佐久長聖高校駅伝部

陸上競技


先日26年連続で長野県高校駅伝大会を制し、都大路への切符を手に入れた佐久長聖高校の駅伝部についてこれまでのランナーを振り返ってみたいと思う。
私が高校駅伝に興味を持ったのは、80年代後半~90年辺りのことだったと記憶している(しっかり覚えているのは90年代に入ってからかな。)。その頃の長野県と言えば、上伊那農業が強く、その後東海大三も台頭してきたという時代だった。そんな時代に突如として表れたのが佐久長聖高校だった。長距離部門に力を入れ始めるとすぐに結果を出し始め、98年に長野県大会を制すと、初めての都大路でいきなり4位となり、そこから現在に至るまで常に高いレベルの選手を輩出し続け、全国トップクラスの実力を維持している。
都道府県対抗形式で行われているテレビ中継があるスポーツ大会と言えば、高校野球、高校サッカー、高校ラグビー、高校バレー辺りが有名だと思うのだが、高校駅伝、都道府県対抗駅伝についても毎年NHKが中継しているため、人気のある競技となっている。もしかすると現在では、高校野球の次に駅伝が人気競技となっているのかもしれない。高校野球や高校サッカーで長野県はそれ程結果を残せずにいたこともあってか、佐久長聖高校の駅伝部の活躍に長野県民が大いに注目したという背景もあり、私自身も佐久長聖高校で活躍する選手については、常に注目してきたように感じている。これまでにこのブログでも佐藤清治、上野裕一郎、大迫傑について触れてきている。しかし25年という時間が経過する中で本当に多くの名ランナーを輩出し続けているため、他のランナーについても簡単に振り返ってみたいと思っている。
過去記事
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怪物ランナー 佐藤清治 | ヤクルトファンの日記 (ysfan-nikki.com)

98年度 都大路4位
主なランナー 宮入一海、佐藤清治、松崎雄介、高見澤勝

・初出場の時点で、すでにかなりの実力はランナーが揃っていた印象である。前評判も良かったように記憶しているし、入賞候補には名前が挙がっていたはずである。
怪物佐藤清治は2区で圧倒的な走りを見せていたし、宮入、松崎、高見澤は3本柱という感じで、どの選手がどの長距離区間を走っても対応できるような状況になっていたと記憶している。宮入は大学では結果を残せなかったが、高見澤は山梨学院大で主力となり、松崎も東海大で三大駅伝を経験している。創成期にすでにかなりネームバリューのある選手を揃えている。

99年度 都大路3位
主なランナー 高見澤勝、佐藤良仁、太田貴之、市村一訓、家高晋吾、佐藤清治

・佐藤清治がアンカーで圧倒的な力を見せ付ければ優勝もあり得たようなレース展開だった。非常に惜しいレースだったという印象が残っている。前年から主力だった高見澤に加え、後のエースで駒大でも活躍することになる太田、中大で安定感ある走りを見せてくれた家高、1年生ながら結果を残した市村にまだ箱根駅伝から遠ざかっていた青山学院大を支えた佐藤良と力のあるメンバーが揃っていた。

00年度 都大路5位
主なランナー 太田貴之、原田徹、家高晋吾、佐藤良仁、市村一訓
・前年度に下級生ながら結果を残した太田、家高、佐藤、市村を中心に安定感のある駅伝を見せてくれた。大砲である佐藤清治の穴を全員で埋めることが出来たのではないだろうか?日本のトップランナーになったという選手はいなかったかもしれないが、どの選手も高校、大学、実業団という各カテゴリーである程度の結果を残せるランナーだった。

01年度 都大路5位
主なランナー 原田徹、上野裕一郎、市村一訓、藤森憲秀、森田稔

・2年生で1区を任された原田は、振り返ってみると強いランナーだった。歴代の1区のランナーと比べても決して劣っていない実力者だったと感じる。そしてこの年は、上野が2区で区間賞を飾り、全国にその名を轟かせることとなる。3年連続の都大路となった市村、早大、城西大でもそれぞれ結果を残した藤森、森田も忘れられない名ランナーである。

