中谷潤人VS西田凌佑

ボクシング


<プロボクシング:WBC、IBF世界バンタム級王座統一12回戦>◇8日◇東京・有明コロシアム
WBC世界バンタム級王者の中谷潤人(27=M・T)が、初の王座統一に成功した。IBF世界同級王者の西田凌佑(28=六島)に6回終了TKO勝ち。全勝の日本人王者対決を、3階級制覇王者が制した。自身10度目の世界戦で、国内タイ記録となるプロデビューから31連勝を達成。「バンタム級最強」を証明した。今後はスーパーバンタム級に転向予定。来春、4団体統一世界同級王者の井上尚弥(32=大橋)との大一番の実現を目指す。
日刊スポーツ引用




WBC世界バンタム級王者の中谷潤人とIBF世界バンタム級王者の西田凌佑による王座統一戦は、期待通りの好ファイトとなった。
戦前から中谷優位という声が多かったのだが、その反面西田は簡単には負けないという声も多く、西田については、ボクシング玄人からの評価が高い印象があった。個人的には最終的にはパワーで中谷が押し切るのでは?と予想していた。最大の注目ポイントは、西田陣営が「対中谷対策」としてどのような戦い方をしてくるのか?という部分だった。この戦い方によって中谷の弱点をあぶりだすことが出来れば、西田も互角以上に渡り合う可能性があるのでは?そんなことも考えながら中谷VS西田を楽しむこととした。

私は、西田がどのような戦術で戦うか?という部分に気を取られていたのだが、ゴングが鳴ってすぐに荒々しく仕掛けていったのは中谷の方だった。しかもいきなり相手を倒しに行くような激しいパンチを出していった。戦前から有利と言われていた中谷が立ち上がりからここまで好戦的に戦うことは予想していなかった。西田の「対中谷対策」を見る前に一気に中谷がペースを掴みに行った印象である。西田も引くことなく対応したのだが、序盤は中谷がペースを握ったように感じた。
このまま中谷ペースのまま試合が進んでいくのかな?とも思っていたのだが、3回、4回と西田がコンパクトでシャープなパンチをヒットさせ、中谷の一方的な展開にはさせなかった。私は、西田の試合をそれ程見たことがなかったのだが、印象としては距離を掴むのが上手く、相手にペースを握らせずに確実にパンチを当ててポイントを奪っていくスタイルだと思っていた。どちらかというとディフェンスに特徴のあるボクサーなのかな?と思っていたのだが、この日のボクシングを見て、西田の本当の強さは耐久力、いわゆる打たれ強さにあるのではないか?と思い直した。テクニカルなボクサーという見方をしていたため、そこに注目することがなかったのだが、あれだけ好戦的に仕掛けてきた中谷のパンチを被弾しながらも怯むことなく自分の得意なパンチを当てていった。結果的に西田は、自分のボクシングを貫くことによって中谷と対峙することになったのではないだろうか?おそらくいくつかの策を用意していただろうし、今回の試合でその策を実行できた場面もあったのかもしれないが、個人的には「対中谷対策」というよりも西田が得意とするボクシングをそのまま披露したという印象が残った。
しかし、西田の抵抗もここまでだった。偶然のバッティングによって右目が腫れる中で、中谷は冷静に左フックなどで右目を攻撃し、西田の目を大きく腫らすと、右肩の異変にもいち早く気付き、肩への攻撃も続けていった。結局西田は、6回終了後に右肩の脱臼により試合の続行が出来なくなり、ここで中谷のTKO勝利となった。

終わってみれば中谷の強さが目立った試合になったと思うのだが、西田の打たれ強さとコンパクトなパンチ(特に左ボディ)も印象に残った。
ここ15年くらいは、日本ボクシング界において黄金期と呼んでも良いような時代になっていると思われる。世界チャンピオンになることがゴールではなく、より強い相手を探し求めることで、最強を証明しようとするボクサーが当たり前の時代となった。今回の中谷ー西田もファンが喜ぶ素晴らしいマッチメークだった。
今後は、来年に対決が噂される井上尚弥VS中谷潤人を楽しみに待ちたいと思う。これまでは、流石に井上の方が実力的に上なのでは?と見ていたのだが、最近の中谷のボクシングを見て、考えが変わり始めている。まずは両者が無事対戦できることを願いたい。

P.S ちなみに井上の次の対戦者として名前が挙がっているアフマダリエフも相当の実力者と見ている。井上VSアフマダリエフも非常に楽しみである。井上が簡単に勝てるような相手ではないと思っている。




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