第97回箱根駅伝振り返り

時間がなくかなり遅くなってしまったが、戦前のポイント記事も書いていたため、簡単に振り返っておきたい。コロナ禍での開催ということで例年とはまた違った光景でのレースだったのだが、駅伝の面白さ、怖さが詰まった大会となった。
過去記事はこちらから→「第97回箱根駅伝ポイント
それでは各大学ごとに振り返っていきたい。

優勝 駒沢大学
・決して理想的な展開でレースを進められたわけではないのだが、最後の最後まで諦めずに先行していた創価大学の背中を追いかけた結果の大逆転の総合優勝だった。1区白鳥の出遅れ、2区田澤が追い切れない展開となり、苦しい序盤戦となったのだが、その雰囲気を変えてくれたのが3区で起用された4年生小林の快走だった。ここで順位を3位まで押し上げることが出来たのが結果的には大きかった。5区の1年生鈴木も前年区間賞の宮下(東洋大)と競り合い、往路を3位で終えることが出来た。
復路は6区花崎の快走でスタートし、その後も粘り強い走りを続けたのだが、トップ創価大との差を中々縮めることが出来ず、10区石川に襷が渡った地点では、創価大とは3分19秒という大差が付いていた。この差については創価大の小野寺のブレーキがなければ逆転は難しかったのだが、それでも安全策を取らずに区間賞を狙って前半から積極的に飛ばした石川を褒めるべきだろう。残り2キロで首位に立つという大逆転劇は駅伝、特に箱根駅伝の面白さと怖さを同時に教えてくれた。
快走したランナーは、3区小林、6区花崎、10区石川くらいだったのだが、どの選手も大崩れせずに実力の範囲内の走りを披露してくれた印象である。4年生が小林1人という布陣ながらこれだけ安定した走りを披露した駒澤大学は総合優勝に値するだけの力を持ったチームである。

2位 創価大学
・最後の最後で大逆転を許してしまったのだが、今年の箱根駅伝の主役は創価大学だったと言って間違いないだろう。私は、事前記事でシード予想からも外してしまったのだが、冷静に考えると前回大会も2区ムイルで稼げず、5区、6区でも苦戦しながらシードを獲得したのだから、間違いなく地力があったということである。
今大会は、1区福田、2区ムルワが想定し得る最高の走りを披露し、3区に襷が渡る時点で2位という位置を確保することが出来た。正直ここまでは私の予想の範囲内だったのだが、3区葛西、4区嶋津、5区三上の好走は予想以上のものだった。特に3区葛西、4区嶋津に関しては、創価大学内では力のあるランナーだが、往路の高速駅伝となると他大学のランナーに比べて多少見劣りするのでは?と予想していた。しかしその葛西、嶋津がそれぞれ区間3位、2位と好走し、トップで5区三上に襷を渡すことに成功した。もちろんレース展開が味方した部分もあっただろうが、力がなければこれだけの走りは出来ないものである。葛西、嶋津の2人が自分の力をしっかり示してくれた。そして5区三上が榎木監督も自信を持って起用したランナーだったようで、トップで山を冷静に駆け抜け、往路優勝のテープを切ってみせた。私の中では予想外だったのだが、終わってみれば福田ームルワー葛西ー嶋津ー三上はそれぞれ実力のあるランナーだった。
復路に関しては、まずは6区でどれくらい粘れるかで展開が変わってくるかな?と思ったのだが、その6区濱野が58分台の好タイムで山を下り、その後は実力者原富が好走、9区石津が区間賞と他大学に一切流れを渡さずにアンカーまで襷を繋ぐことに成功した。後はゴールテープを切るだけだったのだが、最後の最後に小野寺がプレッシャーの大きさもあってか失速し、後僅かの所で総合優勝は逃してしまった。戦前の予想からすると「2位創価大学」という字面だけを見れば、大躍進の快挙と呼べるのだが、レース展開から行くと優勝を逃してしまった悔しい2位という見方も出来る。しかし創価大学にとって箱根路に大きな一歩を印すレースとなったことは間違いない。来年度以降に繋がる見事な襷リレーだった。