02年度 都大路7位
主なランナー 上野裕一郎、原田徹、佐藤悠基、小山祐太、森田稔、藤森憲秀

・この年は、スーパー中学生と呼ばれた佐藤悠基が入学し、上野、佐藤という全国トップレベルのランナーが2枚揃った年となった。3年原田、2年上野、1年佐藤とそれぞれの世代のエース級のランナーを1区~3区に据えた並びは今見ても圧巻である。おそらく原田は本調子ではなかったために2区に回ったと思うのだが、そんな状況でも入賞を継続してみせた。山梨学院大で活躍した小山もこの年はメンバー入りをしている。

03年度 都大路2位
主なランナー 上野裕一郎、松本昂大、森田稔、佐藤悠基
・上野、佐藤という超高校級ランナー2枚を擁して初優勝を狙ったのだが、この年は、選手層という意味で数枚足りなかった印象である。上野、松本、森田、佐藤の4人でトップを奪い、5区以降は何とか粘り切るというようなレースプランだったと思うのだが、最後までトップに立つことは出来なかった。それにしても上野と佐藤の2枚看板は強力だった。

04年度 都大路12位
主なランナー 佐藤悠基、松本昂大、永田慎介、高野寛基

・この年も1区に佐藤、3区に松本、4区、5区にルーキー永田、高野とかなりのメンバーを揃えていたのだが、1区佐藤が伸び切らず、後手を踏んでしまい、ついに初出場からの連続入賞記録が途切れてしまうこととなった。

05年度 都大路4位
主なランナー 松本昂大、堂本尚寛、永田慎介、高野寛基、笹崎慎一

・上野、佐藤の後を継いで1区に起用された松本が流れを作り、前半の主要区間を耐えきると、5区笹崎の区間賞の快走もあり、後半区間で順位を上げてみせた。昨年度12位に沈んでしまった反省を活かした中での4位入賞だったのではないだろうか?

06年度 都大路6位
主なランナー 永田慎介、千葉健太、高野寛基、村澤明伸、笹崎慎一、堂本尚寛

・エース永田が1区36位とブレーキとなってしまったのだが、そこから驚異的な追い上げで最終的には6位まで順位を上げてみせた。永田は東海大でも苦しんだのだが、このレースでのブレーキが何かしらのきっかけになってしまった部分もあるのだろうか?永田、高野がラストイヤーとなった中で、千葉、村澤という新たなエース候補が登場した年度となった。

07年度 都大路2位
主なランナー 村澤明伸、佐々木寛文、千葉健太、藤井翼、佐々木健太、堂本尚寛

・初優勝に向け、戦力はある程度整っていた。特に1区を任された村澤の成長が大きかったのではないだろうか?常にトップが見える位置でレースを進め、ライバル仙台育英とタイムなしで7区アンカー勝負となった。アンカー堂本は仙台育英との激しい優勝争いを繰り広げたものの最後はタイム差なしの2着に敗れてしまった。それでも能力の高いランナーを揃えたチームは、全国の駅伝ファンの印象に強く残っているはずである。

08年度 都大路優勝
主なランナー 千葉健太、松下巧臣、村澤明伸、平賀翔太、藤井翼、佐々木寛文、大迫傑

5000m13分台、14分台前半のランナーを揃えた超高校級のオーダーで1年前のリベンジを狙った。1区千葉から理想的な流れを作り、3区村澤が仙台育英のクイラに喰らい付いたことで、完全にレースの主導権を握ってみせた。最後は当時2年生だった大迫が見事なタイムで走り切り、悲願の全国制覇を成し遂げてみせた。2時間2分18秒という当時の日本高校記録での優勝は、驚異的である。佐久長聖ファンにとっても08年度のオーダーは印象深いのではないだろうか?いわゆるスーパーチームである。

09年度 都大路4位
主なランナー 大迫傑、松下巧臣、臼田稔宏、宮坂俊輔、福沢潤一、代田修平、両角駿
・前年のチームがスーパーチームだっただけに、どうしても小粒に映ってしまうのだが、それでもどのランナーも高校レベルで言えば上位の力を持つランナーばかりだった。エースに成長した大迫が1区で区間賞を獲得し、勢いを付けると、他のランナーも粘りの走りを見せ、4位入賞を果たしてみせた。前年のスーパーチームのメンバーがごっそり抜けても4位を確保できるのが佐久長聖の凄さである。

10年度 都大路7位
主なランナー 臼田稔宏、両角駿、福沢潤一、臼田康一郎、上倉利也

・大迫が抜け、更に小粒になった印象ではあったのだが、この年も総合力で7位入賞を果たしてみせた。大エースがいない中でも3区以降でじりじりと順位を上げる展開は、好ランナーが揃っているからこそ出来るレース展開だったのではないか?

