いよいよWBC世界バンタム級王座決定戦 那須川天心ー井上拓真戦が24日に迫ってきている。世界チャンピオンのベルトを掛けたビッグマッチなのだが、世界チャンピオンの称号、ベルトなど関係なく、シンプルに那須川と井上拓の戦いを見守りたいと感じる注目のカードである。
このブログで触れてきた過去の日本人対決は下記の通りである。
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上記のカードと比べても遜色がないのだが、今回の那須川VS井上拓である。キック時代から格闘技の天才の評され、プロボクシング関係者からの評価も高かった那須川と井上尚弥を兄に持ち、最強井上ファミリーの次男としてWBC、WBAバンタム級王者(WBCは暫定王者)に輝いた過去を持つ井上拓というマッチアップは、ボクシング関係者でもミーハーファンにとっても楽しみな一戦である。
那須川は、キックボクシングの世界で42戦42勝というパーフェクトレコードを誇り、格闘技の天才として常に注目を浴びてきた。テレビ番組などメディアへの露出も多く、一格闘家、アスリートという枠を飛び越えた存在である。
2022年にプロボクシングの世界に転向した以降も自分の実力を高めるためのマッチメイクで7戦7勝(2KO)と結果を残してきた。那須川のボクシングの一番の武器と言えばやはりスピードと言うことになるのかな?と素人ながらに見ているのだが、ハンドスピード、出入りのスピード共に世界トップクラスにあるように感じる。キックからボクシングに転向したため、距離感には苦しむ姿もあるのかな?と想像していたのだが、その辺りに関しても大きな課題があるようには感じない。すでにボクシング仕様の那須川の姿が出来上がりつつあるように感じる。パンチのタイミングも良く、ディフェンス面も優れており、ここ数試合の強豪との対戦でも明確に効かされたと感じるパンチはほぼ受けていないように感じる。「パンチがないのでは?」という評価も耳にすることがあるのだが、これまでの7戦を振り返るとどの相手も那須川のパンチを警戒している様子が見受けられたため、決してパンチがないということはないと思う。パンチがあるからこそ相手が警戒し、そのことで那須川がペースを掴む試合が多かったのではないだろうか?
年齢的にも27歳ということで脂が乗ってきたタイミングで今回の王座決定戦に臨むことが出来るのではないだろうか?強いて不安を要素を上げるとすれば、バンタム級の身体をしっかり作ることが出来たか否か?という部分ではないだろうか?年齢を重ねるとともに骨格は大きくなり、体重を減らすことも難しくなるはずである。ここまでの報道を見るとこの部分に関しても問題はなさそうなのだが、井上拓が相手となるとごまかしは利かないはずである。逆に言えば、バンタム級でしっかり戦える身体が作れているのであれば、元世界チャンピオンであり日本屈指の実力者である井上拓相手にも互角以上に渡り合うだけの力を持っていると感じる。
井上拓は、プロに入ってからWBC世界バンタム級暫定王者、WBA世界バンタム級王者に輝いており、その戦績は22戦20勝(5KO)2敗というものが残っている。兄がモンスター井上尚弥であるため、どうしても比較されると地味に映ってしまうのだが、力のある相手とのマッチメイクを戦い抜いてきた正真正銘の実力者である。ウバーリ、堤聖也に黒星を喫してしまった事実があり、堤に敗れた直後の復帰戦が今回の那須川戦ということで、不安要素がないと言えば嘘になってしまうのだが、ボクシングの総合力という意味では、屈指の存在であることは間違いない。派手な勝利は少ないし、素人が見ると明確に勝利したと感じる試合も少ないように感じるのだが、アンカハスをKOで下した試合などを見ると、その能力の高さが伺える。那須川同様KO率は高くないのだが、パンチ力がないという印象はない。知名度が高い那須川と言えど簡単に崩せる相手ではないはずである。
井上拓に関しては、今回の那須川戦に関しては、序盤の戦い方が鍵を握るのではないだろうか?井上拓のボクシングと言えば1ラウンド、2ラウンド辺りまでは、相手のボクシングをしっかり見極めるラウンドにすることが多かったように記憶しているのだが、今回は、その1ラウンド、2ラウンドで那須川にペースを握られたくないという思いを持っているはずである。そうなると序盤から井上拓が好戦的に戦うことも考えられるのではないだろうか?序盤から飛ばした中で12ラウンドまで戦うことも想定して調整してきているのではないだろうか?簡単にポイントを失うようなラウンドを作ることは避けたい所だろう。
ほぼ五分五分の戦いになるのでは?と見ているのだが、個人的には、ボクシングという競技にフィットしてきている那須川の方が僅かながらに有利なのではないか?という見立てをしている。パフォーマンス含めファンを熱狂させ、メディア露出も多い那須川はいわゆる「アンチ」も多いのだが、その実ボクシングというものと真摯に向き合っている姿が見られる。才能だけで戦っている天才格闘家ではないことは一目瞭然だろう。ボクシング転向後の7戦で着実に実力を付け、年齢的にも脂が乗ってきた那須川が井上拓に圧倒される姿は想像し辛い。井上拓が序盤からプレスを掛けてきたとしても接近戦で迎え撃つことも距離を取りつつペースを握ることも出来そうな幅の広さもあるように感じる。
メンタル面に関しては、両者ともに充実しているように感じるため、結果が出た後に「精神論」で語ることは避けたいと感じているのだが、負けた時に失うものが大きいのは、井上拓側のように感じる。そのプレッシャーを跳ねのけることが出来るか?という部分にも注目してみたい。
勝者と敗者で明暗がくっきり分かれることになると思われる注目の一戦は、ハイレベルな技術戦になるはずである。那須川が僅かながらに有利なのではないか?と書かせてもらったが、井上拓が敗戦した時の失うものの大きさを思うと、井上拓に肩入れしたくなる気持ちもある。どんな結末が待っているのか24日を楽しみに待ちたいと思う。
P.S ここまで書いてきたのですが、私は視聴環境がないため、リアルタイムで観戦出来ないんですよね…。スポーツ観戦を趣味にしている者として地上波中継に頼り切っている現状は変えなければならないのですが…。
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