベースを打たれるとコントロールが乱れ、押し出し四球を含む3つの四死球で1点を先制されてしまう。初回の能見からは想像できない崩れ方だった。これが国際試合なのだろうか。それでも2番手摂津はピンチを何とか凌いでくれた。

4回の攻撃は惜しかった。2アウトから糸井が2ベース、坂本が内野安打で2アウト1,3塁。続く中田の時に坂本が完璧なスタートをきるのだが、中田はショートゴロ。これも球場で見ていたので分からない部分もあるのだが、坂本のスタートは完全に盗んでいた。しかし中田の当たりはそのベースカバーに入ろうとしたショートに阻まれたように感じた。本当はどうだったのか分からないが、惜しい攻撃だった。

5回は3回に続いて先頭の稲葉がヒットで出る。ここで鳥谷はまたしても送りバント。確かここはエンドランも仕掛けたと思うのだが、結局はバントかあ。という印象。ここもチャンスは広がるのだが、結局得点は奪えなかった。

するとその裏摂津が掴まり1点を追加されてしまう。正直予想外の失点だった。能見にしろ摂津にしろこんなに簡単に失点してしまうとは…台湾の野手陣は思い切りの良いスイングをしており、投手陣のプレッシャーは想像以上なのだろうか。

そして6回も日本打線は抑え込まれ、結局王建民から得点を奪うことは出来なかった。王の調子はどうだったのだろうか?報道されていた通り、ハードシンカーを中心に打たせて取るピッチングだった。あまり日本にはいないタイプの投手なのだろう。緩急を使うわけではなく、同じくらいの球速のボールを微妙に動かして凡打の山を築くタイプなのだろう。それにしてもここまで抑え込まれるとは思わなかった。友人は飲食物を買うために席を離れた際にテレビで王のピッチングを見たそうだが、そんなにキレの良いボールを投げているようには思えなかったと言っていた。どうだったのだろう?

6回裏からは田中をマウンドに送ってきた。この時点での印象としては、格が違うといった感じで本調子に戻っていると感じたのだが…

日本の反撃は8回、井端、内川の連打でチャンスを作ると阿部のタイムリーで1点を返す。正直ここで勝負ありだと思った。しかしである、なんと続く糸井は送りバント、この采配も私は反対だった。しかもバントは失敗に終わってしまう。慌ててセカンドランナーの阿部に代走を送るのだが、後手後手の采配である。その前に内川に代走本多でも良かったのでは?というのが隣のイケメンお兄さんの見解だった。(私も同感である。)
それでも坂本がしぶとく三遊間を抜き同点に追いつく。

しかしその裏これまで完璧だった田中が、突如3連打を浴び、勝ち越されてしまう。正直何が起こったか分からなかった。それほど見事に台湾打線が田中を捉えていた。台湾恐るべしといった印象である。それでもその後のピンチを山口、澤村のリレーでなんとかしのぎ切る。終わってみれば、ここを凌いだのは大きかった。

9回は、1アウトから鳥谷が四球で出塁するが長野が倒れて2アウト。絶体絶命である。私は、ここで代打松田で良いのでは?と考えたのだが、ベンチがとった作戦はそのまま井端を打席に送る。そして鳥谷に盗塁のサインを送る。この采配には拍手である。そして盗塁を決めた鳥谷も素晴らしかった。こうなるとここまで好調の井端に期待がかかる。追い込まれながらも井端はセンター前にタイムリーを放ち、同点!球場の熱気が物凄かった。井端が神になった瞬間だった。

その裏牧田は、送りバントを見事なダッシュとダイビングキャッチでアウトにするスーパープレーを見せるなど得点を許さない。

そして10回は、先頭の相川がヒットで出ると糸井の四球と坂本のバントで1アウト2,3塁とすると中田の犠牲フライで勝ち越す。一瞬ホームランかと思ったがもう一伸びが足りなかった。それでも見事なバッティングだった。

最後はこのまま牧田で締めるのでは?と思っていたのだが、日本ベンチはここで杉内をマウンドに上げる。予想外だったが、本調子からは程遠い杉内が粘る台湾の攻撃を何とか振り切り、4-3で勝利した。

名勝負だった。特に井端である。この井端が今の代表に必要な選手だとは感じていたが、ここまでの活躍は予想できなかった。ブラジル戦のタイムリーから始まった井端の快進撃はどこまで続くのだろうか?昨日の9回2アウトからのタイムリーは本当に神憑っていた。あの時間東京ドームの中では間違いなく井端は神になっていた。(冗談ではなく本当に。)これが生観戦の魅力なのだろう。4500円でこの試合を見れるのなら安いものである。試合が終わった時間は12時目前だったが、ファンの「井端コール」は鳴りやまなかった。

長くなってしまったが、言いたいことは、野球というスポーツは面白いスポーツである。ということである。台湾は今日キューバにコールド負けしてしまい、大会を去ることになったのだが、素晴らしいチームだった。試合後にマウンドを囲んで並びファンに向かって一礼した際にファンから大きな拍手が送られていた。グッドルーザーである。両チームに拍手を送ろう。

にほんブログ村 野球ブログ 東京ヤクルトスワローズへ
にほんブログ村







コメント

  1. パイン より:

    観戦しがいのあるゲームでしたね。

    でも、テレビの前では、最後まで席を立てないお客さんに「大丈夫か~」という思いで観ていました(笑)。

    1回の盗塁のアウトセーフは合わせ技のように見えましたね。
    最初がセーフだったら展開が違っていたかも。

    日本の次の塁を狙う積極性と、台湾の迷いのないスイングが印象的でしたね。

    王建民を立てて前半から攻勢をかけた台湾と、粘って終盤勝負に持ち込んだ日本の差はわずかでしたね。
    王建民は打ちづらい球質のボールを万遍なく放り込んでくる感じで、見たことない投手でした。

    田中のときは相川が外でかわそうとし、田中がそれに乗れなかったように見えました。
    こういう試合では、バッテリー間の小さなミスも怖いですね。

  2. FIYS より:

    > パインさんへ

    ホテルにチェックインした時間が12時半頃でしたからね(笑)。ホテルのフロントの方に「勝って良かったですね。」と声をかけられましたよ。

    1回の盗塁はやはり微妙な判定だったのですね。

    王建民は、アテネ五輪の時にテレビで見た時より球速が落ち、威圧感も感じなかったのですが…大崩れしない良いピッチャーですね。メジャーであれだけ勝ち星を挙げれた理由が少し分かったような気がしました。

    田中が打たれたのは、キャッチャーが相川に変わった直後だったのでやはりそういう見方をする方は多いだろうな。と感じていました。
    本当に少しのミスも怖いですね。

  3. Seishiro より:

    現地で観られてたんですね!
    私はテレビ観戦でしたが、本当に凄いゲームでした…
    9回二死からの鳥谷の盗塁は、ピッチャーの球も直球だったし、捕手の送球も悪くなかったので、「終わった」と思いましたよ(^^;

    試合後の台湾ナインも、清々しかったですね。
    両チームに拍手です。

  4. FIYS より:

    > Seishiroさんへ

    コメントありがとうございます。現地観戦できて良かったです。非常に見応えのあるゲームでした。

    鳥谷の盗塁は球場で見ているとセーフかアウトか全く分からなかったのですが、やはり微妙なタイミングだったのですね。それでもあの場面は盗塁することが最も得点の確率が高くなる場面だっただけに盗塁を試みたこと自体を評価したいですね。

    台湾も良いチームでしたね。

タイトルとURLをコピーしました