ジェイミーJAPANが歴史を作る

世界ランク8位の日本が、史上初の8強進出を果たした。1次リーグ最終戦で同9位のスコットランドに28―21で勝利した。第2戦で格上のアイルランドを撃破し、勢いに乗ったフィフティーンの戦いは、新次元に突入した。
(スポーツ報知引用)

台風19号の影響で試合の開催が危ぶまれていたのだが、何とか予定通り試合は行なわれることとなった。中止となっていれば引き分け扱いで日本が決勝トーナメントに進み、スコットランドは敗退することになっていただけに試合前から多少感情的な発言が目立っている事が気になっていたのだが、試合が始まればそんなことは関係なくゲームに集中する事が出来た。

2015年の南アフリカ戦の勝利も今大会のアイルランド戦の勝利も日本ラグビー界にとっては歴史的な勝利だったのだが、今日のスコットランド戦での勝利も日本ラグビー史、世界のラグビー史に刻まれるゲームとなった。

試合は開始早々から両チームの気持ちと気持ちがぶつかり合う凄まじい死闘となった。後がない状況のティア1の国と戦うということはこういうことなのだと感じる事が出来た。両チームともに序盤からペース配分など考えずに飛ばしていく姿が印象的だった。スコットランドのディフェンスの圧力は前回大会以上だと感じたため、正直先制のトライとコンバージョンゴールを決められたときにはかなり厳しいゲームになると覚悟したのだが、そこからの日本チームの鮮やかなトライラッシュには目を奪われてしまった。どのトライもチームが一体となった見事なトライだった。
福岡がスピードで前進し、倒されながらもオフロードパスで松島に繋げてトライを奪ったプレー、FWが身体を張りながら連続オフロードパスで繋いで最後はプロップの稲垣がトライを奪ったプレー、田村のPGが失敗した直後、前半終了間際にラファエレのキックパスに福岡が反応して飛び込んだトライと、どのトライも今大会に向けてジェイミー・ジョセフHCを中心に準備を重ねてきたプレーが結果として表れた素晴らしいトライとなった。

前半を21-7とリードして折り返し、後半開始早々にも福岡が相手ボールを奪うとそのまま走り切り、28-7とリードを広げて見せた。こうなると決勝トーナメント進出には、勝利+ボーナスポイント+日本に7点差以上の差を付けての勝利が必要なスコットランドはリスクが高くなるのは承知でオープンな攻撃を仕掛けてきた。ギャンブル的な戦術であり、今の日本であればしっかりと対応できると感じながらゲームを見ていたのだが、そこはさすがに強豪国である。ハイリスクハイリターンの戦術を駆使して、2トライ2ゴールを返し、試合時間残り20分以上を残した時点で7点差まで追い上げてきたのである。
日本が有利なことに変わりはなかったのだが、ラグビー伝統国の底力と執念を感じる事が出来るゲームとなった。そんな猛攻も耐え凌ぎ、このまま28-21で逃げ切ったところに日本代表チームの成長を感じる事が出来た。エディー・ジョーンズが4年前に奇跡を起こしたチームをジェイミー・ジョセフが更にパワーアップさせてくれたと感じるゲームとなった。

日本代表のラグビーW杯の歴史は、ティア1の高く厚い壁に跳ね返され続けた歴史だったのだが、前回の南アフリカ戦での勝利から世界のラグビー界に大きなインパクトを与え、今大会ではアイルランド、スコットランドというティア1のチームに真っ向勝負を挑み、勝利を手にして見せた。歴史を変えてくれたジェイミー・ジョセフHCとフィフティーンに大きな拍手を送りたい。今日のゲームは素晴らしい死闘だった。

P.S 今大会は台風の影響もあり、3試合が中止となってしまった。これは非常残念なことだった。元々大会のレギュレーションとして決まっていたことだったため、中止の決定自体は妥当な判断だと感じるのだが、一次リーグが5チームで争われることになって以降日程が平等に組まれていない事がラグビーW杯の課題となっている。野球のWBCにも行けることなのだが、世界で強豪国が限られている競技でこのような世界大会を実施しようとするとどうしても歪な形が出てきてしまう。大会のレギュレーションに関しては次回大会以降考え直さなければならないのではないだろうか?
今大会は、ホスト国である日本は有利な日程が組まれていたのだが、これまでは明らかにティア1の国が優遇された日程が組まれていた記憶がある。ラグビーも世界中の国に広げていきたいと考えるのであればティア1の国々ももっと考え方を柔軟にする必要があるのではないだろうか?