3位 東洋大学
・展開によってはシード争いに巻き込まれてしまう危険性もあるチームだと見ていたのだが、1区児玉、2区松山の奮闘で作った流れを最後まで手放さなかった。1区児玉はペースの上げ下げが激しかった中で自分のポジションで冷静にレースを進め、トップと24秒差で松山に襷を渡すと、ルーキー松山もエースが揃う花の2区で67分15秒という見事なタイムで走り抜き、順位を大きく上げることに成功した。創価大の葛西、嶋津にも感じたのだが、東洋大の児玉、松山も私が想像していた以上に強さを持ったランナーだった。この2人がしっかり上位争いを展開できたことでその後のランナーは走りやすくなったはずである。5区宮下も区間賞は逃したものの往路2位に貢献する走りを見せてくれた。
復路は7区に回ったエース西山が伸び切らないなどの誤算もあったのだが、8区野口が悪い流れを止め、9区小田、10区清野も粘り切ってみせた。大砲がいなくても各ランナーが力を発揮しての総合3位ということで価値のあるレースだったのではないだろうか?

4位 青山学院大学
・主力の神林を怪我で欠き、往路は流れを手放してしまい、最後は5区竹石のブレーキもあって、12位フィニッシュとなってしまった。しかしこの順位から復路で立て直し、復路優勝で総合4位まで順位を上げるのだから大したものである。連覇が止まった前々回大会の振り返りにも書かせてもらったと思うのだが、今回も「負けて尚強し。」の印象である。
往路に関しては、私は正直当日のエントリーを見た印象でもチームの異変には気付くことが出来なかった。それくらい層が厚いということなのだろう。1区吉田が上手く立ち上がったのだが、2区中村が終盤粘り切れなかった。青学の2区と言えばそこまで注目されていないランナーでもこれまで結果を残してきたため、何となく中村もある程度は走ってくれるかな?と予想していたのだが、3区に起用予定だったという神林の不在がメンタル面に多少影響を及ぼした部分もあっただろうか?2区で後退してしまった流れを3区から取り戻していきたかったのだが、4区ルーキーの佐藤の好走も上位進出には繋げられなかった。青学がここまで崩れる往路は全く予想していなかった。
こうなると復路はシード争いに巻き込まれるかと思ったのだが、6区高橋が区間3位の見事な走りでシード圏内に順位を上げると、7区近藤、8区岩見も区間3位で続き、9区飯田は区間2位でついに4位まで順位を上げると、アンカー中倉は一旦3位東洋大に追い付くという見せ場を作ってくれた。実力があるチームの復路路だった。往路に比べればチーム内での順位は高くないランナーが多かったと思うのだが、6,7,8区の堅実な走りで、復路のエースと見られた飯田にいい位置で襷を渡すことが出来た。特に6区高橋に関しては、高校時代はそれ程力を持った選手ではなかったと思うのだが、6区でこれだけの走りを見せるのだから青山学院の育成力と6区の攻略法は見事である。来年度に繋がる復路のレースとなった。

5位 東海大学
・東海大学に関しては、とにかく黄金世代が4年生となった前回大会で連覇出来なかったという部分に引っ掛かりを感じていた。今大会は優勝候補の一角として名前は上がっていたが、選手層的には他の優勝候補のチームに比べて若干薄いかな?という印象があったことも確かである。メンバー的にはどうしても往路優勝をして、復路は先頭で耐えながら戦うという戦略が見て取れたのだが、4区佐伯のブレーキもあり、往路は5位に留まってしまった。日本選手権に出場しながら難しい1区の重責を果たした塩澤、2区で安定感のある走りを披露した名取、力強い走りで今大会の№1ルーキーの称号を手にしたと言っても過言ではない3区石原の区間賞までは、ほぼ理想的なレース展開だったと思うのだが、4区の佐伯で順位を落とすと、東海大の武器である5区の西田も伸び切らなかった。
そんな中でも復路はよく粘ったと感じるのだが、もう一度チームを立て直す必要はあるように感じる。

