ブキャナンの気迫

ヤクルト3-2阪神(延長10回)

先日「藤浪晋太郎とどう対峙する?」という記事を書き、今日は藤浪VSヤクルト打線という視点で記事を書こうと思っていたのだが、ブキャナンの気迫の投球に気持ちを持っていかれてしまった。9回に福留に同点2ランを浴び、完封も完投も勝利投手の権利も失ってしまったのだが、チームを鼓舞するような素晴らしい投球だった。

今日の甲子園は阪神の先発が藤浪という事もあり、いつも以上に独特の雰囲気が漂っていた。そしてチームは3連敗という状況でマウンドに上がらなければならないブキャナンは決して投げやすいシチュエーションのゲームではなかったはずだ。味方打線は2回に先制点を上げたものの、その後はチャンスを活かす事が出来ず、常に嫌な雰囲気が漂い続けていたのだが、ブキャナンは気迫を全面に押し出しながらも冷静な投球を披露し続けてくれた。ストレート、カットボール、チェンジアップにカーブも上手く織り交ぜ、阪神打線を圧倒してみせた。7回には四球と不運なヒットで0アウト1,2塁のピンチを招いたのだが、ロサリオを三振、福留をセカンドゴロダブルプレーに仕留め、阪神に得点を許さなかった。福留のダブルプレーについてはセカンド山田の見事な守備も印象的だった。ブキャナンの好投に応える好守備だった。
8回で球数は100球を超えていたし、9回にはブキャナンに打席が回ってきたのだが、それでも首脳陣は代打を送らず、ブキャナン続投の判断を下した。3連敗中である事、ブキャナンの調子が良かった事、カラシティーが安定感に欠ける事などを加味するとブキャナン続投という選択肢が最も勝利に近付ける選択肢だと私も感じていた。しかしこの続投が裏目に出てしまう。9回は先頭のロサリオにライナーでブキャナンの臀部を直撃する内野安打を許すと続く福留に同点2ランホームランを浴びてしまい、一瞬にしてブキャナンの勝ちが消えてしまった。ロサリオの内野安打については、しっかりとした送球が出来ていればアウトを奪えていただけにそこには悔いが残るのかもしれないが、福留のホームランに関しては、相手を誉めるしかないホームランだったと思う。それでも今日のブキャナンの投球は素晴らしかっただけに勝ち投手になれなかったのは残念だった。それでも前回の登板に引き続き、今日も気迫満点のプレーを見せてくれた。私はそんなブキャナンの心意気が大好きである。
しかし9回に同点に追いつかれてしまったショックは大きく、私自身は今日のゲームはかなり厳しくなってきたなと感じていたのだが、そんな中でカラシティー、石山がプレッシャーの掛かる場面で完璧な投球を披露し、流れをもう一度引き寄せて見せた。ブキャナンの気迫が投手陣に伝染したかのようなナイスピッチングだった。

藤浪が先発という事でヤクルトがどんなオーダーを組んでくるのか?という部分にも興味があったのだが、今日は、1番山田、2番山崎、3番雄平、4番青木、5番川端、6番坂口、7番西浦、8番中村、9番ブキャナンと組んできた。主力ではバレンティンを外し、故障明けの雄平をいきなり3番ライトで起用するオーダーとなった。2回に坂口のタイムリーで1点を先制したもののその後の0アウト満塁のチャンスで追加点を奪う事が出来ず、その後も藤浪の荒れ球の前に苦しんでしまった。2回に畳みかけられなかったは痛かった。藤浪に関しては、まだ不安定要素はあるようにかんじたが、それでもこれだけの投球が出来るのだからやはり素晴らしい投手である。
その後8回に岩崎から山田哲のホームランで加点し、勝負を決めたかに思われたのだが、9回に追いつかれてしまい、厳しい状況に追い込まれたのだが、それでも10回に阪神の守護神ドリスから山田哲が2ベースを放つと山崎がきっちり送り、続く雄平が決勝のタイムリーを放ってみせた。激しいインコース攻めにあった後のインコースのツーシームをレフト線に運んだ山田哲のバッティング技術も素晴らしかったし、きっちり送りバントを決めた山崎、チャンスで一本出した雄平も素晴らしかった。自打球を当てて10回の守備からベンチに退いてしまった山田哲の状況は気になるのだが、逆にそんな痛みがある中で良く打ってくれたと思うし、走ってくれたと思う。
10回のような攻撃が出来るのが今年のヤクルトのチームカラーなのだと思う。開幕5戦目の広島戦も今日の阪神戦も勝てる雰囲気が一変して同点に追いつかれるゲームとなってしまったのだが、そこからもう一度盛り返して勝利を上げている事が昨シーズンとの大きな違いである。流れが悪くなっても勝利を重ねられるということは少しずつ力が付いてきた証拠である。贅沢を言わして貰えるのであればブキャナンに勝ちを付けたかったのだが、それでもこういった競り合いを取って連敗を止めた事の意義は決して小さいものではないと思う。

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コメント

  1. k より:

    先発が試合を作ると勝負になりますね、ブキャナンは昨年もですが今年は完全にチームのエースの立ち振舞いですね。
    残念なのは中村の最終回のロサリオと福留の配球ですね、ナックルカーブに合ってなかったロサリオにカットボールを投げたのと福留を追いこんで高めの釣り球要求しカウント整えてしまい最後に真っ直ぐを選択したのは納得するのは難しいですね(チェンジアップの選択はなかったのかなと)
    雄平が戻ってきて結果出しましたが昨年同様に逆方向にヒット出てるので率は残しそうですね。
    バレンティンがスタメン外れましたが年の近いベテランが多いのでケガだけが心配ですからターンオーバー制でいいと思いますね(坂口・バレンティン・青木・雄平は)。
    それと廣岡が初めてスタメン外れましたね、今の廣岡では甲子園の土のグラウンドで失策はしそうなので仕方ないですね(打撃も振りが鈍く下降してますしね)
    今後、勝ち負けを考えたら廣岡のスタメンは厳しいですね。西浦も奥村も状態がいいので首脳陣の判断が気になりますね(個人的には打たなければ守備に目をつぶれませんしね)
    次も石川がQSじゃないと厳しい試合になりそうですね(シンカーの出来次第と石川が冷静になれるかですね)
    打線は好調を維持してますがビジターになってから盗塁がなくなってるので失敗OKだなので、もう少し攻めていっていいと思いますね。

  2. FIYS より:

    > kさんへ

    ターンオーバー制というのは首脳陣も選手も難しいのかな?と感じていたのですが、チームがまとまっていればそういった起用法あ「あり」かもしれませんね。坂口の存在が大きいですね。

    西浦が好調を維持していますからね。廣岡も頑張ってはいますが、今は西浦の方が上ですかね。

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