高津監督のチームマネジメント能力

2021試合結果

ヤクルト3-2巨人

巨人、阪神との6連戦が今日からスタートした。大事な大事な初戦を接戦で勝ち切った事実は大きい。相手を圧倒したわけではなく、ジリジリするような緊張感のあるゲームだったのだが、こういったゲームを勝ち切るからこそこの時点でも首位を守っているのだと思う。今シーズンのヤクルトが何故ここまで強いのか?という部分を私は明確に答えることが出来ない。しかし高津監督のチームマネジメント能力の高さというものは評価するべきであると感じている。
昨シーズンの開幕から22試合目の時点で「高津カラー」という記事を書いているのだが、この時と比べても高津監督のマネジメントはブレていないと感じる。当時は①選手の体調管理、②積極的な機動力の活用、③選手へメッセージを送るような起用法と采配、④若手の抜擢という4点を挙げているのだが、今シーズンもこの4点は高津監督らしさの象徴ではないかと感じている。昨シーズン最下位に沈みながらも自分の色をブレずに出し続けている所に高津監督の野球人としての芯の強さを感じる。全体的に選手を大切にする姿勢、選手の成長を促す姿勢に好感を覚えている。もちろん結果が出ているからこそ評価されるのだが、新時代のリーダー像というものを高津監督自身が作り上げているように感じる。非常に興味深い指揮官である。

今日のゲームでも高津カラーは存分に発揮されていたと思う。まずは小川の中5日での起用である。小川は前回のDeNA戦で3回で6点を失い、負け投手となり、チームの連勝を止めてしまった。それでも巨人、阪神との大事な6連戦のスタートを中5日でエースの小川に託してきた。これは高津監督が小川をエースとして信頼しているというメッセージを飛ばした起用法ということも言えそうである。その起用法に応えたのだが、小川だった。初回から縦の変化、横の変化、緩急を駆使して、巨人打線を抑え込んでいった。若い頃のストレートに比べて威力がなくなってきているような印象もあるのだが、それでも試合を作れる投手としての総合力が小川にはある。今日の小川は自分が出来ること全てを出し切ってくれたと思う。5回、6回にそれぞれタイムリーで1点ずつを奪われてしまったのだが、その後のピンチは凌ぎ、何とか最少失点で乗り切ってくれた。これが長年先発ローテを守り続けている投手の経験値の高さなのだと思う。

その小川を捕手として支えたのは高卒5年目の古賀だった。ここの所小川とバッテリーを組むことが多いのだが、個人的には小川のルーキーイヤーからバッテリーを組んできた中村の方が小川には合っているのではないか?という刷り込みがある。しかし高津監督は今日の大事なゲームでも古賀をスタメンとして起用してきた。最初は中村の負担軽減という意味合いで古賀に出場機会を与えているのだと思っていたのだが、それだけではなく、古賀がマスクを被るのであれば、古賀がマスクを被るなりの戦い方で勝利を掴みに行く姿勢を見ることが出来ている。今日のゲームでは、初回に若林の盗塁を刺すと、小川が降板した後の7回、8回、9回の痺れる場面でしっかり結果を出し、勝利に大きく貢献してみせた。優勝争い真っ只中での大事なゲームで最後まで古賀がマスクを被り続けたこと、そして勝利を手に出来たことは、高津監督のマネジメントがあってこその結果だと感じる。
今シーズンは中村の打撃が好調であり、オーソドックスな監督であれば基本的には中村をスタメンで起用したいと考えるはずなのだが、高津監督は中村のコンディション面や古賀の成長を促すという意味合いで古賀の出場機会を増やしている。しかしただそれだけの理由で古賀の出場機会を増やしているだけでなく、その方が勝利に繋がるという根拠も持った中で起用しているということを最近になってようやく気付くことが出来た気がしている。