6位 早稲田大学
・メンバーはある程度揃っていたと思うのだが、2区太田、3区中谷の日本選手権組がもう一つ実力を発揮できなかっただろうか?5区のルーキー諸冨も下位に沈んでしまったため、これだけを見るとかなり厳しい展開だったように感じるのだが、他のランナーがしっかり盛り返せている辺りに地力の高さを感じることが出来た。前回大会7区で好走し、チームを押し上げた鈴木が今回は往路4区で好走し、チームを救ってみせた。強さを感じさせてくれるランナーである。今回のメンバーで4年生は1人のみであり、次回はもう一度総合優勝に挑戦する年になりそうである。復路にも駒を残せるだけの層の厚さを感じさせてくれた。

7位 順天堂大学
・予選会を1位で通過した勢いを本戦にも繋げてみせた。将来の大エース候補の三浦が1区で力を発揮出来なかったものの、そういった展開でも上位に喰らい付けたところにチームが右肩上がりになってきていることを感じさせてくれた。2区野村、3区伊豫田の2年生、4区ルーキー石井と三浦の陰に隠れてはいたのだが、力のある所を見せてくれた。力のある下級生が今後どう成長していくか楽しみである。来年はさらなる高みを見据えられるチームになるはずである。

8位 帝京大学
・今年は山対策をしっかり行ってきたとの戦前の言葉通り、5区で細谷が区間賞を獲得し、復路スタート地点ではひょっとすると創価大を捉えられる可能性のある一番手は帝京大なのでは?という気持ちにもなったのだが、6区三原がスタート直後にアクシデントに見舞われてしまったようで本来の走りとは程遠い走りとなってしまい、優勝争いからは脱落してしまった。いい形で往路を終えていただけにもったいなかった。元々復路の駒で勝負するタイプのチームだけに「三原が本来の走りが出来たらどうなっていただろう?」という思いに駆られてしまった。
前回大会同様の配置となった1区小野寺、2区星、3区遠藤は他の優勝候補の大学からも引けを取らないメンバーであり、今回も3区遠藤が一気に順位をジャンプアップさせ、流れを掴むことに成功した。小野寺、星に関しては耐える1区、2区としては最低限の走りは見せてくれたと感じる。そして遠藤は3年連続で3区で好走しており、3区のスペシャリストと言っても良いような存在になってきている。力のある4年生が数人抜けてしまうのだが、おそらく来年も「らしい」チームを作ってくるのではないだろうか?

9位 國學院大學
・前回大会は土方、浦野というダブルエースの存在もあり、総合3位に喰い込んだのだが、その2人が卒業した中でもシード権を確保したことに大きな意味があると感じる。正直1区については、國學院大學としても藤木としても厳しい展開になってしまったと感じたのだが、エース格の藤木を1区で使ってしまい、流れを作れなくても、他のランナーでしっかり補えたところにチーム力の高さを感じさせてくれた。5区殿地、6区島崎が役割を果たし、流れを作ると、7区以降のランナーがしっかり粘ってみせた。10区に力のある木付を残せていたのも大きかった。タレント性、スカウティングという部分では、他大学に比べて劣ってしまう部分もあるのかもしれないが、選手育成のノウハウは明らかに付いてきている。8位帝京大学と共に今後も箱根駅伝で渋く輝いてくれそうである。

