ヤクルト3xー2ソフトバンク(延長10回)
今日の神宮球場でのゲームは「あだち充DAY」と銘打たれたあだち充氏とのコラボ企画が実施されていたようである。私はゲームの途中でブログ記事のタイトルを考え始めるのだが、今日は「主役はモイネロ」というタイトルでモイネロの凄さをあだち充氏の漫画とリンクさせる形で書くことになるのかな?などと漠然と考えていたのだが、モイネロが降板した後の9回から信じられないようなドラマが待っていた。それこそ漫画のような展開に大興奮してしまった。あだち充氏の作品に今日のゲームがモデルの試合が登場しても驚かないような劇的な展開となった。そして主役は「ヤクルトスワローズ」だった。
それでも今日のゲームに関しては、まずはモイネロの凄さを書かなければならないと思っている。私が初めてモイネロを見たのは、2017年のWBCの時だったと記憶している。すでにキューバは野球王国としての勢いを失っていたのだが、大きなカーブに特徴のある細身のサウスポーとして他の投手に比べて印象に残ったのがそのモイネロだった。その後ソフトバンクに入団することになるのだが、育成契約だったため、当時は「NPBから見ればまだまだそのレベルの投手なんだな。」という印象だったのだが、そこからあっという間にソフトバンクの主力投手の一人となった。カーブは勿論の事、ストレートの威力も増し、ブレーキの利いたチェンジアップも非常に質の良いボールだった。NPBでも屈指のリリーバーとして活躍していたのだが、昨シーズンからは先発に転向し、最優秀防御率を獲得するなど先発としてもしっかりアジャストしてみせた。今シーズンもここまで圧倒的なスタッツを残していたのだが、今日の投球内容は、「どうやって打てばよいんだ…」と感じる程の出来の良さだった。18個の奪三振の内、17個が空振りの三振だったということで各球種の切れ味が抜群だった。現代野球において各投手の球種は多くなっている印象なのだが、モイネロはストレート、カーブ、スライダー、チェンジアップという4球種で圧倒してしまう凄さがある。今日はそのモイネロの凄さを見せ付けられてしまった。
そんなモイネロの好投を尻目に自分のペースで淡々とアウトを重ねたのが、ヤクルト先発の山野だった。ここの所あまり内容が良くない投球が続いていたのだが、今日はランナーを出した後も崩れることなく、アウトを重ねていってみせた。0-0で迎えた6回に連打で0アウト1,3塁のピンチを招き、近藤のダブルプレーの間に先制点を奪われてしまったのだが、6回で被安打7、与四死球2ながらよく1失点で粘ってみせた。結果としては、この山野の粘りが劇的な勝利を生むことになったと言っても過言ではない。
モイネロに8回までに18三振を喫してしまい、9回裏を迎えた時点でスコアは0-2ということで正直ほぼ勝ち目はないと見ていた。おそらく5,6年前であれば9回もモイネロが続投したのではないか?という投球内容だったのだが、ソフトバンクベンチは、9回のマウンドにオスナを上げる決断をした。この決断がプラスに働いたのは、ヤクルト側だった。
先頭の中村が四球で出塁すると続くオスナはカウント2-0というヒッティングカウントから狙っていたであろう真ん中高めの甘いストレートを完璧に捉えてみせた。フォロースルーの体勢を保ちながら打席で打球を見届ける完璧な一撃で一瞬で試合を振り出しに戻してみせた。オスナは打球に角度が付くタイプの打者ではなく、ホームランアーティストではないのだが、今日の一発はおそらくオスナの野球人生の中でも上位に入るであろう会心の一打になったのではないだろうか?神宮球場レフトスタンドの中段まで飛ばす素晴らしいホームランとなった。
ここまでのゲームの主役は間違いなく奪三振ショーを演じたモイネロだったのだが、9回のオスナによる同点2ランホームランによって、球場の雰囲気は大きく変わることとなった。
10回表を石山が三者凡退で締めると、その裏、意外な男が試合に終止符を打ってみせた。ソフトバンクはこの回から松本裕を投入し、ヤクルトは代打宮本が三振に倒れてしまうのだが、続く武岡が松本裕の力のあるストレートをジャストミートすると打球はライトスタンドに飛び込むサヨナラホームランとなった。決して選手層が厚くないヤクルトであっても1軍で思うように結果を残せず、一旦は2軍落ちしていた武岡が、ここでヒーローとなってみせた。こういった劇的な一打を明日以降のゲームに繋げていってもらいたい。長岡が怪我で離脱しているからこそ、同期の武岡の活躍が期待される。
それにしても今日のゲームは「あだち充が過ぎる」展開となった。あだち充作品と言えば投手の奪三振ショーは付きものであり、完全に主役はモイネロだと思っていたのだが、9回、10回のダイナミックな試合展開で主役は完全に「ヤクルトスワローズ」のものとなった。頼りになる助っ人外国人選手の同点弾。今後の活躍が楽しみな若手の武岡によるサヨナラ弾とあまりにも劇的な展開となった。完全な負けパターンの展開をひっくり返したのは、今シーズンの中でも初めてではないだろうか?興奮せずにはいられない劇的なサヨナラ勝ちとなった。
P.S 今日のゲームの8回に山田が代打で登場したのだが三振に倒れてしまった。今日の山田はモイネロ相手に相当気合が入っていたように見えたのだが、結果は付いてこなかった。三振した後の悔しそうな表情と仕草が印象的だった。この悔しさを明日以降に繋げてもらいたい。
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コメント
「あだち充が過ぎる」
秀逸。
言われてみれば確かにその通りです。
奪三振ショー。9割9分の負け試合。
9回裏、それとなく帰り支度を始める観客。
そして「え!?キミがヒーロー!?」というハートウォーミングな展開。
私が球団職員なら、今日のサヨナラ勝ちの記念グッズは、是非あだち充先生にイラストを描いてくださいと懇願するんとけどな〜。
出来れば「2ヶ月ぶりの連勝」というコメントも、小さく小さく入れてください、と。
今日一番ホッとしたのは、次の回の準備をしていた清水と、そして岩田かもしれません。ま、ホッとしてる場合じゃないし、本人達は、ホッとなんかしてませんと言うかもしてませんが。
grassさんへ
武岡のサヨナラホームラン。確かにハートウォーミングな展開だったかもしれません。
あだち充コラボDAYに相応しいゲーム展開になりましたよね。