7回からの今野ー清水ーマクガフのリレーは1点差での継投であり、どの投手もランナーを許したため、ドキドキの展開だったのだが、今野も清水もマクガフも無失点で凌ぎ、チームの勝利に大きく貢献してみせた。この継投についても今日からの6連戦をにらんだ中で2日、3日の広島戦で清水、マクガフを温存しながら、別パターンの継投で勝利を手にしたという伏線があった。清水、マクガフについては、「今日からフル回転してくれ。」という高津監督のメッセージが隠されていたと思うのだが、その清水、マクガフがしっかり仕事をし、大事な初戦を勝利してみせた。

打線は巨人先発の高橋優から初回、2回とチャンスを作りながら得点を奪えず、多少嫌な雰囲気もあったのだが、3回に青木、山田の連打で1アウト1,3塁のチャンスを作ると村上のショートゴロの間に先制点を奪うことに成功した。村上の激走とヘッドスライディングはチームを鼓舞するに十分なプレーとなった。村上と言えば一番の魅力は長打力なのだが、こういった主力としての全力プレーも好感が持てる。
4回には西浦、サンタナに連続ホームランが飛び出し、2点を追加してみせた。ショートは西浦と元山の併用となっているのだが、今日はスタメン起用された西浦がバットで貢献してみせた。どちらをスタメン起用するのか?という部分でも様々な要素を考えた中で決めていると思うのだが、その中で選ばれた選手が結果を出すのだから首脳陣と選手との関係性も良くなるのではないだろうか?3-2というロースコアの中で飛び出した2本のホームランが山田や村上ではなく、西浦とサンタナだったこともある意味ではチームが上手く回っていることを象徴するようなホームランだったように感じる。

今日はマクガフが最後のピンチを抑えて勝利した瞬間に私自身何度もガッツポーズが出てしまった。それくらい興奮していたため、興奮した気持ちのままにブログを書こうとも思ったのだが、冷静になると高津監督のマネジメント能力という部分に焦点をあてるべきなのかな?と考え直した。今シーズンのヤクルトの不思議な力は、高津監督のマネジメントがあってこそだという結論に至った。

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コメント

  1. 超匿名 より:

     菅野が三戦目に投げることが予想されたので、初戦に勝てたのが大きいですね。大事な連戦に小川が調子を戻したこと、村上の長打がご無沙汰でもサンタナの調子が上向いたりと流れが良いですね。
     終盤しか見れてないですが、巨人の調子はそれほど良くなさそうで、長嶋監督時代のメークドラマの様なことが起こる可能性は低そうだと感じました。むしろ連続最下位独走からの優勝達成なら、ヤクルトの方がドラマチックじゃないですかね。三つ巴から阪神とのマッチレースに展開が変わってきたのではと思います。

  2. sabo より:

    今年の方が貯金数、勝率は2015どころか2001より良いのですが、印象としては秋吉ロマンオンドルセクバーネットやロケットボーイズの必勝パターンがあったからか今年のヤクルトの方が隙があるように感じてしまいますね
    ただ高津マネジメントや全員野球という部分が上手くいっていると思いますね
    これは本当に信じられないのですが得失点差で巨人阪神を圧倒しているんですよね
    私は開幕前に最下位なのだから1軍のコーチに新しい風があっても良いのではと思っていましたが
    高津監督の「コーチの成長も期待している」という言葉通り選手だけでなくコーチスタッフ陣も成長しているのかもしれません

    それにしても小川今野清水と古賀のバッテリーはあれだけ息が合っていたのにマクガフでばたばたすることとなるとは野球はやはり難しいです

    村上は決断力が凄い。ヘッスラが危険な要因にはやるかやらないか迷ってしまうことがあると思うのですがこういった決断で迷わないのが村上の大器なところですね。良いヘッスラでした

  3. FIYS より:

    超匿名さんへ

    阪神とのマッチレースになってきましたね。ここまで来たら何としてでも優勝を勝ち取ってもらいたいです。

  4. FIYS より:

    saboさんへ

    いつの間にか2001年シーズンよりも貯金が多くなっていたのですね。私も今シーズンのヤクルトに「強さ」を感じることは少なかったため、ここに来ての連勝には驚いています。高津監督のマネジメント力による躍進ということが言えそうですよね。

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