あの日見た夢の続き

ヤクルト6-4ソフトバンク

「あの日見た夢」の「あの日」とは、2018年9月16日のことである。王者広島相手に村上がプロ初打席初ホームランを放ち、高橋が若者らしい強気の投球で広島打線と対峙したその日のことである。過去記事はこちらから→「村上宗隆と高橋奎二
その後村上は日本を代表スラッガーへと一気に階段を駆け上っていった。一方の高橋は、投手として素晴らしい能力を有していながら、その実力をコンスタントに発揮することが出来ず、もがき苦しんでいた。その高橋が今シーズン初登板となった先発のマウンドで躍動してみせた。私達ヤクルトファンに大きな夢を見させてくれた「あの日」から3年近くの月日が流れた。私達に順調な夢の続きを見させてくれた村上、大きな期待とは裏腹に結果を残せなかった高橋、そんな2人が今日のゲームでは投打の主役となった。これからも2人には「あの日」見させてくれた夢の続きの物語を紡いでいってもらいたいものである。

高橋は、2018年シーズン終盤に頭角を表し、2019年シーズンには先発として4勝を上げ、2020年シーズン前には、高津監督が開幕投手候補の1人として名前を挙げるなど、ファンだけでなく首脳陣からも大きな期待を寄せられていた本格派サウスポーである。しかし昨シーズンは結果が伴わず、わずか1勝に終わってしまい、今シーズンもここまで1軍登板なしという状況が続いてしまった。2軍でも一進一退の状況が続いており、今日の登板に関しても不安要素はあったのだが、そんな中でも持っているボール自体は一級品であり、そのボールを思いきり投げ込むことは出来ていた。無駄な四球が多かったり、一人の打者を打ち取るのに球数が多くなってしまう部分については、これまで同様課題なのだが、それでも力でソフトバンク打線をねじ伏せてみせた。今の高橋にはとにかく自分の出来ることを精一杯行ってもらいたいと感じている。ランナーを出しても後続を抑えれば良いのである。6回1/3を投げて被安打はバレンティンに打たれたソロホームランのみに抑えてみせた。石川や田口のようなコントロールや投球の組み立ては出来ないのだが、高橋には石川、田口以上のストレート、スライダーのキレがある。今の高橋に「巧いピッチング」など要求できないことは分かっている。それであれば、自分の力を信じて思い切って腕を振ってもらいたい。2018年9月16日の高橋の姿から成長が見られたのか?と聞かれたら「成長した。」とは言い切れないのだが、まだまだ夢を見ていたい逸材であることは間違いない。高橋が頭角を表せば、後半戦のヤクルト先発陣のバリエーションはかなり豊富になってくる。期待したい。

2018年9月16日に高橋と共に夢を見させてくれた村上は、今やNPBを代表するスラッガーである。この日も4回の第2打席でソフトバンク先発のベテラン和田から特大の2ランホームランを放ってみせた。和田は大ベテランとは言え、まだまだ投球には若さがあり、特にキレのあるストレートの威力は健在である。村上も第1打席はそのストレートに空振り三振を喫してしまったのだが、第2打席では初球のスライダーを完璧に捉えてみせた。村上の頭の中には第1打席で空振りしてしまったストレートの残像は残っていたと思うし、和田ー甲斐のバッテリーは第1打席のことも頭に入れた中で変化球でストライクを取りに行く選択したと思うのだが、そのボールをしっかり捉えた村上はやはり超一流のスラッガーである。これでホームランの数は20本となり、3年連続20本塁打をクリアした。交流戦前からスランプ気味となり、打率は大きく落としてしまったのだが、それでもチームを勝利に導く一発を放ったり、しっかり四球を選べたりしているため、そこまで大きなスランプに陥った印象は残っていない。昨日、今日と山田が7打数連続安打でホームランを3本放ったのだが、この2人が共に状態を上げてくれば、相手チームにとってこれまで以上にヤクルト打線が脅威となることは間違いない。
セリーグ首位の阪神が交流戦の最後の2カードを6連勝で締めくくったため、ゲーム差は7のままであり、苦しい状況に違いはないのだが、諦めずに背中を追いかけ続けてもらいたい。

P.S 今日のソフトバンクの4得点はバレンティンの2本のホームランと川島のホームランによるものであり、ヤクルトファンとしては勝利したこともあり、いつもとはまた違った意味で気持ち良さを感じるゲームとなりましたよね。もちろん負けると悔しいのですが、元ヤクルト勢の活躍は嬉しいものがありますよね。
バレンティンは1000本安打と300号ホームランを同時に達成しましたね。こうやって改めて数字を見ると1000本のヒットの中のちょうど3割となる300本がホームランというのは凄い数字ですよね。バレンティンは稀代のホームランバッターだということを改めて感じることが出来ました。

にほんブログ村 野球ブログ 東京ヤクルトスワローズへ
にほんブログ村








コメント

  1. sabo より:

    高橋はチェンジアップの習得に成功したんじゃないでしょうか。これまでもチェンジアップに挑戦してはいましたが制球や制度の問題がありましたが今度こそ上手くいった気がします
    この日の球種割合は

    ストレート67%
    チェンジアップ14%
    スライダー11%
    カーブ6%
    カット1%

    でストレート主体は変わりませんが変化球はスライダーよりもチェンジアップを多投してましたし、このチェンジアップがカウントを整えるにも決め球にも使えてました
    スライダーは緩急として使うにはあまりに切れが良すぎたので、このチェンジアップが緩急を生み出せたと思います

    高橋の課題である調子のムラッ気もストレートスライダーに加わった第三の球種チェンジアップが安定性に寄与するのではと期待です


    村上はホントにどこまでいくのか、という感じですね
    交流戦絶不調で
    打率.218 7本(最多タイ) 14点 出塁率.421 OPS1.039
    たったこれだけの成績しか残せませんでした

    好調だったらどんな成績だったか(笑

    村上とバレンティンってすごい仲いいんですね
    インスタライブ配信したり、球場で村上が「ヤァ」ってバレンティンに声かけたら「オハヨウゴザイマスダロ!センパイダゾ!」と日本語で叱られたりしてるらしいです(笑
    バレンティンの移籍前に最後に食事をしたのが村上だったといのも今知って感慨深いです

  2. FIYS より:

    saboさんへ

    確かに高橋にとっては、今後チェンジアップという球種は大切になってくるかもしれませんね。このボールでカウントを稼げるようになるとピッチングの幅は広がりそうですよね。

  3. ヤマ より:

    この日の高橋投手は頑張ってくれましたね!次の登板にも期待したいです。
    山田選手も村上選手も素晴らしかった!
    侍ジャパンメンバーにも選出されて嬉しい限りですね。

    そしてバレンティン選手の1000安打や300号本塁打が対スワローズ戦で見られたというのも、なんだか感慨深いものがありましたね。

  4. FIYS より:

    ヤマさんへ

    オリンピックの野球に関しては、コロナ禍ではなく、通常開催されていたとしても参加チームの少なさもあり、どういった感情で見ればよいか分からなかったので、今現在でも複雑な思いを持っています。
    勿論山田、村上にも頑張ってもらいたい気持ちはあるのですが…

タイトルとURLをコピーしました