11年度 都大路21位
主なランナー 上倉利也、高森建吾、池田生成、臼田康一郎

・この年度から両角監督に代わって高見澤監督が指揮を執ることになったのだが、初年度の全国高校駅伝は、ほろ苦いものとなってしまった。おそらくは、前年度のような全員駅伝で粘り強く戦うことを意識していたと思うのだが、上倉が区間中位に沈んでしまい、3区を任された池田もブレーキとなってしまい、最後まで浮上のきっかけを作れなかった。

12年度 都大路10位
主なランナー 臼田康一郎、春日千速、高森建吾

・1区臼田が区間30位と出遅れたものの徐々に順位を上げ、4区を任された春日で一気にジャンプアップしてみせた。アンカーに高森を配置し、アンカー勝負には自信を持っていたはずなのだが、1区での出遅れで入賞には後一歩届かなかった。

13年度 都大路5位
主なランナー 高森建吾、關颯人、春日千速、川口賢人、酒井雅喜

・11年度、12年度と入賞を逃してしまい、両角監督の後を受けた高見澤監督はプレッシャーが掛かっていたと思うのだが、この年は、1区高森が上位で粘ると、最後まで入賞圏内でレースを進めることが出来た。アンカー酒井も区間賞を獲得し、見事な上位返り咲きとなった。

14年度 都大路2位
主なランナー 關颯人、名取燎太、井上錬

・1区關の好走で好位置に付けると、その後のランナーも上位チームに喰らい付いてみせた。4区以降の長沼、茂山、宮島、澤は展開にも恵まれ、しっかり実力を発揮してくれた。1位世羅との差は大きかったが、後半区間の安定感は佐久長聖の大きな武器である。見事な準優勝となった。

15年度 都大路4位
主なランナー 關颯人、中谷雄飛、井上錬、名取燎太、本間敬太、筑舘陽介

・この辺りから高見澤監督体制が軌道に乗ってきた印象がある。全国で戦えるスキルの高いランナーが増えてきたように感じる。2年連続で1区を任された大型ランナーの關が区間賞を獲得すると、その後も上位でレースを進めてみせた。名取、中谷、本間辺りの下級生がしっかり都大路の舞台で走れたことも収穫だった。

16年度 都大路2位
主なランナー 名取燎太、松崎咲人、中谷雄飛、本間敬太、内田光、相馬崇史

・この年も総合力で勝負する良いチームが組めていたのではないだろうか?名取、松崎、中谷の3人でトップをキープし、倉敷との後半勝負に持ち込むことが出来たのだが、そこで倉敷に力負けしてしまった。前半が理想的な流れになっていたため、悔しい準優勝という方が適切な表現なのかもしれない。
歴代の主力ランナーに比べれば地味に感じるかもしれないが、名取、松崎は東海大で、中谷は早大で箱根のエース区間2区を任されたことも素晴らしいことだと感じる。

17年度 都大路優勝
主なランナー 中谷雄飛、服部凱杏、松崎咲人、本間敬太、富田陸空、鈴木芽吹

・前年度の悔しさを晴らす後半での逆転劇だった。前年度は、倉敷の前に3区までトップをキープしながら逆転を許してしまったのだが、この年は、前年度に逆転を許してしまった本間の好走で倉敷との差を詰めると、6区を任されたスーパールーキー鈴木が区間賞の快走でトップを奪い、そのまま逃げ切ってみせた。佐久長聖らしい各選手がハイレベルな結果を残しての優勝となった。

18年度 都大路5位
主なランナー 松崎咲人、伊藤大志、服部凱杏、宇津野篤、鈴木芽吹、富田陸空

・この年に関しても前年度に負けず劣らずのメンバーが揃っていただけに、優勝を狙っていたと思うのだが、コンディションが整わない選手もいる中で、中盤に流れを手放してしまった。それでも5位入賞を果たせる辺りが佐久長聖の強さではあるのだが、前年度に優勝をしていたことを考えると、多少物足りない結果になってしまっただろうか?