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コメント

  1. JEF九郎 より:

    ラグビーはこれまで、年末に行われる大学の対抗戦くらいしか観たことが無かったのですが、今大会の日本代表の素晴らしい闘いと会場の盛上りを通じてすっかり虜になってしまいました。(昨晩はスポーツ素人の嫁さんまで絶叫していました…笑)

    昨日は少し荒々しさも目立ちましたが、あれだけのぶつかり合いを繰り広げながら、お互いの存在を尊重しあう姿勢は凄いですね。ファン同士も基本的にはフレンドリーな様子が目立ちますし。(たまたまオーストラリアvsウェールズの試合へ向かう電車に乗り、両国のファンに車内で遭遇しましたが、国の境を超えて一緒にラグビー談義に華を咲かせている様子を見て清々しい気持ちになりました。)

    これから決勝トーナメントを迎え、更に激しい闘いが始まると思いますが、引き続き素晴らしい試合を魅せてくれることを期待します。

  2. タラちゃん より:

    日本が4トライするか、スコットランドを3トライ以内に抑える難題をクリアするとは、すごいとしか言いようがないです。
    あとは負けても7点差以内の試合にする条件あったけどね。

    ワールドカップ始まったころ、
    ニュージーランドのロムーにズタズタにされ、ノーホイッスルトライや100点差以上の試合だったこと考えると、すごいところまで行ったなと。

    ただ、自国開催なわけで次回以降どうなるか?
    ラグビー人気がどうなるのか?そこに注目です。

    そして「ミスターラグビー」平尾氏がいたらどういう反応したか、そして今回のW杯を見せてあげたかったです。

    まだ終わらないので、
    1試合でも多くジャパンの試合を見せてほしい。
    今度の試合、南アですが、今まで通り、ファール(ペナルティー)をしないで逆にペナルティーさせるような展開に持ち込みたいですね。

  3. パイン より:

    ホスト国として、ここまでのコンディションに仕上げてきた日本チームに敬意を表します。凄いチームだと思います。

    父親が新日鉄関係の仕事をしてたり、妹が地方の強豪校の選手と付き合いがあったりして、身近にラグビーを感じることもありましたが、W杯で見せられているのは、全く別のものだなあと感じます。

    前半、日本のパスとランによる鮮やかなトライから一転しての後半、スコットランドの体を張ったオープン攻撃の迫力は圧倒的でしたね。
    勇気とプライドを懸けた死闘に魅せられただけに、台風の影響で試合が中止になったのは残念でした。
    大きな災害の只中ですが、日本チームの奮闘に感謝します。

  4. FIYS より:

    > JEF九郎さんへ

    ラグビーは非常に面白いスポーツですよね。ウェールズサポーターとオーストラリアサポーターのエピソードは素敵ですね。私は野球でもヤクルトファン以外の方々と野球談義することは好きですよ。

  5. FIYS より:

    > タラちゃんさんへ

    2019年の自国開催に向けて強化して来た事がそのまま結果として表れましたね。素晴らしいです。

    私はエディー・ジョーンズが続投しなかったことで今大会をどう乗り切るのか不安だったのですが、しっかり乗りきってくれましたね。次は次回大会までこの力を維持できるか?ということが1つのポイントになりそうですね。

  6. FIYS より:

    > パインさんへ

    SMBCのCMが秀逸なんですよね。これまでの日本ラグビー界の歴史が今に繋がっている事を感じる事が出来ます。

    南アフリカ戦も楽しみましょう。

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