10位 東京国際大学
・とにかく2区ヴィンセントのワールドクラスの走りが凄まじかった。前回大会に比べて天候に恵まれない中での65分49秒という区間新記録は他のランナーとはレベルが違うことを証明してくれた。これまでの歴代№1留学生はモグス(山梨学院大学)のイメージだったのだが、この2年間の走りでヴィンセントが名実ともに№1ランナーに躍り出たと感じさせてくれた。金栗杯も納得の快走だった。日本人ランナーの力は他のシード権を獲得したチームに比べるとまだ弱く、6区で起用された芳賀が区間19位に沈んだ時は、シードも苦しくなるかな?と思ったのだが、その後の4年生4人がしっかり走り、シード権を確保してみせた。特に7区佐伯の区間賞は大きかった。実力者が揃う明大に追い上げられるという精神的にもきつい中でのレースだったと思うのだが、最上級生が4年間で培ってきた力をしっかり披露してくれた。
来年以降を考えると前回大会の伊藤のようにヴィンセント以外で2区を走れる日本人ランナーが出現すれば、他の大学からすると脅威に感じるチームになってくるのではないかと感じる。ヴィンセントを2区以外に回すことが出来れば戦略の幅は広がりそうである。1区での大逃げなんて戦略も面白いのではないだろうか?

11位 明治大学
・戦前は優勝候補の一角に名を連ねていたのだが、1区児玉の出遅れを最後まで取り戻すことが出来なかった。メンバーは揃っていたのだが、絶対的なエースは不在だったため、1区児玉の走りが重要だったのだが、そこで駅伝の流れを逸してしまった。2区加藤、3区小袖、5区鈴木は展開によってはもう少し走れるだけの力は持っていたはずである。
復路も6区前田、7区手嶋が期待値からすると物足りない走りでスタートすると8区大保が区間賞を獲得し、シード争いに顔を出すところまでは追い上げたのだが、9区富田、10区長倉と追い切れなかった。
終わってみれば、前回大会が上手く回り過ぎた部分もあったのかな?と感じることになってしまった。実力者は揃っていたのだが、負の展開をひっくり返せるほどの実力を持ったランナーはいなかったということになるのだろう。

12位 中央大学
・私の応援する中央大学は明治大学同様1区千守の出遅れで流れを逸してしまった。正直当日のエントリーを見て1区千守ー2区森ー3区吉居ー4区三須ー5区畝というオーダーは理想的なオーダーに感じたのだが、千守の出遅れで各ランナーの計算が狂ってしまった印象である。エース森は劣勢を挽回するには至らず、3区吉居は日本選手権の影響もあってか伸び切らず、後半は大きく失速してしまった。5区畝もこれまでの箱根で最も悪い走りとなってしまい、往路は想定外の19位フィニッシュとなってしまった。
しかし復路は若林が区間5位でスタートすると各ランナーがしっかり力を発揮し、復路では3位となる好タイムで、順位を12位まで上げてみせた。往路に比べるとタレント性には欠けていたと思うのだが、19位という順位からこれだけの駅伝が出来るのだから、本来はもっと力のあるチームであることは間違いない。しかし確実にシードを獲得してきた中央大学を知っているファンからすると、箱根駅伝の厳しさを改めて感じさせてくれるレースとなった。本来であれば今年は確実にシードを獲得し、来年以降は総合優勝を視野に入れながら戦えるチームを作ってもらいたいと思っていたのだが、来年度も予選会からのスタートということで、復活への道のりはまだまだ長そうである。

今大会はある程度リアルタイムで観戦出来たため、簡単に振り返ろうと思ったのですが、物凄い長い記事になってしまいました。上記のこと以外で印象的だったのは、1区で塩澤を振り切って区間賞を獲得した鎌田(法大)、格上のヴィンセントに付いていったことでチームを流れに乗せたムルワ(創価大)、日本選手権からのハードな日程でもしっかり結果を残した池田(日体大)、安定感が光る4年生井出(神奈川大)5区山本、6区野村の1年生コンビが結果を残した城西大辺りが印象的だった。
レース自体は非常に面白かった。

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