19年度 都大路3位
主なランナー 鈴木芽吹、越陽太、伊藤大志、宇津野篤、木村暁仁、富田陸空

・将来のエース候補の筆頭であった服部を欠くメンバーとなってしまったのだが、1区を任された鈴木が、豪華メンバーの中できっちり上位で繋ぐと、他のランナーも粘る中で3位に喰い込んでみせた。本来であれば都大路優勝を経験した鈴木、服部、富田が中心となって優勝を狙いたい世代だったと思うのだが、後一歩及ばなかった。

20年度 都大路5位
主なランナー 伊藤大志、村尾雄巳、越陽太、吉岡大翔、長屋匡起

・ルーキー吉岡が4区で区間賞の走りを見せるなど、優勝争いという部分でも見せ場は作ってみせたのだが、後半区間で追い上げることが出来ず、5位にとどまってしまった。1区伊藤、3区越、4区吉岡という強力なメンバーを揃えていたのだが、上位校の壁は厚かった。それにしてもコロナ禍でもきっちり結果を残した1年生吉岡の走りは衝撃的だった。

21年度 都大路5位
主なメンバー 吉岡大翔、長屋匡起、村尾雄巳、永原颯磨、山口竣平

・エース吉岡の好走からリズムを作り、下級生主体のチームでも強さを維持してみせた。吉岡、長屋、永原、山口らの走りは、次年度に繋がるものとなった。今年3年生として全国制覇を狙う永原、山口、関東の大学ですでに主要大会に出場している村尾、吉岡、長屋がいることを考えると、この年度も粒揃いのチームである。

22年度 都大路2位
主なメンバー 永原颯磨、濱口大和、吉岡大翔、山口竣平、長屋匡起、篠和真

2時間1分57秒という日本人高校生のみの大会記録は更新したのだが、倉敷の強力メンバーの前に優勝は逃してしまった。しかし各ランナーが実力をしっかり発揮したからこその好記録だったのではないだろうか?今年は、去年の2時間1分57秒を一つのターゲットとしてレースを進めるはずである。永原、山口、濱口、篠辺りの走りは楽しみである。

26年という長きに渡って常に高校トップクラスのランナーを育てていることが素晴らしい。両角前監督の功績は大きいと思うのだが、後を継いだ高見澤監督が受け継いだ直後は苦戦しながらも、両角監督時代に負けず劣らずのチームを毎年作り上げていることも素晴らしいことだと思う。中学時代から注目されたランナーが怪我などで実力を発揮できなくなるケースもなくはないのだが、それでも卒業後も日本長距離界を引っ張る選手を輩出し続けていることは、称賛に値するのではないだろうか?
今年のメンバーも強力であり、5000m13分台のランナーが揃うことになる。留学生を擁する高校との激しい優勝争いが見れそうである。

上記の通り、これまで佐藤清治、上野裕一郎、大迫傑についてのブログ記事は書いてきたのだが、1人にフォーカスを当てて記事を残したいランナーは、他に何名もいる。
初期のエースであり、現監督の高見澤勝、中学時代から常に日本のトップランナーであり、現在も活躍を続ける佐藤悠基、強さと速さを兼ね備えた外さない男村澤明伸、千葉健太、長身でロマンを感じさせてくれた關颯人、都大路優勝にエースとして貢献した中谷雄飛、現在進行形で大学で活躍する鈴木芽吹、吉岡大翔、現役高校生の永原颯磨辺りは特に魅力的なランナーに映る。
皆さんも佐久長聖高校出身の推しのランナー、印象的なランナーがいるのではないだろうか?佐久長聖高校は、日本長距離界を支えるモンスターチームと言っても過言ではないのかもしれない。




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